テーブルクラスにメソッドを追加する
次は、テーブルクラスにメソッドを追加する例を取り上げます。テーブルに格納するデータに固有の処理を行う際、テーブルクラスのメソッドとして実装すれば、データの操作や参照を行う箇所でこれを利用できます。テーブルに格納するデータに固有の処理があれば、テーブルクラスのメソッドとして実装しておくとよいでしょう。
Permissionsテーブルを例に用います。「入室許可の有効期限は最長でも翌年度末まで」というルールがあったとします。この場合、レコードの追加または変更をする際にterm列に入れる値をチェックすることになります。このチェックの処理を入れてPermissionsテーブルのクラスを作ります。
<?php require_once 'Zend/Db/Table.php'; // 日付の処理にZend_Dateを使います require_once 'Zend/Date.php'; // Permissionsテーブルに対応するクラスを定義します class Permissions extends Zend_Db_Table_Abstract { // テーブルを含むデータベース名を指定します protected $_schema = 'db_zend_sample'; // 主キーの列名を指定します protected $_primary = array('member_id', 'room_id'); // 参照先テーブルを指定します protected $_referenceMap = array('ref_members' => array('columns' => 'member_id', 'refTableClass' => 'Members', 'refColumns' => 'member_id'), 'ref_office' => array('columns' => 'office_id', 'refTableClass' => 'Offices', 'refColumns' => 'office_id')); // 有効期限をチェックするメソッド // 引数$termで指定した日付が翌年度末より後の場合、 例外をスローします private static function _check_term($term) { // 現在の日付を取得します $now = new Zend_Date(); // 現在が何月かで分岐し、翌々年度の4/1のオブジェクト を作ります if ($now->compare(3, Zend_Date::MONTH) > 0) { // 4月以降の場合、翌々年の4/1が翌々年度末になります $limit = new Zend_Date($now->add(2, Zend_Date::YEAR) . '/4/1'); } else { // 3月までの場合、翌年の4/1が翌々年度末になります $limit = new Zend_Date($now->add(1, Zend_Date::YEAR) . '/4/1'); } // 引数の日付が翌年度までに入っているか調べます if (!$limit->isLater(new Zend_Date($term))) { // 引数の日付が翌年度より後なので、例外をスローします throw new Exception('翌年度末より後の日付が 指定されました。'); } } // テーブルクラスのinsert
メソッドをオーバーライドします public function insert($value_array) { // 有効期限のチェックを行います self::_check_term($value_array['term']); // 有効期限の指定に問題がなければ、 // 親クラスのinsert
メソッドを呼び出します parent::insert($value_array); } // テーブルクラスのupdate
メソッドをオーバーライドします public function update($value_array, $condition) { // 有効期限のチェックを行います self::_check_term($value_array['term']); // 有効期限の指定に問題がなければ、 // 親クラスのupdate
メソッドを呼び出します parent::update($value_array, $condition); } }
日付が翌年度末までの期間に入っているか調べるため、_check_term
メソッドを作りました。日付の処理にはZend FrameworkのZend_Dateコンポーネントを使いました。もしも引数で指定された日付が翌年度末より後であれば、例外をスローします。
レコードの追加と更新の際にチェックを行うため、insert
メソッドとupdate
メソッドをオーバーライドしました。まずterm列に入れる値を_check_term
メソッドでチェックします。問題があれば親クラスのinsert
メソッドまたはupdate
メソッドを呼び出さずに、_check_term
メソッドからスローされた例外をそのままスローします。