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【デブサミ2008】Rubyのためにできること-コミュニティとのかかわり方

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「David Intersimoneと日本のRubyのコミュニティが、オープンソースの現在と未来について語る会」では、一般開発者がRubyのために何ができるかについてパネルディスカッションが行われた。

 CodeGear Presents「David Intersimoneと日本のRubyのコミュニティが、オープンソースの現在と未来について語る会」では、一般開発者がRubyのために何ができるかについてパネルディスカッションが行われた。モデレータは日本Rubyの会、角谷信太郎氏。

 現状のRubyやRubyコミュニティが抱える問題について、「とにかく人がいなくて困っている。Rubyのサイトをメインに更新する人やドキュメントを整理する人など、言語以外の部分で手助けしてくれる人が欲しい」(日本Rubyの会代表、高橋征義氏)、「Rubyはすでに数億円規模の案件が存在するようになっている。やはり開発者が少ない」(Rubyビジネス・コモンズ、最首英裕氏)という人不足の現状が報告された。また、Akasaka.rbの高井直人氏からは「Rubyが広まるにつれ、『Rubyは短気開発、低予算用の言語だ』という変な誤解をされているときがある。なかには『SNS専用の言語だ』と思っていた方もいた。しかもこういった誤解は開発者の方に多い」という意見が出された。

 しかし、多くの人が勉強会やイベントを通じてRubyの普及を実感しているという。この中でCodeGearのデビット・インターシモーネ氏は「アメリカでもヨーロッパでもカンファレンスが行われており、中には1600名もの参加者が集まったものもある。すでに学ぶだけではなくビジネスの現場でどう使っていけるのか、という会議になっている」とアメリカでの現状を伝えた。また、「CodeGearはRailsに特化した『3rdRail』という開発ツールを提供しており、開発者のお役に立てればと考えている。同時にEclipseコミュニティなどへの貢献も通じて開発環境の充実に尽力していきたい」と述べた。

デビット・インターシモーネ氏
デビット・インターシモーネ氏

RubyとRailsの意思疎通

 Rubyアソシエーション・前田修吾氏はRubyのコミッターという立場からRubyの現状を説明した。会場に向かって「この中でRuby 1.9をダウンロードした人いますか?」と問いかけるとほとんどいなかったことを受け、苦笑しながら「まだバグが多いためなかなか使ってもらえていない現状がある。今後はバグを減らしたい」と語った。

 インターシモーネ氏はRubyの問題点として、「RubyとRailsの同期化に困っている。例えばRails 2.0はRuby 1.9に対応していない。お互いがお互いを必要としているので相互性を保つ必要がある」と指摘、これに対して「Ruby開発の際にRails側のフィードバックが来ない。1.9のときもプレリリースを出したのだが、あまり意見が寄せられなかった。もう少しお互いのリリース前に意見交換ができるといいのでは」と、Ruby・Rails双方の良い関係性を実現する方法について多くのパネリストが意見を出していた。

もっとコミュニティに参加を

 また、「もっとコミュニティに参加すべし」という意見が出た。例えばRuby開発では「バグトラッキングシステムが機能しきれていなかったりする。元々Ruby開発者は1人1人がやりたいことをどんどんやってしまうことがあるため、全体のスケジューリングや統制が取れていないところがある。また、中には音沙汰がなくなってしまった人もいて、その人が担当していた部分がどうなったかわからなくなるときある」と安定的にバージョンアップしていく難しさが述べられた。「この人達のために連絡を取り合う、ハブになるようなアシストしてくれる人がいるといいのではないか。返事が返ってこなくてもめげないような(笑)」(高橋氏)。

 加えて高橋氏は「Rubyの会としても場を提供することはできるが手取り足取りフォローすることは難しい。なるべく自発的に動いてくれる人が欲しい」と述べ、どうしたらかかわることができるかという問いに「最初はメーリングリストを読むところから始めて、徐々にかかわれそうなところに絡んでいくのがいいと思う。そのうちに大きな部分に絡めるようになるはず」とコミュニティ参加のステップを示していた。

Rubyの今後

 最後にインターシモーネ氏は「このようににコミュニティの精神が生き、Rubyが前進していくのは素晴らしいことだ。世界中に多くの言語やコミュニティがあるが、Rubyという言語を見たときにこれは何かあると感じた。Rubyの良い点は非常にオープンなことで、この点は.NETやJavaよりも優れていると思う」と感想を述べた。

 開発者がRubyに対してできることとして「まずはRuby 1.9をインストールする。そしてバグの報告をする」(前田氏)、「メールマガジンを読む」(高橋氏)、「勉強会に参加する」(最首氏)といった意見が出され、高井氏は「コミュニティといっても敷居は高くないのでどんどん参加して欲しい。ただの飲み会だったりするので」と締めくくった。

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この記事の著者

飯岡 幹雄(編集部)(イイオカ ミキオ)

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https://codezine.jp/article/detail/2238 2009/01/15 12:06

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