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エンジニアから経営層と渡り合えるコンサルになるための最短キャリアパス

エンジニアから経営層と渡り合えるコンサルになるための最短キャリアパス(後編)

先見性のあるBIコンサルタントのキャリアパス


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将来的にコンサルタントになることを考えている開発者は多いと思います。ただ、一口にコンサルタントといってもさまざまな種類があり、そのキャリアパスは複雑なものになるでしょう。本稿ではコンサルタントになるための、最短キャリアパスを紹介します。

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イーシステムテクノロジー株式会社 執行役員 CRM第三部 部長 石川 亨

 コンサルタントを目指すエンジニアの皆さんにとって、その目標を実現させる最短のキャリアパスとしてBI(Business Intelligence)コンサルタントがあります。前回はコンサルタント全般について紹介しました。今回は、BIについて深く掘り下げていきたいと思います。

BIは、企業の目標や戦略を策定するために活用する

 企業の経営戦略では、まず「戦略目標」を定め、目標を実現するための「手段」CSF (critical success factors;主要成功要因)を策定し、その手段が遂行されているかどうかを測定する「指標」(重要目標達成指標)を決定します。それらを管理する手法の一つにPDCAがあります。また効率的な流通を実現するためにSCMを戦略的に活用する企業が増えていますが、SCMの分析や評価、活用にもBIが有効な手段となります。

 ここで言う、PDCAとは「品質の維持、向上や継続的な業務改善などを推進するためのマネジメント手法」のことを指します。

  1. Plan:目標を設定して、それを実現するためのプロセスを設計・改訂する
  2.  
  3. Do:計画を実施し、そのパフォーマンスを測定する
  4.  
  5. Check:測定結果を評価、結果を目標と比較するなど分析を行う
  6.  
  7. Action:プロセスの改善・向上に必要となる変更点を明らかにする
PDCAサイクル
PDCAサイクル
データウェアハウスとは異なるBI

 業務系のデータを取り出し、大規模データベースに格納し一元管理するところまでが「データウェアハウス」です。このデータウェアハウスから分析目的別の小規模データベースを作成し、検索/レポートツールを使って分析を行う部分が「BI」です。下記に、BIがどのようにデータを分析するかを紹介します。

OLAP(On-line Analytical Processing)

 企業がバッチ処理で蓄積したデータベースを多次元的に分析し、視覚化して、問題点や課題を発見するための分析用システム。エンドユーザー自身が試行錯誤しながら直接データを操作します。

OLTP(On-line Transaction Processing)

 企業が一般的な業務でリアルタイムに行うオンライントランザクション処理。売上伝票の処理のような事務処理の作業単位をトランザクションと言います。ネットワークに接続された端末がホストコンピュータにトランザクション処理の要求を行い、ホストコンピュータがそれに基づいてデータを処理し、処理結果をただちに端末に送り返す処理方式のことです。処理途中で処理が中断するとデータの整合が失われるため、高い信頼性が要求されます。

データマイニング(Data Mining)

 販売データや通話履歴など、大量蓄積されるデータを解析することにより、項目間の相関関係を探し出すことを指します。

 データウェアハウス内の膨大なデータから、これまで気づかなかった規則性や関連性のルールを発見することで、ビジネスへの活用を図るデータマイニングという手法があります。リスク管理上ではDMの返信率から優良顧客を特定したり顧客や商品の購買傾向を発見し、予測をすることで機会損失を未然に防ぐことが必要です。さらに判断の切り口や仮説検証をOLAPで行い、現場の判断業務の効率を上げることができます。

 データマイニング手法やOLAPなどのツールを使うことで専任のアナリストがいなくてもエンドユーザーレベルで簡単に分析し、戦略を打ち立てることができるのです。

BIとDWH
BIとDWH
BIに欠かせないKPIとは

 BIを導入するに当たって、欠かせないのがKPI(Key Performance Indicator)です。BIによって、戦略目標を打ち立てたとしても、それがどれだけ実行されているのかを測る一定のパラメータがないと、達成度が把握できません。そこで、登場するのがKPIなのです。

