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イベントレポート

エクセル方眼紙は情報教育の敗北か、ツール利用形態のひとつなのか…ネ申エクセル公開討論会

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 だれもが見たことがある「エクセル方眼紙」は善か悪か。エクセル方眼紙とは、SNSなどで話題になっている、Excelのセルを正方形のマス目にそろえ、けい線とセル結合によって任意の帳票を作ったものだ。ネットでは「ネ申エクセル(かみえくせる)」などとも呼ばれるが、入力やデータ抽出が困難といった問題もある。この利用方法をめぐる討論会が、エクセル方眼紙から着想を得た開発ツール「Forguncy」を提供するグレープシティ主催で、9月30日、都内にて開催された。

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「ネ申エクセル」賛成? 反対?

 数年ほど前から、SNSなどで話題になりIT系メディアも取り上げたりしているので、説明するまでもないだろうが、「エクセル方眼紙」はExcelのセルを正方形のマス目にそろえ、けい線とセル結合によって任意の帳票を作るというアレだ。ネットでは「ネ申エクセル(かみえくせる)」などとも呼ばれている。役所や企業の社内文書、申請書類としてはよく見かけるし、自分の会社にもそういう書類が1通くらいはあるのではないだろうか。しかし、適当にセル結合されたエクセル方眼紙は、入力がしづらく、また入力データの抽出、再利用も困難だ。業務効率、生産性を下げるものとしてIT業界では忌み嫌われている存在だ。

 討論会は、「エクセル方眼紙のどこが問題でどうすればいいのか、代替策はあるのか」といった視点での講演と、講演者と識者によるパネルディスカッションで構成された。最初の講演は、おそらくこの問題をSNSで最初に取り上げたであろう立命館大学 上原哲太郎教授が登壇した。同氏は当然エクセル方眼紙否定派の立場での参加だ。続く講演はプログラマーであり、どちらかというと肯定派の長岡慶一氏。問題の本質はセル結合やけい線ではないとの立場で講演を行った。

 講演に入る前、会場で参加者アンケートを行った(QRコードを読み取り表示されるURLで投票)。講演開始時は肯定派が20.7%。否定派が79.3%とおよそ8割が否定派だ。

表計算ソフトの歴史からさぐる

立命館大学 上原哲太郎教授(否定派)
立命館大学 上原哲太郎教授(否定派)

 上原氏の講演は、「ネ申タヒすべし:Excel方眼紙という時間泥棒」という、アカウント凍結の回避投稿のようなタイトルで会場を沸かせた。

 まず、なぜエクセル方眼紙(上原氏は「神エクセル」と表現している)が生まれたのか。表計算ソフトの歴史と自身の経験から、その理由や背景の分析・解釈を試みることから講演が始まった。

 表計算ソフトのルーツは、Apple IIというマイコンのキラーアプリのひとつだった「Visicalc」(1979年)までさかのぼる。1982年にはマイクロソフトがMS-DOS用の表計算ソフト「Microsoft Multiplan」を発表している。翌年、豊富なグラフ機能とマクロ機能を搭載した「Lotus1-2-3」が発表されると、この表計算ソフトが、オフィスのパソコンに瞬く間に広がった。

 1985年、マイクロソフトがもともとはMac用のアプリだったExcelのWindows版を発表。Lotus1-2-3を意識して開発されたExcelは、GUIを強化し、より使いやすいマクロ機能やデータベース機能も充実させ、次第に市場を広げていった。文字修飾、けい線など印刷関係の機能もこのとき強化が始まっている。

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この記事の著者

中尾 真二(ナカオ シンジ)

フリーランスのライター、エディター。アスキーの書籍編集から始まり、翻訳や執筆、取材などを紙、ウェブを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは当時は言わなかったが)はUUCPの頃から使っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/10470 2017/10/20 14:00

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