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『カイゼン・ジャーニー』『チーム・ジャーニー』トークイベント

『カイゼン・ジャーニー』『チーム・ジャーニー』著者が語る、激動の2020年に経験してきた「現場」の話


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 「カイゼンの旅、チームの旅。現場の軌跡を語ろうライトニングトーク回」に続いて、カイゼン・ジャーニー/チーム・ジャーニーのイベントが開催されました。今度は著者の市谷さん・新井さん自らが、この激動の2020年に経験してきた「現場」の話をする場となります。

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新井さんのトーク:チームの旅・カイゼンの旅 リモートで働き方が変わる中で発見したこと

コロナ禍で退職し、緊急事態宣言下にリスタート

 2月末、コロナ禍が日本列島を覆いつつあった時期に新井さんはヴァル研究所を退職しました。そういえば、DevLOVEでの新井さん退職イベントも、直前でオンライン開催になったなということを思い出しました。

 MicrosoftのCEO、サティア・ナデラ氏の言葉「2年分のデジタル変革が2か月で起きた」という言葉が象徴するように、このコロナ禍の中でDXの動きは不可避的に加速しています。

 そんな中で、エナジャイルあらためレッドジャーニーでは様々な現場のDXを支援。その現場のITリテラシーは様々ですが、様々ながらにそれぞれの現場で前進をしています。

リモートでの期待マネジメント

 チームビルディング、ドラッカー風エクササイズ、インセプションデッキ。従来なら対面前提のこういったプラクティスを、新井さんはリモートで実践しています。SpreadSheetなどなじみ深いツールを使っているのがスムーズに実施できている秘訣なのかもしれません。

リモートから生まれる自己組織化チーム

 PCのディスプレイ越しではあるものの、その場で同時編集しながら発生する変化に対応することでチームは自己組織化に向かっていくことができます。SpreadSheetにせよBacklogにせよ、協働編集する姿勢はモブプログラミング的であり、全員当事者の空気が自然と生まれていくとのことです。

 自分たちで考え、レトロスペクティブ(ふりかえり)を実践することで、全体最適化視点にうつっていきます。

 話を聞きながら、「不確実性を楽しみながら変化していくことに慣れていれば、オフラインかオンラインかの違いは些細なものなのかもしれない」ということに思い至りました。

意識的に雑談をする

 新井さんは、リモートであっても雑談を意図的にしかけ、ハンガーフライトの場を作っていきました。廊下のすれ違いや給湯室、タバコ部屋で生まれていたセレンディピティをリモートでも実現しようという試みです。

リモートのメリットと気を付けるべき点

 リモートでは、全員が画像を通してコミュニケーションします。これは忖度が発生しづらい構造であり、また傾聴が自然にできる点はリモートの大きなメリットだ、というのは新井さんの弁。

 ここまでの話に「なるほど」と思わされつつ、それなりの信頼関係がなければ成立しないのでは? という点が疑問として浮かび上がってきました。すると、新井さんからリモートで心理的安全性を形成する方法として「笑顔」を効果的に使う方法が紹介されました。

 リモートだと表情がわかりづらい。ちょっと微笑んだくらいでは真顔と区別がつかない。感情が伝わりづらい環境の中で、新井さんはMTGの最後にめいっぱい手をふるそうです。すると皆、笑顔になってくれ、空気感がほぐれていきます。雑談同様、笑顔を意識的につくることもリモートでは重要な要素です。

当たり前を言語化する(ReDesignする)

 新井さんの話の中では、幾度となく「これってさぁ」の言葉がリフレインされました。これは、「手を洗おう」「挨拶しよう」レベルの、当たり前すぎて言語化していないものがリモートだと当たり前ではなくなってしまうから、それを言語化しよう、というメッセージだったようです。講演全体が伏線となっている巧みさに思わず唸らされました。

AgileとかScrumとか言わなくていい

 よくある質問、「AgileやScrumの導入に反対される」。言葉から入るのではなく、実践してみて結果的にAgileやScrumだった、それでいいのでは? と新井さん。

 一方で、「Scrumを導入すると、前進するためのプラクティスがうまい具合にパッケージングされているよね」、という話もありました。言葉にとらわれる必要はないけれども、前進させるための叡智が詰まったものを使わない手はないよね、と語りかけられているように感じました。

(タップで画像拡大)
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リモートだからこそReDesignするチャンス

 リモートであってもアジャイルに取り組むツールはたくさんあり、実はいまこそ変化するチャンスなのかもしれません。

 ReDesignしていく過程で、「このやり方でよいのだろうか」と不安になることがあります。けれども、家庭によって味噌汁やカレーの味が違うのと同じように、それぞれの流儀があるし、あってよいのです。

「『新航路を発見するのは若者なんだ』自分から『一歩』を始めてみよう」

 とても力強く、勇気をもらえる言葉で新井さんパートは幕を閉じました。

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この記事の著者

小田中 育生(オダナカ イクオ)

 開発(Develop)を愛する人たちの集まり、DevLOVEによく出没する人。 所属する企業においては、研究開発のディレクションとエンジニアがいきいきと働けるDX(Developer eXperience)を重視した風土づくりという両輪を回し続けている。 近年はアジャイル開発に助けられているが、一番助けてくれているのはいつも一緒にいるチームメンバーたちだったりする。 Twitter:@dora_e_m note:https://note.com/dora_e_m 著書『いちばんやさしいアジャイル開発の教本』(インプレス)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/12938 2022/06/06 17:54

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