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自律的にカイゼンを続ける組織を作る方法論としての「スクラム」の可能性

開発チームの壁を越えたアジャイル実践への挑戦
2019/07/02 11:00

 刻々と変化するビジネス環境やユーザー要求に柔軟に対応するシステム開発手法としての「アジャイル」、中でも「スクラム」が、多くの注目を集めています。一方、「ビジネス」と「システム」との関係が不可分なものとなっている現在、システム開発の領域だけでなく、事業に関わる組織全体を「アジャイル化」することの重要性も増しています。今回、ヤフーにおいてクレジットカード事業に関わるシステムの刷新と継続的な「カイゼン」に取り組んでいる中村亮介氏と、それぞれに「アジャイル開発」の普及を目指した活動に携わり、『カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで』(翔泳社刊)の著者でもある、ギルドワークスの市谷聡啓氏、ヴァル研究所の新井剛氏に「開発チームの枠を超え、組織全体をアジャイル化する」手法としての「スクラム」の可能性について語っていただきました。

独りぼっちで始めた「カイゼン」を組織に広めることは可能か

中村:中村です。ヤフーに入社したのは2017年10月で、Yahoo! JAPANカードに関するシステムの企画、構築に携わっています。普段は福岡で勤務しています。入社以来、もともとPHPベースだったレガシーな開発環境を、Javaベースのモダンなものに刷新することに取り組んできていて、それをより良い形で維持し続けられるよう、継続して「カイゼン」に取り組んでいます。現在も現場での「カイゼン」を試行錯誤している立場として、お二人とお話しできるのを楽しみにしていました。本日はよろしくお願いします。

市谷:市谷です。こちらこそ、よろしくお願いします。自分は最初、主に下請け開発中心の組み込み系プログラマーとしてキャリアをスタートしています。その後、SIerや大手のネットサービス企業などを経て、アジャイル開発実践のために、永和システムマネジメントにも在籍していました。

 現在は、5年前に立ち上げたギルドワークスや、新井さんらとやっているエナジャイルという会社で、SI、サービス開発、アジャイル開発に携わる中で身につけてきた自分たちのやり方を、世の中に問いかけることを続けています。そもそも「何を作るべきか?」というところからスタートし、仮説を立てて、検証しながらアジャイルでものを作っていくということをやっています。

新井:新井です。新卒で入った会社では「船」の中のLAN環境構築や関連するソフトウェア開発などをやっていました。その後、グレープシティでコンポーネント開発をやるようになり、付随してプロマネや宣伝、デベロッパーリレーションズなど、いろいろな業務を経験しました。

 その後、会社を辞めて、しばらくオーストラリアの大学院に留学し、ITと英語を学んでいたのですが、帰国後、「駅すぱあと」のヴァル研究所に入り、プログラマーとして働きはじめ、いまはマネージャーとして仕事をしています。「アジャイル」とは、自動化による効率化など、チームが「疲弊しない」仕事のやり方を模索している中で出会いました。現在は、エナジャイルの一員でもあり、自社だけでなく、より多くの企業にアジャイルのマインドやプラクティスを導入するための支援を行っています。よろしくお願いします。

中村:『カイゼン・ジャーニー』、読ませてもらいました。もう3回くらい、繰り返し読んでいます。現場で「起こりがち」ないろいろな無理難題と、それをアジャイルの手法でなんとかしていくためのヒントがストーリー仕立てになっていて、とても読みやすいです。それにしても、個性豊かなキャラクターがいっぱい出てきますね(笑)。

市谷:ありがとうございます(笑)。それぞれの登場人物には、私がこれまでのキャリアの中で出会い、影響を受けた多くの人たちのキャラクターが少しずつ反映されています。ある人物に、特定のモデルがいるというわけではないんですけれどね。

