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Zend Framework入門

Zend Framework入門(10):
Zend Frameworkにおけるビューの処理 - Zend_View(後編) -

Zend Frameworkによる実践的なPHPアプリケーション開発 10


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Smarty と Zend Framework の連携

 次に紹介する方法では、Zend_Viewと互換のあるラッパークラスを実装することで、SmartyとZend Frameworkを連携させます。Zend_Viweと互換のあるクラスを作成するには最低限、Zend_View_Interfaceに定義されているメソッドを実装する必要があります:

Zend_View_Interfaceに定義されているメソッド(描画エンジンの取得)
getEngine
Zend_View_Interfaceに定義されているメソッド(パスに関係するメソッド)
setScriptPath, setBasePath, addBasePath, getScriptPaths;
Zend_View_Interfaceに定義されているメソッド(変数の設定に関するメソッド)
__set, __get, __isset, __unset, assign, clearVars
Zend_View_Interfaceに定義されているメソッド(描画を指示するメソッド)
render
Zend_View_Smartyの作成

 ここで紹介するラッパーZend_View_SmartyはZend_View_Interfaceを継承しつつ、必要最低限の実装を行ったものです。Zend_View_SmartyはSmartyのラッパーとなっているので、受け取った情報をそのままSmartyのインスタンスに渡すような仕組みになっています。

 処理の流れとしては、ますコンストラクタでSmartyのインスタンスを作成します。

Zend_View_Smarty の __construct
...
class Zend_View_Smarty implements Zend_View_Interface
{
    protected $_smarty;

    public function __construct()
    {
        $this->_smarty = new Smarty;
    }

 この他の処理は、ほとんど受け取った情報をSmartyのインスタンスに渡す処理です。パスまわりの設定は実質的にはsetBasePathで処理しています:

Zend_View_Smarty の setBasePath
public function setBasePath($path, $prefix = 'Zend_View')
{
    $_basePath = $path;

    $this->_smarty->template_dir = $_basePath.'/templates/';;
    $this->_smarty->compile_dir  = $_basePath.'/templates_c/';
    $this->_smarty->config_dir   = $_basePath.'/configs/';
    $this->_smarty->cache_dir    = $_basePath.'/cache/';
}

 最後に、renderメソッドが呼び出されたときにはsmartyのfetchメソッドを呼び出します:

Zend_View_Smarty のrender
//描画を行う
public function render($name)
{
    $name = preg_replace('/.+\//', '', $name);
    return $this->_smarty->fetch($name);
}

 なお、ここで$nameの先頭から'/'までの部分を取り除く処理を行っているのは、Zend_Viewの通常のルータから渡される$nameはコントローラ名/アクション名という形で渡されるのに対し、今回のサンプルではSmartyはアクション名のみを利用しているからです。

Zend_View_Smartyの利用

 次に、Zend_View を利用するかわりにZend_View_Smartyを利用するようにindex.phpを設定します:

Zend_View_Smarty を利用するためのindex.php
<?php
require_once 'Zend/Controller/Front.php';

require_once '/codezine/smarty/Zend_View_Smarty.php';
require_once 'Zend/Controller/Action/Helper/ViewRenderer.php';

//$view は Smartyのラッパー
$view = new Zend_View_Smarty();

//$viwe を使い、.phtml のかわりに .tpl を探すように設定した
// ViewRendererを作成
$viewHelper = new Zend_Controller_Action_Helper_ViewRenderer($view,
                                                             array('viewSuffix'=>'tpl'));

//この ViewRendererを登録
Zend_Controller_Action_HelperBroker::addHelper($viewHelper);

Zend_Controller_Front::run('../zendapps/controls');

 ここまで設定すれば、後はZend Frameworkのお作法そのままで、Smartyを利用できます。

アクションスクリプト
<?php
require_once 'Zend/Controller/Action.php';

class SmartyController extends Zend_Controller_Action
{
...
    public function indexAction()
    {
      $this->view->setBasePath('/codezine/smarty');
      $this->view->name = 'Codezine';
    }
...

 このとおり、アクションスクリプトまわりは通常のZend Framework のものとほぼ同じになっています。

今回のまとめ

 今回はビューヘルパを自作する方法と、テンプレートエンジンのSmartyとZend_Viewの連携について説明しました。次回は Zend_Form についての解説を行います。今回紹介したビューヘルパーでもHTMLのフォームの作成はできましたが、Zend_Formはより器用にHTMLのフォームを扱うことができます。

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 風田 伸之(カゼタ ノブユキ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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