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高度IT人材を育成する産学連携の架け橋「トップエスイー」(AD)

ソフトウェア開発の現場をリードできる人材を育成する「トップエスイー」教育プログラム――修了者が語る受講で得られた最先端の知識と実践力(前編)

高度IT人材を育成する産学連携の架け橋「トップエスイー」 第1回

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幅広い専門性に対応した講義内容と「実践主義」が
トップエスイーの魅力

河井:今回は、「トップエスイー」を受講された経験のあるお二人に、受講のきっかけや実際に学んだこと、受講しての感想や、学んだ知識がその後の仕事の中で役に立っているかといったことについて、ざっくばらんにお話を伺いたいと思っています。

 まずは自己紹介を兼ねて、お二方が「トップエスイー」を受講されたきっかけについて教えていただけますでしょうか。

松本:SCSKの松本琢也と申します。アプリケーションエンジニアとして開発に携わっています。社歴は15年目です。

 トップエスイーは、2012年度に6期生として受講しました。当時、私は一時的にエンジニアの人材育成に関する部署におりまして、そこでエンジニア教育をどのようにやっていくかの企画や運営をやっていました。教育のテーマはいろいろあったのですが、その中で少し毛色の変わったコンテンツとして、上司から「トップエスイー」に関する話を聞き「実際に自分で受講をして、どのような内容なのかを評価をしてみたい」と思ったのが受講のきっかけでした。

河井:松本さんに「トップエスイー」を教えて下さった上司の方は、どこでその存在をお知りになったのでしょうか。

松本:SCSKには、トップエスイーがトライアルで開講していた時期から、何名か受講者がいたんです。そのころに受講された方が、人材育成のセクションに話をもってきてくださったようですね。

河井:ありがとうございます。では、礒﨑さんのほうはどのようなきっかけで受講されたのでしょうか。

礒﨑:ソニーの礒﨑亮多です。私は2014年の第9期を受講しました。受講当時は、おサイフケータイなどに搭載されている非接触ICチップ「FeliCa」に関するシステムを扱っているフェリカネットワークスに出向していました。

 私は大学で情報工学を専攻していたので、その中でソフトウェア工学を学んだこともあるのですが、実際に仕事として開発の現場に関わるようになって、学生のころに学んだいろんな考え方や手法の意味や、その良さについて、理解が深まったように感じています。いろんな現場を見る中で、仕事としてのソフトウェア開発が健全に行われているケースが少ないということも分かってきて、自分でも、これまでに学んできた知識を生かそうと個人的にいろいろやってはいるのですが、それを実践するのは簡単ではないという現実もあります。

 そうした問題意識を持っていたときに、たまたまトップエスイーの存在を知り、申し込みました。当時の会社で毎年1人ずつ、受講者を出していたんです。

河井:お二方ともお仕事の中で生まれた問題意識に関連づけて「トップエスイー」に興味を持たれたのですね。では、実際に受講されての感想はどのようなものでしたか。印象に残っている講座や、受講前のイメージとの違いなどがあれば聞かせてください。

松本:トップエスイーの魅力は、非常に幅の広いカリキュラムがあることだと思います。「ITエンジニア」と一口に言っても、実際にはさまざまな役割がありますし、各自のキャリア意識も違います。仕事では、一人ですべてをやることはなく、各分野のスペシャリストが力を合わせるケースがほとんどですが、その各分野に対応したテーマが学べる点が良いと思いました。

 私が受講したのは「要求定義」「要件定義」「設計」といった、主に上流工程に関する講義でした。職務としても、そのあたりを主にやることが多いので、その分野で新しいメソドロジやソリューションが学べればと思い選択しました。

 私自身も、これまでの業務の中である程度はそうしたメソドロジについて知ってはいましたが、トップエスイーの講義を通じて、何気なく使っていたユースケースの意義を再確認したり、これまでに知らなかったメソドロジを学べたりといった点で有意義だったと思っています。

2017年度開講予定科目(*は隔年開講)
シリーズ 科目
形式仕様記述 形式仕様記述 (基礎・VDM編)、形式仕様記述 (Bメソッド編)、形式仕様記述 (実践編)、基礎理論、形式仕様記述 (Event-B編)(*)、プログラム解析(*)、定理証明と検証(*)
モデル検査 設計モデル検証 (基礎)、モデル検査事例演習、設計モデル検証 (応用)(*)、性能モデル検証(*)、並行システムの検証と実装(*),実装モデル検証(*)
アーキテクチャ コンポーネントベース開発、ソフトウェアパターン、オブジェクト指向分析設計、モデル駆動開発(*)、ソフトウェア再利用演習(*)、アスペクト指向開発(*)
要求工学 要求工学基礎、問題指向要求分析、要求工学先端
セキュリティ セキュリティ概論、安全要求分析(*)、形式仕様記述(セキュリティ編)(*)
ビッグデータ ビッグデータIT基盤、機械学習概論、ビジネス・アナリティクス概論
テスティング テスティング(基礎)、テスティング(応用)
クラウド クラウド入門、クラウド実践演習、分散処理アプリ演習、分散システム基礎とクラウドでの活用、クラウド基盤構築演習
プロジェクトマネジメント アジャイル開発、ソフトウェア開発見積り手法、ソフトウェア設計法通論(*)、プロジェクト支援ツール(*)、ソフトウェア品質指向の戦略的PM手法通論(*)、リスクマネジメント(*)
共通 ソフトウェアの保護と著作権

河井:実際に、松本さんがトップエスイーで学んだことは、現在の業務にも生かされているということでしょうか。トップエスイーの目標の一つは、「実践」と「学術」の架け橋を作っていくことにあります。そうした取り組みの活性化が、われわれ講師陣の目指しているところでもあります。

