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【デブスト2020】セッションレポート

U30エンジニアが”好きなコト”で突き抜けるには? 自分に合ったキャリア戦略をとろう【デブスト2020】

【Session17】不確定要素が強い時代の生存戦略 ― U30が「好きなコト」で突き抜けるためには!?


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 2020年12月12日、翔泳社主催の若手エンジニア向けカンファレンス「Developers Boost 2020 ~U30エンジニアの登竜門~」がオンラインで開催された。最後のセッションでは、「不確定要素が強い時代の生存戦略 ― U30が『好きなコト』で突き抜けるためには!?」と題して、神戸デジタル・ラボの堀尾風仁氏が登壇。2020年度のベストスピーカー賞1位を獲得した。当日は、30歳以下(U30)の若手エンジニアに向け、好きなことで突き抜けるためにはどのような戦略をとれば良いのか、どうすれば自分のありたい姿(Being)に近づくことができるのか、自身の実体験をもとに語った。

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株式会社神戸デジタル・ラボ 新事業創造係 MR班長 AR KOBE/Azure Tech Lab 堀尾風仁氏
株式会社神戸デジタル・ラボ 新事業創造係 MR班長 AR KOBE/Azure Tech Lab 堀尾風仁氏

3年前までは漠然とした不安を――そこから好きなコトに出会った

 普段はシステムインテグレーターである神戸デジタル・ラボで、Microsoft HoloLensの導入支援サービスや法人向けMixed Realityアプリケーションの企画、開発に取り組んでいる堀尾氏。そのほか、自身でコミュニティの運営をしており、Microsoft MVPとして関西圏を中心とした技術コミュニティでも活動している。だが、このキャリアを切り開くまでには、さまざまな戦略とアクションを起こしてきたのだという。

 セッションはまず「皆さんは好きなことで突き抜けていますか?」という問いかけから始まった。3年前の堀尾氏は「これといって好きな技術もなく、人前で話すことも苦手でした。そして、上司に言われるがまま思考停止した日々を送っていました」と言う。

 一方で、周りの同期や先輩は昇格や転職を行い、キャリアアップを実現。より大きな仕事を任されているものの、自分にはそんなことができる経験も技術もなかった、と堀尾氏は当時を振り返る。「3年前の私は将来に対して、漠然とした不安を感じていました」(堀尾氏)

 そんな堀尾氏だが、この3年間を通して好きな技術を見つけた。Microsoft HoloLensというデバイスに出会い、そこでMixed Realityという新しい技術に魅了されたのだ。そしてこの新しい技術を使って、「世の中の新しい常識を作りたい」「世の中の新しい働き方を作りたい」といった目標ができた。

 好きな技術を見つけてアウトプットを継続していたら、マイクロソフトの公式開発パートナーであるMRPP(Microsoft Mixed Reality パートナープログラム)という制度に認定され、会社でもMixed Realityの専門チームが立ち上がり、そのリードを任されることになった。

 その後も2つの技術コミュニティを立ち上げたり、技術者向けのカンファレンスに登壇したりと、引き続きアウトプットを繰り返していると、Microsoft MVPを受賞することができたという。3年の間で、「僕自身、自分のBeing(自分がどうありたいか)を見つめ直した結果、人生が好転していき、より自分のありたい姿に近づくことができました」と堀尾氏は話す。

まずはBeing(ありたい姿)を明確化し、自身のスキルを棚卸しする

 堀尾氏はまず、生存戦略の策定で最も大事なこととしてBeing(ありたい姿)を言語化することを挙げた。例えば、「デジタル技術で新しい常識を創造するような人材になりたい」「開発チームをリードできる人になりたい」「技術だけでなく外部発信能力の高い人になりたい」などいろいろな例があるが、「他人の評価を気にせず、自分が心の底からこうなりたいと思う姿を言語化することが大切」と堀尾氏は強調する。

Being(ありたい姿)を言語化する
Being(ありたい姿)を言語化する

 では、なぜこのBeingが大事になってくるのか。Being(ありたい姿)=自分の軸、行動指針となるものであり、このBeingが明確でなければ、これからの自分の行動がブレることになる。そのため、Beingは具体的であればあるほど良く、判断がぶれなくなり行動スピードが上がるゆえ、今までできていた作業量よりもさらに2倍、3倍といろいろな業務をこなせるようになる。

 また、このBeingが明確な状態で行動すると、周りから目標(Being)との乖離が見て取りやすい利点も。すると、的確なフィードバックを得やすく、成長につながるメリットが得られる。さらに、このBeingを周囲に共有することで、自分に共感してくれるファンや協力してくれる人が集まってくれる。「たとえ自分一人では実現できないような目標(Being)であったとしても、ファンや協力者が集まることで実現の可能性が上がります。なので、まずはBeingを言語化する、明確化することが大事になってきます」(堀尾氏)

 とはいえ、自分のBeing(ありたい姿)が分からなかったり、なかったりする場合はどうするのかという点だが、まさにこれが3年前の堀尾氏の状態だった。 3年前の状態からどのようにして堀尾氏はBeingを見つけたのか? という問いに「とにかくやってみることが大事」だと振り返る。

 「Beingは、自分の過去の経験や見聞きしたことから、ああなりたい、こうなりたいと出てくるものなので、自分の知らないことからBeingは生まれません。そのため、いろいろなことをとにかく手当たり次第にやってみる。Beingがなければ動きながら探してみることが大事になります」(堀尾氏)

 堀尾氏の場合、Raspberry Piを使ったIoTゲートウェイ開発のほか、スマートグラスアプリの開発やPythonを用いた営業マンの音声データ自動解析プログラムを開発するなど、Microsoft HoloLensやMixed Realityといった好きな技術に出会うまでにさまざまなことを体験した。堀尾氏は、これらの中でようやく自分の好きな技術に出会ったため、「最初はBeingがなくてもいいです。なければ動きながら探せばいいのです」と話す。

 自分のBeingが見つかったら、次にやらなければならないことは、仕事スキルをレーダーチャートで分析し、自分の強みをラベルでピックアップするなど、自身のスキルを棚卸しすることだ。

 「現状を理解することで、生存戦略を考えることができます。なぜ自分の現状を理解することが大事なのかと言うと、スタート地点を理解しないと、ゴール地点(Being)にはたどり着けないからです。Beingだけを追い求めていろいろな人の戦略を真似して、自分はうまくいかないとおっしゃる方もいますが、それではだめです」と堀尾氏は指摘する。

 つまり、自分の現状をしっかりと理解した上で自分に合った戦略を導き出すことが必要になる。たとえ今スキルがないとしても、自分の現状に向き合うことが何より大事になってくる。ここまでが堀尾氏が言う、自身の生存戦略を考える方法だ。

自分のスキル(現状)を棚卸し
自分のスキル(現状)を棚卸し

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この記事の著者

鍋島 英莉(編集部)(ナベシマ エリ)

2019年に翔泳社へ中途入社し、CodeZine編集部に配属。同志社大学文学部文化史学科卒。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/13769 2023/07/19 11:45

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