「届いて当たり前」から「適切に届ける」への転換
実際に運用を開始してみたらメールが届かなかったという事例はすでに多く見られている。メールはユーザーとサービス提供者間の唯一のコミュニケーションチャネルであることも多く、届かなかった場合の被害は甚大だ。
開発者がメール送信機能を実装する際の注意点について中井氏は「送信ドメイン認証の設定だけでなく、メールアドレスの取得方法、適切なオプトイン、配信停止の仕組みの整備も重要です。最初は問題なくメールが届いたとしても、本番運用時にある日突然不達となるなどの問題が発生する可能性があります」と述べた。
Gmailに限らず、メール送信にはウォームアップが必要である。これは、クレジットカードの信用スコアのように、送信元のIPアドレスの信頼度を育てていくプロセスだ。
このようなプロセスが必要な理由は、悪意のあるメール送信者が突然大量にメールを送ることを防ぐためである。送信者が悪意を否定し、正当性を主張しても、本当にそのように振る舞うかはわからない。マナーや規制を守り、IPアドレスの信頼度を高める必要がある。もはや、メールサーバを立てたらすぐにメール送信が可能という時代ではなく、特に、多くのメールを送信したい場合は、それ相応の準備が必要であることは覚えておきたい。