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コドモに伝える組込みソフトウェア開発

マジカルスプーンと教育


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 MDDロボットチャレンジに端を発し、教育プログラムに発展した「マジカルスプーン」とはどのようなものか。実際に行なわれた数々の試みの様子を交えて紹介します。

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マジカルスプーンとは

 マジカルスプーンとは、情報処理における符号化/復号化を体験的に学習させる教育プログラムです。このプログラムは、以下の3点を目的としています。

  • 児童・生徒に対して情報の科学的な理解のための機会を提供すること
  • 情報科学の根本原理の1つである“符号化”に関する興味を喚起すること
  • 情報システムを構成(符号化、符号列の設計、システムの構成要素の制御など)する実体験を持たせ、情報科学に対する関心を深めること

 スプーンを叩くという身近な現象と組込システムとを組み合わせ、コンピュータによる情報処理と仕組みを、情報システムの開発者の視点から学ぶ機会を提供します。

 マジカルスプーンでは、金属製のスプーンという高剛性な物体どうしが弾性衝突することで発生する40kHzの超音波を利用して、飛行船の運行制御を行います。スプーンを叩く回数とタイミングを組み合わせた符号体系を学習者自身に設計させます。これがコードセットとして飛行船に随時組み込まれ、飛行船を制御する際の指令になります。さらに、飛行経路に応じて、飛行船を意図通りに動かすための符号列 、つまり飛行船に対する指令系列も学習者に考えさせます。自ら設計した符号体系を用いて飛行船を制御し、その航行結果を評価する。これが、マジカルスプーンの主たる学習の流れです。

 本プログラムの特徴を以下に示します。

  • 学習者がソフトウェア技術者の立場で情報処理にかかわる
  • 情報システムが処理する論理制御の動作の一部を学習者が代行する

 スプーンを叩くことで、飛行船への指令を表現する ―― これが、コンピュータ内部動作の一部である命令発生機構を学習者自らが演じることに通じます。学習者自らがこのような経験を得ることで、コンピュータの内部動作を実体験し、そのメカニズムを直感的に理解できます。また、学習者自身に飛行船を制御するためのコードセットおよびコード列を設計させることで、コンピュータにおける符号生成のメカニズムと人間によるそれとの差異を体感的に認識させることもできます。

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この記事の著者

香山 瑞恵(カヤマ ミズエ)

香山瑞恵(かやま みずえ)信州大学工学部情報工学科 准教授教育システム情報学会 情報教育特別委員会 幹事日本情報科教育学会 理事教育の情報化のためのシステム開発と高等学校情報科のカリキュラム開発とに従事。2005年よりSESSAMEと共にマジカルスプーンプロジェクトを企画・運営。2007年度までに2...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/3796 2009/04/03 11:08

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