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イベントレポート

学校の会計システムから開発事業に着手、日本仕様の開発ツールを世界へ――グレープシティの30年

「Toolsの杜」基調講演レポート


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 7月10日、グレープシティは開発支援ツール販売開始から30周年を記念し、「Toolsの杜(ツールのもり)」を開催した。基調講演では同社会長のダニエル・ファンガー氏が創立からの歴史を振り返り、社長の馬場直行氏がグローバル企業としてのビジョンを示した。

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グレープシティは開発支援ツールだけではない

 日本にあるIT企業の多くが東京に本社を置く。仙台に本社を置くグレープシティはIT企業としては珍しい。加えて海外展開でも成功し、今では社員は日本に200名、海外に800名と海外の方が多いほどだ。

 企業向けIT関係者から見ると、グレープシティは開発支援ツールを提供する企業である印象だ。早期からマイクロソフトと協業していることもあり、Windows環境向けのコンポーネントは長い実績と定評がある。例えば、.NET向けの「ComponentOne」、帳票印刷の「ActiveReports」、表計算の「SPREAD」、JavaScriptの「Wijmo」など。ソフトウェアの部品として活用することで開発効率を高めることに寄与している。

 近年では業務改善ソリューションという形で、新たなタイプのツールも提供している。例えばMicrosoft Excelの操作性を維持しながらWebアプリを作成する「Forguncy(フォーガンシー)」、サイボウズのkintoneプラグイン「krew」、セールスフォース専用アプリ「GrapeCity for Salesforce」などだ。技術トレンドの変化に合わせた対応をしている。

 同社 馬場直行社長は「これからも新しい時代に向けて、引き続きみなさんと協力しながら、業界の縁の下の力持ちになっていきたいと思っております」と話す。

グレープシティ株式会社 代表取締役社長 馬場直行氏
グレープシティ株式会社 代表取締役社長 馬場直行氏

 だが、グレープシティの事業は開発支援ツールだけではない。実はほかにも、学校法人向け経理システム「LeySer」、英語教育ソリューション「GrapeSEED」、映像のトータルプランニング「WINEstudios」があり、合わせて4つの事業を展開している。

明泉学園の会計システム開発からグレープシティが生まれた

 基調講演ではダニエル・ファンガー会長が自らの生い立ちも交え、同社の歴史を語った。マイクを持ち、「私は岩手県出身です。日本生まれ、日本育ち。『生粋の日本人です』と言うと、よく笑われるのですが」と話し、会場からの笑いを誘った。確かに、見た目からは意外なほど日本語が流ちょうだ。訛りはないものの、どこか東北らしい語り口が感じられる。ちなみに最初にアメリカを訪れたのは25歳のときで、カルチャーショックをうけたそうだ。

グレープシティ株式会社 会長 ダニエル・ファンガー氏
グレープシティ株式会社 会長 ダニエル・ファンガー氏

 ファンガー氏は宣教のために来日したアメリカ人夫婦のもとに生まれた。養子も合わせると兄弟姉妹は20人もいたという。幼稚園で英語を教える仕事に就いていたところ、父親の友人であるポール・ブローマン氏に誘われ、グレープシティの創業から携わる。グレープシティの社長を務めていた時期もあった。

 現在ファンガー氏はグレープシティの会長とともに、明泉学園の園長も務めている。ソフトウェア企業と学校法人は業態が全く異なるものの、グレープシティのルーツに明泉学園があるため、2つの組織は人脈と事業の両面で深いつながりがある。

 はじまりは1967年、宮城明泉学園が誕生し、明泉幼稚園が開園した。外国人教師による英語教育が評判となり、園児数が急速に増えていく。それに対応すべく、会計システムを学園内で独自に開発した。ちなみに当時(1982年)、学園が使ったパソコンは沖電気製の「Oki if 800 Model 30」でCPUはZ80B(8bit)、RAM memoryは64KBだったそうだ。

 後に会計士がこの会計システムを高く評価し、「ぜひ他の学校でも使えるように」と商品化を勧めた。ここからグレープシティ(当初の社名は文化オリエント)へとつながる新しい事業が誕生した。学校向け経理システム「LeySer」は会計士の推薦もあり、多くの学校に広まった。今では全国3000以上の学校に導入されている。

 そして30年前となる1988年、初めての開発支援ツールとなるMS-DOS用の開発ツールを発売した。さらに1993年にはVisual Basic対応「PowerTools」へと発展していく。マイクロソフトと一緒にVisual Basicの普及を進めるようになり、徐々に開発支援ツール事業に勢いがついていく。

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Onlineの取材・記事や、EnterpriseZine/Security Onlineキュレーターも担当しています。Webサイト:http://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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