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HTML5を学べばAIなどインターネット上の便利なAPIが思いのまま! 企業や個人として差別化を図る武器にもなる

【鼎談】京都情報大学院大学 江見准教授 × 播州信用金庫 山中氏 × LPI-Japan 成井理事長

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目次

就職のために資格を取ることはしない、もっと先を見て取る

――「就職に有利」という理由で、資格を取得される学生さんも多いのですか?

江見:大学院と学院のどちらの学生も、就職を考えて取得しているわけではありませんね。卒業間際に「総まとめ」のつもりで受験する学生が多いです。先輩にも「資格なんて取らなくても就職できる」と思っている学生がいるんですよ。たしかに、資格で就職が有利になるわけではないです。学生にもそう言っています。ただし、同時にこうも言います――先輩のそんな甘言に惑わされるなよ。就職はできるけど、リストラされたら知らんで――って。すると、どの学生も顔色を変えますね(笑)

 当たり前のことですが、就職がゴールではありません。「いつまで続くか分からない業界へ行くんだから、リストラされたら何にも手元に残らないよ。だから、資格試験は受け続けなさい」と、学生にはずっと言っています。就職先が決まっている学生たちが、あえて卒業間際に資格試験を受けるのは、自分の将来に対する意欲の表れなんだと思います。

成井:就職の観点からいうと、卒業見込みの学生を判断する要素って、実は少ない。履歴書には当然ながら職歴がありません。学生が「私、こういうことができます。ああいうこともできます」と説明しても裏付けがない。面接もだいたい10分、長くて30分ほど。その他に判断材料になりそうなものは、学校から発行される成績証明書くらい。採用側はそれで採用/不採用を決めるわけです。

 だから、例えば「HTML5認定を持ってます」と言えるというのは、明らかにそれはプラスに働きますよね。マイナスに働くことは何もない。絶対プラスです。

 学生のうちに頑張って資格を取るというのは、それだけ自分を磨き上げているわけです。就職活動では、そうして磨き上げて達成したものを見せることになる。いうなれば、自分自身の営業活動じゃないですか。先ほど山中さんがおっしゃったように、入社後も新しいことにチャレンジしていく、能動的なタイプが多い。これは間違いなくね、相関関係があると思います。

成井 弦(なるい げん)氏
特定非営利活動法人 LPI-Japan 理事長。日本DEC取締役などを経たのち、リナックス技術者認定試験「LPIC」などを行うLPI-Japanを設立し理事長に就任。2014年1月には、Web制作の現場で働く人が今最も取得したいと考えている資格「HTML5プロフェッショナル認定試験」を提供し、最新のWeb技術者の育成に精力的に活動している。

江見:資格という点では、国家資格である情報処理技術者試験のほうがメジャーなのは間違いありません。学生もまずこれを受験しようと考えます。しかし、基本情報技術者試験の午後試験にあるのは、C言語、Java、COBOL、アセンブラ、表計算ソフト。Web全盛のこの時代にHTMLがないわけですよ。この点は以前から不満に感じるところでした。HTMLの試験はなぜないのかと。そこへ、HTML5認定試験開始の知らせをいただいた。2014年の1月だったと思います。すぐアカデミック認定校になることを、学校側に提案しました。

 他の先生方もHTMLの重要性を分かっているので、HTML5認定試験のサンプル問題などを確認されたんです。そうしたら、「これは歯ごたえがある。ITパスポート試験のようにはいかない。合格する値打ちがある」と。アカデミック認定校になることはそれで決まりました。

――山中さんは、HTML5認定試験を受けてみて、どのような感想を持ちましたか?

山中:HTML5認定試験の学習内容って、すぐに試せるじゃないですか。こういうのがあるんやと思って、自分で打ってみて試したら、視覚的にそれが出る。それがすごく楽しいんですよね。楽しいと身につくじゃないですか。好きこそ物の上手なれっていいますし。学習には翔泳社さんのテキストを使わせてもらったんですけど、1日で全部やりきるぐらいハマってしまって(笑)。受験は江見先生の勧めだったのですが、私が合格できたのはそれくらい、学習そのものが楽しかったからだと思います。

 あと、資格試験のために勉強したことは、使わないままスーッと風化して消えていくイメージでした。でも、HTML5は違いますね。勉強したことがこれだけ使える資格って、今まで受験した中にはなかったと思います。

AIもHTML5の世界なら利用が簡単

江見:最近、AI(人工知能)の話題が花盛りですが、多くのAIの機能はWebのAPIで提供されているんです。IBM Watsonなんて、JavaScriptだけで書けますよって宣伝してるんですよ。「AIはWebサービスとして公開されていて、HTML5の世界で使える状態になっている」いうことは、もっと認識されていいと思います。その点でいうと、私どももHTML5からAIっていう流れで、AIの利用をようやく教えるようになりました。学院のほうでは、私がこの春からマシンラーニング(機械学習)を教え始めているんですけど、HTML5の教育がちゃんとできているので、スムーズに進んでいます。

――AIを利用するためのAPIはもう公開されている。でも、それにアクセスし利用する方法を知らないと、もちろん何もできません。逆に見れば、HTML5とJavaScriptを学んでおけば、そうした最先端の技術にすぐ触れられるわけですね。

成井:昨年、東京電機大学でhtml5j(日本最大のHTML5の団体)が開催したイベントにグーグルの方が登壇し、HTML5のイベントなのにAIについて話をされたんです。これってすごいと思いませんか? HTML5の人たちは、AI分野に高い関心を寄せられているように感じました。

江見:TwitterやFacebookなどはデータや機能を利用するためのAPIを公開していますし、「ぐるなび」では飲食店、「駅すぱあと」では鉄道について検索できるAPIを公開している。それらを使ってこんなことはできないだろうかと、学生とよくディスカッションしてますよ。そんなとき、HTML5を使うスキルと持っていれば、パッと実装できます。HTML5は応用範囲がすごく広いと思います、本当に。

 気になっているのが、高校ではHTML4を教えていることなんです。高校の「情報」科目ではWebで情報発信をすることを教えているのですが、これをHTML4でやっているんですよ。HTML5よりも若干やさしいからでしょうね。高校の先生方も勉強し直しが必要で大変ですので、以前、当校でも何度かHTML5の教員研修を開催しました。しかし、そうしてHTML5をアピールしても、学校側にはあまり響かないというのが実感です。高校でもぜひ、HTML5教育を進めていただけたらと思っています。


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著者プロフィール

  • 市古 明典(資格Zine編集長)(イチゴ アキノリ)

    うさぎ化してますが、1972年の子年生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に...

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