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社内シナプスを活性化しよう

社内コミュニティの活用法(2) つなげる


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 アンテナを強くして、きっかけをつかみ、社内コミュニティを意気揚々とスタートさせたものの、そのまま全員が口をパクパクあけて待っているだけでは、残念ながらコミュニティは活発に継続していくとは限りません。社内コミュニティも生き物です。生き物だからこそ、面白く、楽しめるものなのです。今回は、シリーズ2回目として、「集めた」あとの「つなげる」ための工夫やポイントについて、お伝えします。

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まずは敷居を下げてみる

 2002年7月にはじまった社内アジャイルユーザグループ「X.PUG」は、6年経った現在までに、メーリングリストに投稿されたメール数は650通程度。決して多いとはいえない数かもしれないですが、参加しているメンバーには、メール数だけでは測れない、気付きやヒントを得ることができたのではと思います。

 些細なことかもしれませんが、X.PUGのメールのやり取りには、ちょっとした工夫があります。みなさんが立ち上げようとされている、もしくはすでに立ち上げている社内コミュニティに、ぴったりとあてはまるかどうかはわかりませんが、これらの工夫を少しだけご紹介します。

発信を躊躇してしまう

 いろいろな方法で情報の共有などに取り組んでも、なかなかうまくいかない場合もあります。そのほとんどが、参加メンバーが情報の発信を躊躇していることに原因があるのです。

 まず、社外コミュニティと違って「社内」に設立されたコミュニティでは、一部の参加メンバーがついつい「社内で義務付けられた活動の一環」とかん違いしてしまうことがあります。このかん違いを持ってしまうと、コミュニティの背景にある「参加メンバーの役職」や、「それぞれが所属している部門同士の業務上でのつながり」など、社内にはびこる「見えないしがらみ」を気にすることにつながってしまい、へんな遠慮を発生させてしまうのです。

 また、出張報告書や技術レポートを書くように、できるかぎり丁寧に書き、先輩や上司に確認してもらってから提出するという「社内特有のアプローチ」にあまりにも慣れすぎている場合などは、コミュニティのメーリングリストだとしても、情報発信すること自体への敷居を感じてしまっているので、発信を躊躇してしまう場合があります。気にするほどかたぐるしいものではないはずなのですが、発信者自身がそう思い込んでしまっているのです。

 これらの社内の風土や、特有のしきたりをきっかけにした、ほんの些細な思い違いが、メンバーの中に必要以上にはびこってしまうと、社内コミュニティでの情報の流れを制限してしまうことにもなってしまいます。

気持ちのブレイク

 このようなことに影響を受けないように、気軽に情報共有できるようになるには、まずは「コミュニティへの敷居を下げてみる」ということが重要になります。前回お伝えしたような簡単な自己紹介項目もそうですが、「できる限り簡単」に発信でき、「気軽に本音が出せる」ように、ちょっとした工夫をすればいいのです。例えば、コミュニティのテーマには直接は関係がないかもしれないけれど、つい気になった身近な出来事や発見、現場でうまくいった自慢、疑問に思っていることをアンケートしてみるなど、どんなことでも構いませんので、とにかく発信して、楽しんでもらうきっかけを作ってしまうことで、発信を躊躇している参加メンバーに、「なぁんだ、こんなことでもいいのか!」という気持ちのブレイクができていくと思います。

 社外のコミュニティのメーリングリストでは、全く関係のない内容の投稿は、邪魔になってしまったり、それをきっかけに泥沼バトルが繰り広げたり、結果的に参加者激減、情報共有停止という最悪のケースもあるかもしれませんが、社内のコミュニティであるからこそ、参加メンバーの部署も氏名も、場合によっては顔までも知っているメンバーですので、ある程度のけじめは暗黙的にできていくはずです。まずは遠慮せずに「思っていることを気軽に伝えられる雰囲気」を作り出していくことがポイントです。

思わぬ効果が

 気軽に伝えられる雰囲気ができ、役職や立場を超えて気軽に意見を伝え合うことができるようになれば、思わぬ効果があります。例えば、いろんな意見を交わし仲良くなったメンバーが、実は自分の上司と同期入社だったということに、あとから気づくようなことだってあります。そのおかげで、上司をより身近な存在に感じることができ、距離感が縮まるという効果も得ることもあるのです。

 急激な市場変化の渦に巻き込まれている組込み業界では、普段から多くの人と気軽に情報を共有でき、意見を交し合えることは、非常に重要な武器になります。ピラミッド型の組織体制の中で、情報を共有しにくい、意見を集めにくいという状況では、いろいろな判断に時間がかかりすぎて、市場の動きから取り残されてしまうことだってあるからです。できる限りフラットで、メンバーの思いと意見を気軽に話し、迅速な判断ができることは、日頃から社内のコミュニティなどを利用して、部署や役職を超えた意見の交換に慣れることや、それが実現できる場を自分自身で作ることを通して、身についていきますし、そんなメンバーが増えることは、最終的には組織にとっても大きなメリットになります。

アングラ

 少しイレギュラーな内容ですが「X.PUG」で活用したポイントを、おまけにもう一つ。今でこそメンバーも増え、あまり言うことはなくなりましたが、新しく参加してくれたメンバーに説明する時などに「社内アジャイルユーザグループ」の間に「アングラ」というキーワードを無理やりくっつけて使用していました。「社内アングラアジャイルユーザグループ」です。

 最初から否定的なキーワードと思われるかもしれませんが、アンダーグラウンドで、ボトムアップのユーザグループであり、気軽に意見を出し合いながら、どんどん成長させましょう! そして、参加しているみんなで、アングラではないグループに発展させていくんだぞ! という「思い」と「目標」を伝えるための手段だったのです。こんなキーワードも、参加メンバーの気持ちのブレイクになっていたのかもしれません。

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この記事の著者

前川 直也(マエカワ ナオヤ)

業務システム開発、組込みソフト開発を経験し、現在現場密着型SEPG。社内の研修センターで、アジャイル研修、チームビルディング研修の講師を担当Project Facilitation Project理事、XPJUG関西理事。本業(?)は、箏と三味線の師匠。京都で修行しながら「日本文化」からのヒントを模...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/3736 2009/03/26 17:30

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