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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第2回開催です。

ProductZine Day 2024 Winter

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プロダクトマネジメントの基本を学ぼう

そもそも、プロダクトマネージャーが成功させるべき「プロダクト」とは何か?

プロダクトマネジメントの基本を学ぼう 第3回


 第1回、2回の記事を通してプロダクトマネージャーとは何かについて解説してきた。一言で言えばプロダクトマネージャーはプロダクト作りのプロフェッショナルだ。では、この「プロダクト」とはそもそも何を意味するのだろうか? 今回はこの部分について深掘りしていこう。また、営業職は期内の契約件数や売上、マーケティング職ならキャンペーン施策の効果、ソフトウェアエンジニアなら開発した機能など、そのこなした職務が成功したかどうかがわかりやすい。ではプロダクトマネージャーの仕事は何をもって「成功」したと言えるのだろうか? この部分について具体的なイメージを持っていない読者も多いようなので併せて説明する。

前回記事

第2回「PMに任命された人が陥りがちなワナとは? プロダクトマネージャーの本当の役割を知ろう

「プロダクト」とは?

 プロダクトマネージャーはプロダクトの成功に責任を持つ人であるが、改めてプロダクトとは何か考えてみよう。

 本連載ではプロダクトを「市場において顧客となりうる個人や団体に価値を提供するもの」と定義する。ITを活用したプロダクトを主に取り上げているが、これにはパソコンやスマートフォンのようなハードウェアやOSやブラウザ、さらにはクラウド技術やそれらを活用するECサイトなどのソフトウェアが該当するということは前回触れた。

 これらのプロダクトはいくつかの機能に分割されたり、複数プロダクト群を持ったりすることもある。プロダクトを部品として活用するような上位プロダクトが存在することもある。これらを図にすると次のようになる。

プロダクトの例
プロダクトの例

 プロダクトはいくつかの機能により構成されることが多い。また、複数のプロダクトによりプロダクト群が構成されることもある。

 具体例としてSNSサービスを取り上げて見ると、下図に示すような関係になる。

★図の挿入位置を変えました★

 SNSサービスの中には、文章や写真を投稿する機能もあれば、友だちの投稿を閲覧する機能、投稿に「いいね」でリアクションをする機能などがある。また、SNSのタイムラインとは独立して、SNS上でつながっている友だちと個別にメッセージのやり取りをする機能もある。この場合、SNSとしてのプロダクトと、メッセンジャーとしてのプロダクトを分割することもある。そして、SNSプロダクトとメッセンジャープロダクトは同じプロダクト群に所属する関係になる。

 このようにプロダクトは複数の機能や個別のプロダクトが連携して動作することが多い。プロダクトマネージャーの役割で説明したように、プロダクトはこれらのどの粒度のものも該当する。粒度によって求められる要件は異なり、またプロダクトマネージャーの役割も異なる。

 一方でソフトウェアの割合の小さいものや人間のオペレーションが中心となるものであっても、プロダクトと考えることができる。

 例えば、シェアリングサービスの代表例ともなる「Uber」などのライドシェアは、国や地域によっては純粋なライドシェアではなく、タクシー配車サービスの形で提供されることもある。タクシー配車は以前から存在していた業務であり、電話でタクシーの配車を依頼するというようなオペレーションで実現されていた。

 このタクシー配車をスマホアプリの形で自動化する点で一つの進化系であるが、そこまでの進化を遂げなかった場合でも、タクシー利用者の課題を理解し、それを解消するオペレーションにしようとする取り組みはプロダクトマネジメントの一環であると考えられる。人手を介したオペレーション部分を残したとしても、依頼電話が多いピークのシーズンや依頼内容を分析することで、顧客の課題解決は可能であろう。タクシー配車をプロダクトとして見た場合、スマホアプリの提供とは手段であり、プロダクト改善にITを使うだけがすべてではない。

 このタクシー配車に関しては、多くの国でUberやそれに類するサービスが普及していることを考えると、需要予測やオペレーションスピードの向上などにおいてIT活用は最終的には必須であろうと思われるが、それでもタクシー利用者の体験としての最も重要な乗車体験は、自動運転が一般に普及するまでは、運転手という人間によるオペレーションに頼らざるを得ない。

 このように人間のオペレーションの割合が高いものであったとしても、その部分を含めてプロダクトマネジメントの手法を生かすことが可能であるし、必須だとも言えよう。

次のページ
「プロダクト」と「プロジェクト」の違いは?

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この記事の著者

及川 卓也(オイカワ タクヤ)

 早稲田大学理工学部を卒業後、外資系コンピューターメーカーに就職。営業サポート、ソフトウエア開発、研究開発に従事し、その後、別の外資系企業にてOSの開発に携わる。その後、3社目となる外資系企業にてプロダクトマネージャーとエンジニアリングマネージャーとして勤務後、スタートアップを経て、独立。2019年...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

曽根原 春樹(ソネハラ ハルキ)

 Fortune500系外資企業に入社後、SE、カスタマーサポート、マーケティングなど様々な役職を日米で従事。その後シリコンバレーでプロダクトマネージャーに転身。B2B、B2C領域で米系大企業・スタートアップの双方でプロダクトの世界展開に携わる。現在はSmartNews社米国法人にて日本のスタートア...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

小城 久美子(コシロ クミコ)

 toC向けサービスを提供するWeb系企業に入社し、その後いくつかの企業で新規事業の立ち上げなどにエンジニア、スクラムマスターとして携わる。どう作るかより何を作るかに興味関心が移り、プロダクトオーナー/プロダクトマネージャーに転身。プロダクトマネジメントについてより深めるために、2019年よりTab...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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