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【デブサミ2021夏】セッションレポート(AD)

ゲームで開発スキルを向上――「TwilioQuest 3」日本語プレビュー版の裏側に迫る【デブサミ2021夏】

【C-6】ゲームで開発スキルを向上させる「TwilioQuest 3」の日本語化とその裏側

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 開発者のオンボーディングをゲーミフィケーションで楽しくサポートする「TwilioQuest 3」。2020年のデブサミで紹介、話題となった同ツールの日本語プレビュー版がついに登場した。なぜ”プレビュー版”なのかといった裏事情から、日本語化を進める中での苦労話、今後のロードマップについて、Twilio Japanのデベロッパーエバンジェリスト、池原大然氏が講演で紹介した。

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Twilio Japan合同会社 Worldwide Developer Relations デベロッパーエバンジェリスト Twilio JP-UG 池原大然氏
Twilio Japan合同会社 Worldwide Developer Relations デベロッパーエバンジェリスト Twilio JP-UG 池原大然氏

新規ユーザー登録が前年対比300%増、TwilioQuestが人気学習コンテンツに

 電話やSMS、ビデオ、メールなどのコミュニケーション手段をクラウドで提供するAPIサービス「Twilio」。2013年に国内でサービスを提供開始した頃はニッチなコア向けサービスとしてトップランナーを独走していた同社だが、今では類似サービスが登場。新たな競合がひしめく中で、いかにTwilioを選んでもらい、使い続けてもらうかが喫緊の課題となった。

 そうした局面を打開するため、開発リレーションを担当する部門が編み出したのが、Twilioの使い方やプログラミングの方法などを楽しく学べる「TwilioQuest」だ。昔懐かしい8ビット/16ビット時代のRPGを模したゲームで、プレイヤーはマップを進みながら、次々と現れるプログラミング問題などのミッションをこなし、完走を目指す。

 ミッションクリアでゲットできる経験値やアイテムは、自分のキャラクターのカスタマイズなどに使うことができる。2019年に最新版「TwilioQuest 3」がリリースされ、そして2021年7月に待望の日本語プレビュー版がリリースされた。

TwilioQuestの画面
TwilioQuestの画面

 アーキテクチャはシンプルで、クライアントコンピューターでランチャーをダウンロード、起動すると、アプリがFirebaseへ最新バージョンがあるかをチェックして実行する。プラットフォームはElectronを、UIフレームワークはReactを、ゲームフレームワークはPhaserを、そしてマップデザインツールはTiledを使用しており、ほぼオープンソースで開発しているのも特徴だ。

 TwilioQuestの日本語版がリリースされた背景には、昨年のコロナ禍がある。2020年におけるTwilioQuestページのグローバルのWebトラフィックは、前年対比で600%増加。新規ユーザー登録も300%増となった。コロナ禍で対面のアクティビティが制限され、自宅でもスキルアップできるオンラインコンテンツが注目されたことが理由だろうと、Twilio Japanのデベロッパーエバンジェリスト、池原大然氏は分析する。

 池原氏たちは早速、2020年8月に第1回「TwilioQuest 24時間チャレンジ」を、2021年2月に第2回「TwilioQuest – 2021新春チャレンジ」を開催。第2回には、参加者の獲得経験値合計が第1回と比較して300%増え、参加者からも「面白かった」「開発経験ゼロの初心者には少し難しかったが、自分のペースでプレーできて楽しかった」などうれしいコメントが多く寄せられた。

 そうしたコメントの中で池原氏たちが注目したのは、「日本語化を希望する」という声だ。当時はUIもコンテンツもオリジナルの英語のままで、イベント参加者にはGoogle翻訳やRippleを使って問題文を読んでほしいと案内を出していたと池原氏。だが、日本語の方がスムーズに内容を理解でき、プレーしやすいのは間違いない。

 そこで、池原氏はTwilioQuestチームとのミーティングで、以前から要望していた多言語対応の件について質問した。すると、v3.2で別のプライオリティ案件があるため、その実装が終わってからの対応になるため、2021年後半になると返答があった。同社では現在、外部コントリビューターが新機能や新規コンテンツを追加しやすくするためのエクステンション機能の実装を進めている。

 たしかに、エクステンション機能の方がビジネスの観点で優先度は高い。しかし、池原氏としては一刻も早く日本版をリリースしたいという思いがあった。であれば、先行プレビューという形で日本語版を作るのはどうだろうか。池原氏の提案を聞いたチームは即答した。

 「いいよ! 日本語版開発用のブランチを作成しておくよ。あとは頑張って!」。

 つまりは、ローカルの責任範囲で自由にやっていいということだ。あまりにもすんなり提案が通ったことに拍子抜けした池原氏。チームの柔軟性に感謝しつつ、言ってみるものだなとミーティング後に思ったと笑う。

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ローカリゼーション前提の設計ではなかったために、手作業の地獄を味わう

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この記事の著者

谷崎 朋子(タニザキ トモコ)

 エンタープライズIT向け雑誌の編集を経てフリーランスに。IT系ニュースサイトを中心に記事を執筆。セキュリティ、DevOpsあたりが最近は多めですが、基本は雑食。テクノロジーを楽しいエクスペリエンスに変えるような話が好きです。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/14693 2021/11/12 12:00

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