松本:こちらで学んだメソッドを、試行錯誤しながら業務の中にも生かしていこうとしている……といったところですね。どの分野でもそうですが、「学術」的な知識が、即座に「実務」に結びつけられる分野というのは、ほとんどないと思います。かといって、そこに「学ぶ意味がない」わけではなく、身につけた知識を通じた試行錯誤の繰り返しが、結果的に現場で使える「技術」や「ノウハウ」になっていくのではないかと思っています。

 私は、大学でソフトウェア工学を学んだのですが、一度卒業してしまうと、大学院なども敷居が高いイメージがあるんです。その点、トップエスイーはアカデミックでありながら、社会で仕事をしているエンジニアに開かれた場だというのも、いいところですね。そういう性質を持った場所は、ほかにあまりないと思います。受講料がもう少し手ごろなら(笑)、個人でも参加してみたいと思える魅力があります。

平日の講義は業務時間を考慮して18:30から開始される。担当講師による講義に加えて、実践につながる演習も行い、理論の学習に基づいた現場への展開を意識した学習プロセスで進めている。写真は第7期(2012年度)の講義風景。
平日の講義は業務時間を考慮して18:30から開始される。
担当講師による講義に加えて、実践につながる演習も行い、理論の学習に基づいた現場への展開を
意識した学習プロセスで進めている。写真は第7期(2012年度)の講義風景。

河井:ありがとうございます。では、礒﨑さんは実際に受講されてどんな感想をお持ちでしょうか。

礒﨑:松本さんも仰ってましたが、カリキュラムのテーマが幅広いので、受講者のバックグラウンドもバラエティに富んでいました。

 私自身は「クラウドコース」を中心にして、興味のある講義をいくつかとっていました。それまで仕事の中ではクラウドに縁がなかったのですが、クラウド環境を使った開発やクラウドのインフラ構築もでき、今まで自分で勉強してきたネットワークやサーバ技術の振り返りにもいいだろうというのが選択の理由でした。また、授業は土曜日が中心ということで、仕事をしながらの受講にも都合が良さそうだったというのもあります。

 実際の授業は丁寧に作られていて、前提知識が少なくても、きちんと講義に出ていれば最後までついていけるものでした。個人的には「運用の自動化」という概念を、ここでの講義できちんと知ることができたのが収穫でしたね。

河井:これまでの業務の中で「運用」に苦労された経験があるのですか。

礒﨑:私は、以前の業務で放送局向けのプロフェッショナルシステムに関わっていたことがあります。こちらは、まだまだオンプレミスが主流の分野で、サポート対応なども直接世界中のお客様の現場に足を運んで……というケースが多く、そこに非常に多くの労力やコストがかかっていました。でも、サーバ管理やシステム運用の分野で近年大きな進化があって、そのスキームが変えられる可能性がでてきているということを知りました。トップエスイーを受講して良かったと思う大きなポイントの一つですね。

河井:トップエスイーから自分の仕事のやり方を変えるために生かせそうな知識を得ることができたのですね。

礒﨑:ここで学んだことをベースに、今後もさらに勉強を続けて、業務に生かす試みを続けていきたいです。トップエスイーで1年間、クラウドについて学べたことはそのきっかけになったので良かったと思います。

ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)とのPBL(project-based learning; プロジェクト実施型の演習)を年に1回のペースで行っている。写真は2016年に国立情報学研究所で行った時のもので、UCLの大学院生とトップエスイー受講生や協賛企業からの参加者で1週間の日程で進められた。
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)とのPBL(project-based learning; プロジェクト実施型の演習)を
年に1回のペースで行っている。写真は2016年に国立情報学研究所で行った時のもので、
UCLの大学院生とトップエスイー受講生や協賛企業からの参加者で1週間の日程で進められた。

河井:ITの分野は変化が早く、お二人がトップエスイーを受講された数年前から、かなり状況も変わっています。お二人は、修了後に継続的なスキルアップを目指して、何か努力されていたり、習慣にされていたりするようなことはありますか。

礒﨑:私が、トップエスイーの受講を決めた理由の一つには、IT分野に関する知識を身につけるために個人的に勉強をする「クセ」を身につけたいというのがありました。仕事をしていると、どうしても新たな知識を身につけるための勉強は怠りがちになってしまいます。社内や社外での勉強会に積極的に参加することは今も続けています。トップエスイーで、ある程度の知識が身についたと同時に、視野も高くなったと思っています。勉強会に参加するときは、事前にちょっと自分で関連の情報を調べておいてから参加するというようなことも意識しています。

松本:私も、新しい技術や情報に常にアンテナを張っておくということを意識するようになりました。検索エンジンのように、自分の中にある情報のインデックスを常に更新しておくことが大事で、自分にとって特に重要なものがひっかかれば、そこを深掘りしていくという作業は続けています。また、もしトップエスイーで今後、OB向けのコースやオープンな勉強会、セミナーなどが企画されるようであれば、都合のつく限り参加したいと思っています。

トップエスイー 2017年度 講座説明会

 トップエスイーの2017年度向けの講座説明会が、2016年12月16日(金)に東京で開催される。講義や各種のプログラムを実施している担当者による説明を聞くことができると同時に、直接質問ができる機会でもある。トップエスイーの具体的な講義内容や、記事に出てきたアドバンス・トップエスイーコースの「プロフェッショナルスタディ」がどのようなものかを知りたい方には絶好の機会となるだろう。詳細は上記のトップエスイーのサイトに記載されている。

(後編に続く)

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この記事の著者

高橋 美津(タカバシ ミツ)

PCやネットといったIT分野を中心に、ビジネスやゲーム分野でも執筆を行うフリーランスライター。Windowsユーザー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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