 私は、キャリアの中で、アジャイル開発や現場のカイゼンに取り組もうと思ったとき、周囲に賛同してくれる人がおらず、独りぼっちで始めることが、とても多かったんですね。そんな時に、何か自分の決断のよりどころになったり、支えになってくれたりするものが欲しいと思っていました。『カイゼン・ジャーニー』には、今、そんな過去の自分と同じような思いをしている人の助けになればという気持ちで、アジャイルに関する知識を詰め込んでいます。

中村:自分も、この職場(ヤフー福岡オフィス)で初めてアジャイルを試みたので、共感する部分は多かったですね。個人的に心に刺さったのは「気がついた人がやる」という部分です。この行動原理を胸に、今も東京と福岡を行ったり来たりしながら、いろいろ試みています。

中村亮介(なかむら・りょうすけ)氏

 ヤフー株式会社 コマースカンパニー金融統括本部 開発本部 マネージャー。2017年10月入社。「Yahoo! JAPANカード」において、モダンな開発環境を維持しつつ、新しいアーキテクチャの導入や利用する技術の見直しなど、環境を常にアップデートし続けていくためのプロジェクトに携わる。

「シビアな現状」を打開するための第一歩は「聞いて話す」

市谷:そもそも、中村さんがヤフーに移られたとき、プロジェクトはどういう状態だったのですか。

中村:まず、2年前に入ったころは「プロジェクトの規模が大きすぎて、全容がなかなか掴めない」という状況でして、まずはその全容を洗い出すというところから始めました。

 チーム構成は、元からいた人と、そのプロジェクトのために増員された中途社員という陣容なのですが、とにかく、状況を把握し、信頼を得るために「聞いて話す」ということを、ひたすらやっていました。

新井:なるほど(笑)。えーと、そもそも、中村さんのプロジェクトでの立場は何だったのですか。

中村:PHPからJavaへの移行作業を伴うプロジェクトだったので、そのテックリードという立場でした。新たにJavaで作っていくにしても、何も考えずにひたすら作ってしまうと、とんでもないものができあがるので、作り方としてドメイン駆動開発を入れるということはやっていたのですが、実際は、ほとんど調整役として動いていましたね。

 とりあえず、開発環境をJavaによるモダンなものに移行するという部分は、2019年2月末に一段落したのですが、全容の洗い出しは続いていて、開発をより簡単に行え、変化に対応可能な環境にしていくための「カイゼン」が本格的に動き出したという状況です。

 アジャイルの導入については、移行プロジェクトの当時から、社内にアジャイルコーチがいまして、その方と相談しながら、ペアプロやってみたり、スクラムを入れてみたりと、状況が見えないながらも、ああしたらどうか、こうしたらどうかと、いろいろ手は打ちました。正直、打った手の数が多すぎて、何をやったかすぐには思い出せません(笑)。

新井:中村さんは、以前の職場でも、スクラムの導入やチーム作りに関わられていたのでしょうか。

中村:スクラムの存在そのものは知っていましたが、それを自分の現場に取り入れて実践するというのは初めての経験でしたね。上述のアジャイルコーチの方と大規模スクラム(LeSS)を取り入れるなど相談しつつ、進めていました。ある程度のお膳立てはできた状態で、自分が入ってきたという感じでした。

 これまでの経験から「現場がいがみ合うとうまくいかない」ことは理解していました。あまりマイクロマネジメントにならないように、ダメな時になぜダメなのかの「ふりかえり」をやったり、「Impediments List(妨害リスト)」を書き出して、効果を決め、それを自分で延々とこなしていたりとかいうのはあります。そもそも、スクラム自体が初めてなので、やっていることや、やり方そのものが正しいのかどうか、確信が持てない中で、もがいていた感じは常にありました。

 私は、今の職場で、アジャイルコーチに会って、初めてスクラムに取り組むことになったのですが、アジャイルに関して学んだり、情報交換したりできるコミュニティって、以前と比べて減ってきていたりするのでしょうか。

市谷:自分たちの場合、アジャイルについて知りたい、実践したいと思っても、組織の中にそうしたナレッジがなく、組織の外のコミュニティで学ぶしかなかったですよね。10年くらい前の話ですが、その世代が、ある程度アジャイルというものを理解し、実践できるようになった今、新たに取り組もうとする人たちを受け入れる場があまりないという状況には、私も問題意識を感じています。

