はじめに
本連載では、リレー連載の形式で「FileMaker Pro」というデータベースソフトウェアを紹介します。概要や現状のご紹介に始まり、画面の設計、自動化、データベースエンジンなど、FileMaker Proでデータベースソリューションを開発する際の核心を解説します。FileMaker Proの特徴や利点を知り、今後の開発のヒントとしていただければと思います。今回はFileMaker Proの現状と、FileMaker Proでのデータベース作成の大まかな流れをご紹介します。
対象読者
開発言語・環境を問わず、データベースソリューション、あるいはデータベースに限らずWebも含めた広い意味での開発をしている方で、FileMaker Proにこれまで縁がなかった方。あるいは、以前に接したことはあるが何年も離れてしまっている方にも、ぜひお読みいただきたいと考えています。以前の使いやすさはそのままで、しかも大幅にパワーアップしていますから。
FileMaker Proの過去から現在へ
FileMaker Proの現在の位置づけから紹介しましょう。
もともとFileMakerはMac用のソフトウェアでしたが、1996年のファイルメーカーPro 3以降はWindows版とMac版が日本語版として利用できるようになりました。FileMaker Proは、WindowsとMac OS Xの両方で動作する重宝なデータベースソフトウェアです。もちろん、バージョン番号が同じならどちらのプラットフォームでも操作や機能は基本的に同じで、ファイルの互換性もあります。
また、当初はカード型データベースでしたが、1996年のファイルメーカーPro 3でリレーショナル機能を搭載。2004年発売のFileMaker Pro 7で本格的なリレーショナルデータベース機能を実装しました。2007年発売のFileMaker Pro 9ではOracle 9iやMySQLなどとのリンクもサポートされ、本格的なデータベースソリューションへの可能性が大きく広がっています。
このように大きな変貌を遂げながらも、ユーザーインターフェイスや基本的な操作といった見た目、感覚があまり変わっていないことも、特長の一つと言えるかもしれません。敷居は低いままで、奥行きはどんどん広くなってきた感があります。
最新版は「FileMaker Pro 10」
現時点での最新版は、2009年1月6日に発売されたFileMaker Pro 10です。ツール類のデザインが一新されてモダンなユーザーインターフェイスになったほか、
- 検索条件の保存
- データの変更を即時に集計結果に反映させるダイナミックレポート
- オブジェクトやレイアウトに対する動作をトリガとしてスクリプトを実行するスクリプトトリガ
- 外部SQLデータソースのサポートの強化
- スクリプト中で対象とするフィールドを計算結果の名前で特定できるスクリプトステップ
などの新機能が搭載されました。
なお、ファイル形式はFileMaker Pro 7以降変更されていません。