SilverlightをホストするSilverlightコントロール
Silverlightコントロールはメディアファイル以外のすべてのSilverlightコンテンツをホストするコントロールです。Silverlight 1.0ではJavaScriptを介してアクセスでき、Silverlight 2ではマネージコードを利用して対話的なアプリケーション構築が容易にできます。
Silverlightコントロール最大かつ、唯一の特徴はSilverlightアプリケーションをホストする。その一点に限ります。ある程度高さ、幅を確保し、XAMLファイルまたはXAPファイルをホストします。この時Silverlight側で設定できるプロパティは回線によって動きが鈍くなってしまうフレーム数の制御や、XAMLファイルまたはXAPファイルよりも大きな領域を確保した時の背景色の設定や、JavaScriptを利用している時のイベントハンドラなどがプロパティとして存在します。
Silverlightコントロールの内、多用するであろうプロパティを以下の表にまとめました。
メンバ名 | 概要 |
EnableFrameRateCounter | ブラウザのステータスバーに現在のフレームレートを表示するかどうかを取得/設定 |
HtmlAccess | DOM(Document Object Model) へのアクセスを許可するかどうかを取得/設定 |
InitParameters | 初期化パラメータのセットを取得/設定 |
MaxFrameRate | 1秒間の最大フレーム数を取得/設定 |
MinimumVersion | Silverlightの最小バージョンを取得/設定 |
PluginBackground | Silverlightの背景色を取得/設定 |
OnPluginLoaded | Silverlightが読み込み時に呼び出されるJavaScriptの関数名を取得/設定 |
OnPluginResized | Silverlightのサイズ変更時に呼び出されるJavaScriptの関数名を取得/設定 |
ScaleMode | 表示モードを取得/設定 |
ScriptType | プラグインに関連付けるか、オブジェクトの型名で取得/設定 |
Source | 表示するSilverlightコンテンツ(.xamlか.xap)を取得/設定 |
SplashScreenSource | Silverlight読み込み中に表示されるスプラッシュスクリーンドキュメントのURLを取得/設定 |
Silverlightコントロールは最小限、Source
プロパティにXAMLファイルまたはXAPファイルを指定するだけで利用可能です。サンプルでは、シンプルな図形がアニメーションで動くXAMLと、そのXAMLファイルに対する処理を記述したJavaScriptファイルから構成されています。
Silverlightコントロールの設定は非常にシンプルです。aspxページ上にコントロールを配置した例が次のようになります。
<asp:ScriptManager ID="ScriptManager1" runat="server" > <Scripts> <asp:ScriptReference Path="~/XAMLScript.js" /> </Scripts> </asp:ScriptManager> <asp:Silverlight ID="Silverlight1" runat="server" Height="500px" Width="500px" Source="~/Scene.xaml" EnableFrameRateCounter="true" > </asp:Silverlight>
ScriptManagerコントロールと、Silverlightコントロールを配置し、ScriptManagerコントロールでMediaPlayerコントロール同様ScriptsコレクションでJavaScriptファイルを指定しています。Silverlightコントロールはサイズ指定と、XAMLファイルの設定のみ行っています。また、EnableFrameRateCounterをtrueに設定することで、ブラウザのステータスバーにフレームレートの表示などを行っています。
XAMLやJavaScriptの詳細な情報はサンプルファイルをご覧ください。
繰り返しになりますが、SilverlightコントロールはSilverlightコンテンツをホストするコントロールです。プロパティの大半が領域に対する設定とJavaScriptのイベントハンドラです。マネージコードの利用ができるようになりそちらにばかり目が行きがちなSilverlightですが、マウスのスクロールがマネージコードでコーディングできない等、実務で活用する場合はJavaScriptと併用するシナリオも多くなるかと思います。そのような利用シナリオにおいて、Silverlightコントロールはクライアントサイドスクリプトの開発を強力にサポートするVS2008と、クライアントサイドスクリプトを活用したコーディングが行えるASP.NETとの併用をより強力にするメリットがでてきます。
まとめ
ASP.NET 3.5 SP1自身の強化は主に、AJAX機能の拡張でした。また、初のオープンソースの組み込みという新たな試みも加わりASP.NET開発はより生産性を増したと言えます。
今回の機能拡張は派手さこそないものの、ユーザービリティの向上に直接つながる機能なので、ASP.NET 3.5開発者にとって重宝するかと思います。
Silverlightをホストする2種類のコントロールについて言うならば、ASP.NETユーザーであればJavaScriptを理解している開発者も多いと思います。しかし、JavaScriptファイルをSDKから用意してホストのタグを書いて…という過程を経るよりも簡単にホストでき、細かな設定もできる各コントロールはASP.NET開発において活躍するでしょう。
どちらも小さな労力で大きな結果を得られるので、利用を検討または実装していただければ幸いです。
長期間に渡り続いてきた連載も今回が最終回となります。SP1という枠組みにしては大掛かりな技術が多く出てきていました。また、ASP.NET MVCが正式リリースも間近になっています。今年はASP.NET 4.0がリリースされる年でもあるので、その前の準備運動として連載で扱ってきたテクノロジに一度でも触れてみることをお勧めします。