中村:私の知る限りでは福岡ではないですね。そこで、昨年くらいから「新しくコミュニティを作ろう」という人たちが何人か集まって、動き始めています。

新井:それは素晴らしいですね。「アジャイルソフトウェア開発宣言」が出たのが2001年のことで、日本でアジャイルに関するコミュニティが活発になったのはその後でしょう。そう考えると、その当時生まれた子どもが高校を卒業するくらいの年数は経っているんですよね。当時、新しいやり方を学び、取り入れてきた人が、すでに組織の中で、ある程度の立場になっている状況で、新しく入ってくる人たちとの間に、ジェネレーションギャップというか、何らかの文脈の違いが出てきているというのも、コミュニティが縮小傾向にある原因の一つではないかと感じています。

市谷聡啓(いちたに・としひろ)氏

 ギルドワークス株式会社 代表取締役。株式会社エナジャイル 代表取締役。DevLOVEコミュニティ ファウンダー。サービスや事業についてのアイデア段階の構想から、コンセプトを練り上げていく仮説検証とアジャイル開発の運営について経験が厚い。プログラマーからキャリアをスタートし、SIerでのプロジェクトマネジメント、大規模インターネットサービスのプロデューサー、アジャイル開発の実践を経て、ギルドワークスを立ち上げる。それぞれの局面から得られた実践知で、ソフトウェアの共創にたどり着くべく「越境」続けている。訳書に『リーン開発の現場』(共訳、オーム社)、著著に『カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで』(共著、翔泳社)がある。

プラクティスを生かすも殺すも「人間関係」次第?

市谷:中村さんが、シビアな状況をかなりあけすけに話してくださったので、私もストレートに聞いてしまうのですが、今後も引き続き、スクラムを入れていく気はありますか?(笑)

中村:正直なところ、まだ最終的な結論は出していません。移行プロジェクトが落ち着いた段階で、いったんチームが解散してしまったことなどもあり、現在のカイゼン作業は、また仕切り直しのような段階から始めているのですが、アジャイルやスクラムを入れていくかどうかについても、現場の意見を聞きながら、改めて考えているところです。

 「スクラムでやろう」というと、どうしてもそれに反発する人は出てきてしまうんですね。その意見を無視はしないけれども、自分の立場としても、すべての意見を受け入れるわけではありません。より開発が容易に行えて、変化にスピーディーに対応できる環境を作っていくという目標を達成するために、ベストだと思えるプロセスをとっていきたいと思っています。

 とはいえ、現状、東京と福岡にチームが分かれているので、どうしてもコミュニケーションロスが出てしまうケースがありますね。リモートワークが推奨されてはいるのですが、スクラムのような手法は、チームのメンバー同士である程度の関係性があって、それぞれの行動原理や人間性が多少なりとも見えていないと、回すのが難しいということもあって、今は、その関係を作ることも考えながら飛び回っているといった感じです。

市谷:私もリモートワークが前提のチームでスクラムを回すことをよくやっているので、その感覚はよく分かります。リモートワーク前提でも、最初は一度、実際に合って、お互いの考えていることを知るというプロセスがあるか、ないかでは、その後の展開が大きく変わってくると思います。

新井:本来は、メンバーの価値観や行動特性だけでなく、それぞれのライフイベント、例えば「子どもができた」とか「親の介護をしている」とかいった状況を、プロダクトのフェーズと照らし合わせながら一緒に考えるということをやるべきなんですよね。「お前は、このスキルを持っているから、これをやれ」というやり方だと、パフォーマンスは上がっていきません。

中村:そういえば、『カイゼン・ジャーニー』には、チームの「合宿」の様子を描いているシーンがありました。今、あれをやろうと思って福岡中の観光地を検索しているのですが、実際、どうなんでしょう。合宿って、効果ありますか?