 KPIとは、ひと言で表せば、「企業の業績を評価するための指標」です。企業の経営戦略では、まず「戦略目標」を定め、目標を実現するための「手段」CSF(主要成功要因)を策定し、その手段が遂行されているかどうかを測定する「指標」(重要目標達成指標)を決定します。

 学校の成績表での「5段階評価」が企業の戦略目標KGI(「売上高」「利益率」「成約件数」などのゴールを達成したか否かを表す)とするならば、それとは別個に評価される「行動の記録」に相当するものと考えてください。プロセスの実施状況を計測するために、実行の度合い(パフォーマンス)を定量的に示すものなのです。

 ゴールに向かってプロセスが適切に実施されているかどうかを中間的に計測する(「引き合い案件数」「顧客訪問回数」「歩留まり率」「解約件数」など)のが、KPIです。 企業戦略を実現するために業務プロセスをチェックする上で、とても重要な指標となります。

KPIの視点

 学校の成績表で言えば「授業態度」、企業のKPIで言えば「従業員の満足度」のように本来は数値にしづらい項目でも、理解しやすくするためにあえて数値化をして、状況判断の材料とすることが目的なのです。KPIでは一般的に以下の4つの視点から分析することが一般的でした。

  1. 安全性の視点 ⇒ いざという時に払えるお金がどのくらいあるか?
  2.  
  3. 収益性の視点 ⇒ どのくらい利益があるのか?
  4.  
  5. 生産性の視点 ⇒ 資本や労働力がどのくらい効率的なのか?
  6.  
  7. 成長性の視点 ⇒ 前期と比べてどのくらい伸びているのか?
バランスト・スコアカードという視点で測る

 最近では企業の業績評価が財務諸表(損益計算書、貸借対照表など)に偏っていたのではないかという反省をもとに、バランスト・スコアカードという4つの視点で複合的に企業活動を分析する手法が取り入れられています。

 バランスト・スコアカード(Balanced Scorecard)とは、ハーバード大学ビジネススクールのロバート・キャプラン教授とコンサルタントのデビッド・ノートン氏が1992年に開発した「戦略マネジメントのためのシステム」です。

 目に見えない評価基準の明確化。財務指標だけではなく、非財務指標も含めた4つの視点(財務、顧客、プロセス、学習)で業績管理、評価を行う手法です。これら4つの視点にはそれぞれ関係性があります。4つの視点で複合的に見ることで、企業の活動が適正かどうかを評価する方法です。

 4つの視点とは次のとおりです。

  1. 財務の視点
  2. ⇒ 財務的に成功するために株主に対してどのように行動すべきか?
     
  3. 顧客の視点
  4. ⇒ ビジョンを達成するために顧客に対してどのように行動すべきか?
     
  5. 業務プロセスの視点
  6. ⇒ 株主と顧客を満足させるためにどのような業務プロセスに秀でるべきか?
     
  7. 学習と成長の視点
  8. ⇒ ビジョンを達成するためにはどのように変化と改善の能力を維持するか?
BSC(バランスト・スコア・カード) 1992 ロバート・キャブラン、デビッド・ノートン
BSC(バランスト・スコア・カード) 1992 ロバート・キャブラン、デビッド・ノートン

 BIは、企業戦略の立案という重要な役割を担います。新たな製品、新たなビジネスを作り出すために活用され、企業を攻めに転じさせる力を持っています。BIコンサルタントは企業の経営者と共にプロジェクトを率いることになります。

 エンジニアからコンサルタントになるための最短のキャリアパスではあるのですが、重責を担うコンサルタントでもあります。それだけにやりがいのある世界です。今後のキャリアプランを考えるとき、BIコンサルタントという世界にぜひ注目してみてください。

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この記事の著者

イーシステムテクノロジー株式会社 石川亨(イシカワトオル)

イーシステムテクノロジー株式会社 執行役員 CRM第三部 部長。同社においてERP(基幹情報システム・ソフトウェア・パッケージ)の導入コンサルティングを行っている。ここ10年間はドイツSAP社のR/3導入のビジネスに従事。外資系企業での勤務が長かったため、海外とのビジネス経験も豊富。国際ビジネスでの...

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https://codezine.jp/article/detail/1413 2008/09/03 14:01

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