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イベントレポート

生存しようと頑張ってもしょうがない!? 会社を良くしようと努力した人が、結果的に生き残る

「MANABIYA~teratail Developer Days~」Cross Session「拡大する組織のCTOとしての生存戦略」レポート

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 自社の技術戦略や開発方針を統括する責任者である、CTO。高い技術力とマネジメントスキルを持った者だけが就任できる同職は、多くのエンジニアにとって「憧れのポジション」でもある。とはいえ、CTOのキャリアは平坦な道のりだけではない。曲がりくねった道に遭遇することも数多くある。彼らはどのような方法で、困難さを乗り越えてきたのだろうか。その道のりを共有するため、teratailがおくるITエンジニアの問題解決カンファレンス「MANABIYA -teratail Developer Days-」ではトークセッション「拡大する組織のCTOとしての生存戦略」が行われた。株式会社メルカリの是澤太志氏がモデレーターとなり、株式会社フリークアウト・ホールディングスの明石信之氏、グリー株式会社の藤本真樹氏、Junifyの安武弘晃氏が語り合った。

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バリエーション豊かな、CTO就任までの経緯

是澤:まずは、どのような経緯でCTOに就任したのかを聞かせてください。

明石:僕は新卒1年目、SIerに入りました。その後、いくつかの会社を転々として、2000年に前職のヤフー株式会社に入るまで10社くらいを経験しました。ヤフーを選んだのは、受託開発ではなく自社サービスを持っている会社に行きたいと思ったからです。

 ヤフーでは、Yahoo! JAPANの広告配信基盤やビッグデータ基盤の開発などに携わりました。入社から数年が経過した2009年頃、社長から「CTOをやってほしい」と言われたんです。

株式会社フリークアウト・ホールディングス 執行役員 明石信之氏
株式会社フリークアウト・ホールディングス 執行役員 明石信之氏

是澤:CTOに指名されたのはどういった部分が評価されたからだと思いますか?

明石:2005年くらいから、ヤフー社内でデータ分析の重要性が提唱されており、データを扱うチームと広告を扱うチームを統合しようという動きがあったんです。その時期に「明石に組織を束ねてもらいたい」と言われまして。当時、350名くらいのエンジニアチームでチーフアーキテクトを担当していたんですね。それを評価してもらえたのかなと思います。

藤本:僕は大学生時代に就職活動をしていなくて、アルバイトをしていたソフトウェアハウスに社員として入社しました。そこでは会社の業務と並行しながらOSS活動としてPHPコミッターやドキュメントの翻訳などをしていました。業務とOSS活動の割合は半々くらいでしたね。

 その後転職し、さまざまな会社をお手伝いしました。その中にグリーがあったんです。そんなある日、社長からCTOという肩書が印刷された名刺を渡されて「今日からCTOね」と言われました(笑)。それが就任のきっかけですね。

是澤:そんなこともあるんですね(笑)。

グリー株式会社 取締役 最高技術責任者 藤本真樹氏
グリー株式会社 取締役 最高技術責任者 藤本真樹氏

安武:私は新卒でNTTに入社し、その後すぐ楽天に移りました。楽天では最初、エンジニアではなく営業企画として働いていたんです。でも当時は会社に10人くらいしかメンバーがいなかったため、どんな仕事でも引き受けており、エンジニアのサポートもするようになりました。そのうち、コードを書くようになり、サービスも作るようになっていきました。

 数年後「取締役になってほしい」と声がかかりました。当時の取締役の中で、サービスのコードを書いた経験があるのは私だけだったので、技術領域を管轄することになったんです。

 CTOは技術選定だけが仕事ではなく、他部署とのコンセンサスを取るような仕事も多いです。だから私を選出してもらえたのは、社歴が長くて顔が広く、楽天の歴史を知っているから、というのも大きかったのだと思います。

採用はCTOの重要な業務――時間をかけ、技術的な強みを作るべし!

是澤:今日はそうそうたるメンバーが集まっているので、来場者の方から質問を募ろうと思います。(挙手を求める)では、どうぞ。

参加者:私は現在CTOをやっていますが、自社の知名度が低く、採用がうまくいかず困っています。みなさんはどうやって採用を成功させたのでしょうか?

藤本:まだグリーに人が少なかった頃は、採用に多くの時間を割いていました。黎明期のスタートアップ企業は特に、良い人を採れるかどうかが会社にとっての死活問題になります。その前提でアドバイスするなら「時間をかける覚悟を持つ」というのはまず重要でしょうね。「週に○○時間は採用活動にかける」と決めてしまってもいいと思います。

安武:楽天時代、本当に知名度がなくてエンジニアが採用できなかった頃は、他の職種で入ってきた新卒のメンバーに声をかけ、プログラミングを覚えてもらっていました。

 その中で最も有名になったのが、株式会社nanapi(現:Supership株式会社)でCTOを務めていた和田修一さんです。彼はもともと営業志望だったんですよ。でも、一からエンジニアの知識をたたき込んだら、すごく成長してくれました。

明石:あとは外国人の採用をスタートすると一気に応募が増える会社も多いですよね。

安武:同感ですね。楽天の社内公用語英語化が始まる前は、他のメガベンチャーが強くて全く採用できませんでした。グリーさんもその1社なのですが(笑)。でも、英語化した瞬間に、英語しか話せないけど日本に住みたい外国人がたくさん入ってくるようになった。一気に流れが変わりましたね。

是澤:他にも、技術的な強みを作るのは重要だと思います。僕が株式会社Speeeで採用責任者だったときは、エンジニアの応募がほとんどないところからのスタートでした。

 そこでまず何をやったかというと、技術顧問としてRuby開発者のまつもとゆきひろさんを、開発部顧問として元クックパッド技術部長の井原正博さんを招いて、社内の使用言語を徐々にRubyに移行。その時代のエンジニアが興味を持ってくれそうなアピールポイントを増やしていきました。

 また、技術イベントを継続的に開催したり、社内で取り組んでいることを技術ブログで発信したり、同時に認知度を上げることも意識しました。技術的な強みや取り組みを対外的に発信することがエンジニアに知ってもらえるきっかけになりますから。余談ですが、僕はかつてグリーで開催されていた、藤本さんが司会を務める勉強会によく参加していたんですよね。そのイベントをきっかけに、グリーのことを知るようになり、興味を持ちました(笑)。

藤本:懐かしいですね。当時は月に一度開催していました。

安武:確かにイベントは効果的ですね。楽天テクノロジーカンファレンスも、採用にはかなり寄与してくれました。外部のメディアなどに記事を書いてもらえるきっかけにもなりますから。他には……プロ野球チームを持つと知名度がすごく上がります(笑)。

是澤:なるほど。この業界だと2社ほど心当たりがありますね(笑)。

セッションではざっくばらんなCTOトークが繰り広げられた
セッションではざっくばらんなCTOトークが繰り広げられた

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この記事の著者

中薗 昴(ナカゾノ スバル)

 週の半分はエンジニア、もう半分はライター・編集者として働くパラレルキャリアの人。現職のエンジニアとして培った知識・経験を強みに、専門性の高いIT系コンテンツの制作を行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/10803 2018/05/24 14:00

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