市谷:やったほうがよいですよ。普段の仕事環境とモードを変えることで、パフォーマンスが上がるのはもとより、何よりチームに「気持ち」の変化があるだろうと思います。

新井:合宿では、通常の仕事のメールや電話を一切シャットダウンしてプロジェクトのことだけを考える環境を作れるので、当然、集中力は高まりますよね。

中村:チームで1つの画面を見ながら開発する「モブプログラミング」のようなプラクティスは試してみたことがあるのですが、携帯などを見ないで作業するので、全員がものすごく集中するんですよね。実際に、バグの発見が加速するといった効果もありました。合宿でも、同等以上の効果が得られるのではないかと期待しています。実際に合宿は取り入れてみたいですね。

新井:あと、「チームのテンションが上がる」という気持ちの面は、「それでいくら儲かるの?」と聞かれると困ってしまうのですが、何よりメンバー間の心の距離感が変わることで、基本的にはその後に良い影響があるだろうと思います。

中村:チーム内の人間関係で問題が起きると、自分もそうなのですが、人は基本的に「クローズド」なコミュニケーションで、相手との距離をとりがちになります。それでどうなるかというと、「距離が離れていても大丈夫な、その人たちだけで完結できてしまうような仕事」を作り出してしまうんですよね。でも当然、最終的には合流しなきゃいけないので、そのときは派手に大爆発します(笑)。そういうアンチパターンは、自分も過去に踏んだ経験があるので、今後は避けられるような手だてをとっておきたいですよね。

 プロジェクトで何か問題が起きたときには、「だれかが悪い」と人に原因を帰属するのではなくて、「その人はなぜそういう行動をとるのか」「どういう状況や仕組みが、彼にそのような行動を取らせるのか」を認識して、変えていくことが絶対に必要です。そのためにも、メンバーが互いの「人となり」を分かっていること、心の距離感が近いことって、重要ですよね。

市谷:それは大切ですね。チームの関係が壊れていると、いくら手法を導入しても意味が薄いです。

中村:プロダクトも、組織も、作っているのは人間なんですよね。そうである以上、人間同士がうまくいかない何らかの理由があるなら、それを互いに話し合いながら、変えられる状態にしていかないと、仕事なんかできませんよ。

新井剛(あらい・たけし)氏

 株式会社ヴァル研究所 SoR Dept部長、株式会社エナジャイル 取締役COO。CodeZine Academy Scrum Boot Camp Premiumチューター。Javaコンポーネントのプロダクトマネージャー、緊急地震速報アプリケーション開発、「駅すぱあと」のミドルエンジン開発などを経て、現在はアジャイルコーチ、カイゼンコーチ、ファシリテーター、ワークショップ等で組織開発に取り組む。Java関連雑誌、ムックでの執筆や勉強会コミュニティの「DevLOVE」の運営スタッフ、イベント講演登壇も多数。『カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで』(翔泳社)の共著者。

なぜ開発者は「越境」を目指す必要があるのか

市谷:現在取り組まれているプロジェクトでも、その延長線上の話でもいいのですが、中村さんが今後、力を入れて取り組んでいきたいと思っているテーマはありますか。

中村:自分は今、事業に関わるシステムの開発の部分での最適化を目指しているのですが、できれば今後は、システムだけでなく企画やマーケティングなど、事業に関わるより多くの部門を巻き込んだ、全体的な最適化がやっていけたらいいなと思っています。

 例えば、事業全体としてのリードタイムを考える際に、部門がお互いにやっていることを見えていない状態だと、スピードを上げたり、良くないところを変えたりといった作業がどうしても非効率になりますよね。まず、部分的でもいいので、互いの状況が見えることが価値になることが示せれば、あとは、それぞれの現場で、誰かが気がついて、カイゼンしてくれるという、良いスパイラルにつなげられるんじゃないかと思っています。

