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災害によるITインフラへの影響と情報発信の在り方

災害コミュニケーション ITだからできるコト(7)

災害によるITインフラへの影響と情報発信の在り方(7)

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 本連載では災害によるITインフラへの影響と情報発信の在り方について、さくらインターネット研究所が独自に調査研究を行った成果を元に、今後期待される災害コミュニケーションの在り方についてご紹介します。

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視覚情報の共有方法アレコレ

 さくらインターネット研究所では次世代空間情報として、さまざまな表現方法について調査研究を行っています。全天周・全天球撮影技術を用いて1枚の画像の中に多くの空間情報を詰め込むことでデータを圧縮し、災害時の回線状況が極めて悪い場合でも、有効な情報共有ができるようになります。全天周写真から球面への投射、さらに平面画像への切り出しなど、すでに多くの研究成果が出ているパノラマ技術を元に、実証実験を繰り返しています(図1)。

図1.全天周撮影写真から全天球VR(バーチャルリアリティ)への展開作業風景
図1.全天周撮影写真から全天球VR(バーチャルリアリティ)への展開作業風景

 今回は各種ツールの紹介や使い方は割愛し、空間表現方法を目で理解していきましょう。

 全天球撮影した写真には、数多くの情報量が含まれています。共通のツールやWebサービスを使うことで共有することは可能ですが、それ以外にも1枚の画像へ投影することで電子メールやSNSなどを通じて簡単に共有できます(図2)。

図2.全天球写真から1枚画像への投影結果
図2.全天球写真から1枚画像への投影結果

 撮影された写真(図2)は、湖畔からの全天球撮影したデータを、あたかも小さな地球に居るように変換したものです。これはSmall Planet(スモール・プラネット)と呼ばれる表現方法で、パノラマ撮影技術分野では一般的になっているものの一つです。私も一昨年開催されたIVRPA(International VR Photography Association)主催のICELAND2013を通じて数多くの空間表現方法について、参考とさせていただきました。

 全天球撮影データをスモール・プラネット化する場合にも、さまざま配慮が必要です。天候や撮影している高さ、共有したいシンボルの位置などが上げられます。図3は、近隣に鉄塔が存在することを知らせるために作成した画像です。

図3.鉄塔周辺を情報共有するための全天球撮影結果
図3.鉄塔周辺を情報共有するための全天球撮影結果

 通常の写真であれば、撮影者の背面をデータとして残すことはできません。しかし、全天周・全天球での撮影であれば可能なのです。具体的に何を相手に伝えたいかが、最初からしっかりと分かっている場合には、細かい被写体単位での撮影は有効ですが、相互に知りたい情報が異なっている場合での空間情報の共有には、「まずすべてを写して共有する」ことが極めて合理的になります。

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この記事の著者

松本 直人(マツモト ナオト)

1996年より特別第二種通信事業者のエンジニアとしてインターネット網整備に従事。その後システム・コンサルタント,ビジネス・コンサルタントを経て2010年より,さくらインターネット株式会社 / さくらインターネット 研究所 上級研究員。(2016年より一時退任)研究テーマはネットワーク仮想化など。3~5年先に必要とされる技術研究に取り組み、世の中に情報共有することを活動基本としている。著書: 『モノのインターネットのコトハジメ』,『角川インターネット講座 ~ビッグデータを開拓せよ~』など多数。情報処理学会 インターネットと運用技術研究会 幹事

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