情報の整理
ここからが、本格的なITの活用になります。「情報の整理」で利用するソフトには、以下のようなジャンルがあります。
- アウトラインプロセッサ
- アイデアプロセッサ
- マインドマップ
- 表計算ソフト
- テキストエディタ
- Wiki
各ジャンルの紹介
「アウトラインプロセッサ」は、情報を階層構造で表示して書けるツールです。ちょうど、本の目次を書き、その項目に各種メモなどを書いていく形式で、情報を整理できます。「アウトライン=輪郭、概要、大筋」を作り、そこに肉付けしていくわけです。だいたいのソフトは、左ペインにツリー状の見出しがあり、右ペインに文章を書けるようになっています。このタイプのソフトは、専用のものもあれば、テキストエディタにアウトライン機能が付いているものもあります。
「アイデアプロセッサ」は、アウトラインプロセッサと同様のものと見なされることもあります。ここでは、アウトラインプロセッサが、文章の構造を元に書いていくものだとしたら、アイデアプロセッサは、よりグラフィカルな表示が可能になっているものとします。とはいえ、この2つは被っていることが多く、2つの機能を兼ね備えたソフトも多いです。
- NanaTerry
- Nami2000
- AUTLA(あうとら)
- Scrivener
- 秀丸エディタ(アウトライン機能を持ったテキストエディタ)
「マインドマップ」は、アイデアを膨らませるのに利用できます。私の場合は利用していませんが、多くの派生情報を並べて、脳内の地図を広げるのに有効です。
「表計算ソフト」は、「Excel」や、「LibreOffice」の「Calc」などです。情報を箇条書きにして、セルで階層構造を持たせられるので便利です。また、マクロが使えるので、プログラムを使った表示をしたい場合にも有効です。文字数を表示したり、複数のセルを結合して、他の場所に表示したりできます。私も一時期まで、表計算ソフトを使って、小説用の企画のテンプレートを作成して、活用していました。
「テキストエディタ」を使い、テキストで情報を整理するのも有効です。なにより、ポータビリティが高いので、スマホやタブレットにファイルを入れて持ち歩くこともできます。特別なソフトを必要としないのは大きな強みです。テキストエディタは、「秀丸エディタ」のように、アウトライン機能を持っているものもあるため、こうした機能を活用するのも手です。
- 秀丸エディタ(私は本ソフトを使って作業をしています)
ここ数年、一番有効だと思っているのは「Wiki」です。Wiki記法で情報を記述して、その情報をアウトライン機能で表示する。また、独自拡張のWiki表示ソフトを作り、ブラウザで表示可能にする。そうしたことをしています。
Wiki記法で情報を整理すると、アウトラインエディタとテキストエディタの恩恵を得られます。また自前でWiki表示ソフトを用意しておくと、文書内にプログラムで処理可能な情報を埋め込むことも可能になります。
以下のスクリーンショットは、自分で開発して利用している、独自拡張のWiki表示ソフトの「テキスト」と「Webブラウザの表示画面」です。時間や年齢の計算は、プログラムで自動で行なうようにしています。そのうち公開できるように、仕様を一般的なものにしたいです。
小説の設計図作成
「小説の設計図作成」は、最初の頃はテキストで書いていました。その後、表計算ソフトを使う時期が長かったのですが、今はテキストで書き、独自拡張のWiki表示ソフトで表示しています。
小説の設計図作成は、大きく分けて3つの作業に別れます。「企画作成」「キャラクター作成」「プロット作成」です。それぞれテンプレートを用意しており、新しい小説を1本書くごとに、テンプレートをアップデートしています。そうすることで、前作で犯した設計上のミスを、次作で改善するようにしています。
以下、それぞれの現時点でのテンプレートを掲載しておきます。ただ、テンプレートが用意されていても、失敗を経験しながら活用しなければ、あまり意味がないということは体験済みです。最初の頃に役に立たないと思った項目が、数年後に実力が上がると活用できたということは多いです。何事も、勉強と体験の両輪がなければ駄目なのだと思います。
「プロット作成」については、以下のテンプレートを下敷きにして、プリビズ(Pre-Visualization、アニマティックなどとも言う)的なテキストを作成していきます。このテキストは、最終的な本文の20~30%になることが多いです。
小説についても、基本的にはプログラミングと同じように、ノウハウは共有していこうと考えています。再現性が得られる形で作業を行ない、履歴を残していますので、求められれば情報はなるべく出していきたいところです。ワークショップなども行えると楽しそうですね。
# 企画 ## どんな主人公 ## どんな舞台 ## 商品としての売り ## 主人公の動機 ## その動機の理由 ## 読者の感情移入理由 ## 事件(非日常) ## カタルシス(どんな解決) # 敵 ## どんな敵 ## 敵の動機 ## その動機の理由 # 登場人物 ## ストーリーを進行させ成長する **主人公** **協力者** ## ストーリーの原因を作る **敵対者** **犠牲者** ## ストーリーを変化させる原因を作る **命令者** **援助者** ## 主人公に対抗して消える **対抗者** ## その他 **その他** # ショート・プロット ## 主人公 + 動機(正義、悩み、欠損) + 正義 + 悩み + 欠損 + エピソード + 非日常 + 出会う物 + 行動 + 獲得物 + カタルシス(動機の解決) + 内容 ## テーマ + キャッチフレーズ + 描写スタイル ## トリガー情報 # 筋立て(ストーリー)の設定情報 ## バック・ストーリー情報 ### 物語の原因や背景 ### 原因人物の行動の正当性 ### 敵の正体、解決への伏線
# 基本設定 + 役割 + 二ックネーム(呼称) + 一言紹介 + 氏名 + 性別、人種 + 年齢、誕生日、学年 # 外面設定 + 外見設定 + 顔、表情、髪型 + 体格 + 服装 + 能力設定 + 身体 + 頭脳 + 特殊、趣味 + 社会設定 + 職業 + 年収、階層 + 学歴、略歴 + 住居、生活 + 特徴 + 癖、仕草、性癖 + 執着(事、物、他) + 家族、関係者 + 出身、家庭環境 + 父親 + 母親 # 内面設定 + 動機設定(正負何れも可) + 短期的動機 + 長期的動機 + 原因のエピソード + 共感のポイント + キャラの魅力 + 人柄、性格 + 人柄エピソード + 善側魅力 + 悪側魅力 + 上記2つのエピソード + 弱点 欠点 + 上記のエピソード # 経歴
# A 事件0/舞台、世界観、人、動機、きっかけ **5W1H、主人公、動機** # a 事件1/問題発生、動機との融合と自覚 **どんな変化に遭い、何をすることになるか。葛藤** # B 問題への対処/自分のミス、動機の抑制 **苦境** # b 事件2/テーマの掘り下げ、不幸、ヒントと成長 **援助者からのヒント どんなふうに変わるか** # C 新展開。問題の拡大/日常の喪失、葛藤、苦悩 **物語の転機と拡大 行動の結果→新しい試練** # c 事件3/賭けの提示と決意、動機と世界の融合 **決意、伏線回収、解決の糸口** # D 問題解決への行動/最終決戦 # d 結び/次への引き **結局どうなる話か**