新井:いわゆる「浮き彫りにする」ための仕組みですね。大きな池や湖の水質を良くしたければ、そのままの状態で、見えるところをキレイにするだけではダメなんです。まず水面を下げて、底のほうにある見えていなかったゴミも含めて片付けてから水かさを上げれば、水の滞留がなくなってスムーズに流れる環境ができる。その流れ自体が、水質を維持する役割も果たすようになります。

市谷:今、中村さんが指摘されたこと、部門の間で生まれてしまう境界は、日本の現場で良くある話でもあるんですよ。

中村:分かります。自分が今やっているのは、あくまでも「システム」の中だけでのスクラムなんですよね。システムに直接関わっている人以外には、やっていることが見えないんです。

市谷:スクラムにおいて「透明性」というのは大切な考え方なのですが、チーム内だけでなく、チームの外側の活動は見えているか。逆に、チームの外にチーム内の活動は見えているかという透明性も必要になってくるんです。

 スクラムでは「プロダクトオーナー」という役割を置くのが一般的なのですが、ここにワナがあって、この役割を置くと、開発チームとしては「プロダクト」の外側にあるものを、他人任せにしがちになってしまうんです。

中村:開発チームにとっては、スコープを限定することができるので、そのほうがラクなんですよね。でも、実際にそれで「お客さんが喜んでくれているかどうか」を見誤るリスクは高まります。

市谷:さらに、「間違えて」いた場合に、向き直って方向転換するまでの時間が長くなりがちです。検証活動を通じて、フィードバックを素早く反映していくという作業が非効率になりますからね。

中村:主に1人でスクラムを導入しようとしている状況で、さらに他の部門の状態が見えないと、そのあたりをどうすればいいのか、正直なところ見当もつきませんね。

市谷:それが、自分が今の仕事で「越境」を強調している理由でもあるんです。組織に「役割の壁」がある状況で、「どっちが壁を越える?」とためらっていると、いつまでたっても状況は変わりません。自分から「越境」して、均衡状態を破るのが、先へ進むための唯一の手段になるんですよね。

中村:先ほど、『カイゼン・ジャーニー』の中で「気付いた人がやる」という部分に、一番感銘を受けたと話しましたが、現状の課題に「気付いた」と思っている自分としては、まず自ら動くべきだろうと。そして、これまでのプロジェクトを通じて、少しずつですが、社内に仲間が増えているはずだと思っているので、彼らと一緒にできることをやっていきたいとは思っていますね。

新井:中村さんと同じような問題意識を抱えた人は、システム部門だけでなく、他の業務部門にもいそうですか。

中村:そのような人は部署を問わず、非常に多いですね。きっと、同じような課題感を共有できる人もいるはずです。

新井:そういう人たちも、恐らく同じような「もやもや」を感じているものの、動き出すためのきっかけがない状態なのではないかと思います。そういう人たちを巻き込むことで、仲間は増やせるだろうと思います。

組織が一丸となって進んでいくための「アジャイル」を追求

中村:今日は、いろいろとためになるお話しをありがとうございました。自分としては、まず、システムを含む、事業にかかわるすべての人がコミュニケーションを取りながら「一丸」となって、ものごとを進められる環境を一日も早く実現させたいと思っています。市谷さんと新井さんが、今後取り組んでいかれたいと思っていることはありますか。

市谷:こちらこそありがとうございました。自分としては「アジャイル開発」とは何かということを、もっと多くの若い人に、今後も伝え続けていきたいですね。アジャイルのマインドセットを「当たり前」のものとして持った人たちが、一丸となって仕事ができるような世の中を作っていきたいです。

新井:私としては、自分の現場でもいいし、個人のタスクでもいいので、仕事を「自分事」と捉えて動ける人を、世の中にもっと増やしたいですね。「提案すると却下されるから」ではなくて、とりあえず、動いてしまう。もしかしたら、失敗や抵抗もあるかもしれませんが、それ以上に、そうした行動から生まれる良い成果のほうが評価される。それが、個人からチーム、チームから部署、会社へと広がっていくような状況を、いろんなところで作っていきたいと思っています。どうもありがとうございました。


著:高橋美津
写真:小倉亜沙子

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社