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自分の可能性を広げよう!U30デベロッパーのための「キャリアのすゝめ」

当たり前を作れるテックカンパニーを目指す――DMM.com 松本勇気さんが語るCTOの仕事

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 大学3年から数社のスタートアップを立ち上げ、Gunosy CTOを経て、現在はDMM.comのCTOとして同社をテックカンパニー化するミッションに取り組む松本勇気さん。これまでの松本氏のキャリアを振り返っていただき、「事業やプロダクト、技術に貢献すること」「組織をいかに成長させるか」について、これからどんなチャレンジをしていこうとしているか伺った。

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攻殻機動隊のような世界観を創りたくて学生時代に起業

──松本さんはどのような学生時代を過ごしてきたのでしょうか。

 大学時代は東大の工学部・精密工学科で、とても小さな部品を作ったり、CADを使ってリバースエンジニアリングしたりする研究や、それらの設計に必要な材料や機械の開発などをしている学科に所属していました。起業は大学3年のころから友人と取り組んでいたんですよね。実習は好きだったので真面目に参加していましたが、あとは自分の好きな技術を好奇心で開発していた学生時代でした。

合同会社DMM.com CTO 松本 勇気さん
合同会社DMM.com CTO 松本勇気さん

 DMMをテックカンパニー化するミッションのもと組織や技術全体の改善を推進。これまでは学生時代より複数社の立ち上げ後、Gunosyの創業直後に参画。CTO兼新規事業開発室担当としてグノシーやニュースパスといったプロダクトの立ち上げから拡大、組織改善、またVR/ARなどの新技術系のR&Dを担当していた。直近はBlockchain事業子会社であるLayerXの立ち上げも担当。

──起業したいと思ったのは、どういう理由だったのですか?

 大学2年の時に、起業しているOBに誘われたことがあったんです。その時は起業にはいたりませんでしたが、起業についていろいろ調べ始めるうちに興味を持ちはじめました。もう一つ理由は、エンジニアとして「攻殻機動隊」のような世界を創りたいと思ったことです。大学3年になって友人とARの会社を一緒に立ち上げたんですが、さすがにまだ時代が早すぎたようです(笑)。

──攻殻機動隊のような世界観を創りたいという想いが大きかったんですね。

 人間の脳や人間という存在、人間の個性や個人ってどうやって定義されるんだろう、情報で人間を拡張するにはどうすればいいんだろう、などと考えてました。電脳の世界に憧れができてからずっとエンジニアをやってきたというかんじですね。

──そのARはどんなアプリやサービスだったのですか?

 もうクローズしていますが、ARというよりも位置情報SNSですね。好きな場所、好きな時間に、人生が記録できるプラットフォームを作ろうとしていました。例えば1年前にこの場所でこんなことしたとか、ここに友だちと遊びに行ったことが全部記録できたりとか。さらにARでビジュアライズして、自分が立っている位置に、どういう情報が転がっているのかが見えたりしたら面白いなと考えていました。

──開発経験がゼロだったにも関わらず、そのARの会社でCTOをやることになった経緯はどういったものだったのでしょうか。

 友人と2人で始めたため、友人がCEOを担当し、開発が必要だから僕がCTOを引き受けた、という感じです。そこからエンジニア人生に足を踏み入れて、チームを立ち上げ、人を採用し、どうやって開発を回すか考えるということを経験しました。

ゴールを用意して取り組むことで、スキルが身に付く

──起業する中で松本さんはエンジニアとして、どうやって学んでいきましたか?

 起業したときは位置情報SNSを作りたいというゴールが先にあって、そのゴールに対して、似たようなプロジェクト探しをずっと続けていました。地図に何かをプロットしたり、サーバーに記録したり、どうやったら作れるのかと探っていたら、GitHubで公開されている似たようなサービスのソースコードを参考に学べばいいんだと気づいたんです。

 転がっているソースコードやテストコードを必死に読みながら、こういうふうに書けばこう動くんだとひたすらパターンを頭に入れてコードを書いていたら、最初のプロダクトができました。今見るとひどいソースコードなんですが、なんとか動くものにはなりました。

──そのときの経験から得たものは何ですか?

 ゴールを用意して取り組むことはとても大事だと思っています。その頃起業していた人やCTOをやっていた人たちは、今も活躍しているんですよ。ポジションが人を作るという効果はすごくあると思っています。逆に、ゴールありきで取り組まないと人は挫折やすいような気がします。

──なぜ松本さんは、その目指すゴールを明確にできたのでしょうか?

 自分が作りたいサービスと似たものを探し、自分のプロダクトの具体的なイメージを掴むことをよくやっています。自分がなんとなく作ろうとしているものって、どういうサービスなんだろうとか考えたり、その似ているものをひたすら研究して作ってみるという体験が結構重要だなと思っています。

 作るものが明確でなくても、その輪郭をはっきりさせるためにいろんなものを読んでみたり、触れてみたりすることで、こういう形になるべきだということが描けるようになります。最初のコンセプトを作るスキルがやはり大事だと思います。

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この記事の著者

近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)

株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

馬場 美由紀(ババ ミユキ)

 エンジニアとテクノロジーが好きな編集・ライター。エンジニア向けキャリアサイト「Tech総研」「CodeIQ MAGAZINE」、Web技術者向けの情報メディア「HTML5 Experts.jp」などでライティング、コンテンツディレクション、イベント企画などを行う。HTML5 開発者コミュニティ「h...

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https://codezine.jp/article/detail/11255 2018/12/10 11:00

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