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たった5つのルールではじめるC言語開発

便利な記述法


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 5つのルールもようやく最後です。C言語でプログラムを書くときに必要な約束や便利な記述方法を学びます。ここは簡単ですから制御文や関数で凝った肩をほぐしながら目を通してください。まずはプロトタイプ宣言からいきましょう。

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プロトタイプ宣言は関数の事前申告

 リスト1に、もういちど前回のプログラム(関数を使ったスプーンの音待ち)を示します。実際にビルドして試されましたでしょうか? 中には運良く見慣れぬエラーになってしまった方もいらっしゃるでしょう。エラーの出なかった方は、リスト2のようにmain関数を一番最初に記述するように書き換えてみて、再度ビルドしてみてください。

リスト1:前回のプログラム
void  AllLedOff( )
{
    P12.3 = 0 ;
    P4.5 = 0 ;
    P13.0 = 0 ;
    P2.3 = 0 ;
    P2.2 = 0;

    return;
}

void WaitSound()
{
    while( P3.0 == 1 ){
        ;
    }

    return;
}


void Led_D7( int onoff )
{
    if  ( onoff == 1 ){
        P12.3 = 1;
    }
    else{
        P12.3 = 0;
    }

    return;
}

void main( void )
{
    AllLedOff();
    WaitSound();

    Led_D7( 1 );

    while(1){
        ;
    }
}
リスト2:関数の順番を入れ替えてみる(main()を先頭に)
void main()
{
    :
}

void  AllLedOff( )
{
    :
}
void WaitSound()
{
    :
}

void Led_D7( int onoff )
{
    :
}

 さてこれをビルドすると以下のエラーが表示されます。

表示されるエラー
main.c(54) : W745 Expected function prototype
main.c(55) : W745 Expected function prototype
main.c(57) : W745 Expected function prototype
main.c(66) : F747 Function prototype mismatch
main.c(78) : F747 Function prototype mismatch
main.c(87) : F747 Function prototype mismatch

 最初の3つのExpected function prototypeは、main関数で他の関数を呼び出している各行について警告が出ています。内容は、「呼び出している関数がプロトタイプ宣言されていないよ」という意味です。あとの3つ、Function prototype mismatchは、AllLedOff()、WaitSound()、Led_D7()の各関数の宣言場所でエラーになっています。内容は「関数のプロトタイプが合っていない」というものです。

 さあ、このプロトタイプとは何でしょうか。それは、関数の型の事前申告です。たとえばmain関数では最初にAllLedOff()を呼び出します。このとき、Cコンパイラは初めてこのAllLedOff()に出会います。この関数に引数があるのか、戻り値の型は何なのかわからないままにです。そこでCコンパイラは、文法的に正しいかどうかチェックすることができず、警告を表示してプログラマに知らせてくるのです。と同時に、とりあえず初めて見た関数はint型と仮定して先に進めます。

 すると今度は、呼び出される関数の実体と出会います。実体はintなどではなく、void型なので、Cコンパイラはここは明らかに間違っているという判断をして「型が違う」と、今度はエラーを表示しているわけです。

 これを解決するには、「関数を使う前に申告しておく」ことを行います。申告の書式は、以下のとおりです。

申告の書式
型  関数名 (引数型, 引数型……) ;

 リスト1に登場する3つの関数のプロトタイプ宣言は、以下のようになります。

3つの関数のプロトタイプ宣言
void  AllLedOff( void );
void  WaitSound( void );
void  Led_D7( int onoff );

 引数のないものは、戻り値がない場合と同様にvoidという言葉で引数がないことを明示します。また、引数のあるものは、型だけでなく変数名も書いてもOKです。ですからLed_D7()のプロトタイプ宣言は、以下のどちらでもOKです。

Led_D7()のプロトタイプ宣言
void  Led_D7( int onoff );
void  Led_D7( int );

 この宣言を、関数を使う(呼び出す)前、つまりmain()関数の前に記述して、ビルドしてみてください。今度はエラーなくビルドできたはずです。

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この記事の著者

舘 伸幸(タチ ノブユキ)

NECマイクロシステム株式会社 勤務NPO法人SESSAME 所属開発ツールのソフトウェア開発を経て組込みソフトウェア開発に従事。プライベートにも半田ごては手放さない。2006年からSESSAME に参加。若い世代に物を作る楽しさを伝えていきたい。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/3731 2009/03/26 17:09

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