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FileMaker Serverと基幹システムとの連携(前編)

ITエンジニアのためのFileMaker講座 第9回(前編)

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2009/12/22 15:05

 本連載では、リレー連載の形式で「FileMaker Pro」というデータベースソフトウェアを紹介します。連載9回目の前編では、セキュリティやアカウント認証などについて解説します。

目次

はじめに

 IT部門がかかえる堅牢(でしばしばレガシー)なシステムからは、各部門が欲しいデータをそのまま取り出せるとは限りません。現場には、融通の利かない夜間バッチが吐き出すプリントアウトされた連続帳票や、運が良くてcsv形式のデータファイルが渡され、これをなんとか手元にあるExcelに力技で取込み、整理してやっと業務に利用している、このようなシーンがほとんどではないでしょうか。

 現場でもっとも必要とされているものは、手元で自由にデータを加工できるツールかも知れません。実際、ファイルメーカー社のデータベースソフトウェア「FileMaker Pro」は、あらゆる種類の『現場』で利用されています。IT部門が存在するような比較的大きな企業内では、各部門あるいは各事業所のサブシステムといった位置づけで、非常に効果的に機能します。また、中小企業の基幹を預かるメインのシステムとしてのデータベース共有をクライアントサーバー形式で構築する場合、他のDBMSと比べると簡単に短期間で実現できます。

 FileMaker Proがユーザフレンドリーなデータベースソフトウェアであると言うことはもとより、今回はむしろその対極と思われるIT部門のレガシーなシステムといかにうまく連携してくれるかというサーバーサイドの話題を中心に進めて行きます。また、そのような環境でFileMaker Serverの利用を検討する際、逆に何が導入しづらい要因となり得るのかといった点についてもご紹介します。

対象読者

 大規模なシステムを持つ企業にFileMaker Proを提案されようとする方、あるいはIT部門があるような企業で、日々FileMaker Proを社内に啓蒙しようと頑張っていらっしゃるインハウスな開発者の方々を対象としています。

IT部門と現場とのギャップ

 IT部門が存在するような環境では多くの共通した問題点がみえてきます。一般的に基幹システムでは、過去に遡る様々なシステムの変化による疲労(=構造の複雑化)、レガシーな環境などを抱え込んでおり、現場が必要なデータを取り出すことはそう簡単ではありません。しかしながら、現場では増える一方の日々のデータを、ファイルサーバーに溜まり続けるExcelファイルで管理するには無理があることが痛感されています。また、同じデータ内容の転記、コピー&ペーストとその照合作業に疲れ切っており、よりスムーズな業務の効率化を求めています。

 これらの問題は多かれ少なかれどこの企業でも存在しており、そこからストーリーは始まります。その中でFileMaker Proが選択肢としてあがり、IT部門に理解頂き、環境設計から運用までを提案していく際に、基幹システムとFileMaker Pro間のデータ連携の選択肢が豊富で幅広いことは、両者の間を埋めるために有用であると言えます。

IT部門の懸念事項

 IT部門では、OracleやSQL Serverといった、一般的なRDBMSによるシステムがすでに構築されている場合が多いでしょう。旧態依然とした、レガシーなシステムを抱えている場合もあるかもしれません。また、ネットワークレベルでも、サーバーは各クライアントからは隔てられたサブネットに配置されていたり、堅牢なファイアウォールや種々の冗長性を持ったハードの構成なども含め、万が一のトラブルに備えられているでしょう。それらを預かる立場のIT部門では、あらたなシステムの介入時には、最低次のような点が懸念事項として確認されます。また、できるだけ既存のシステムに影響無く連携できることがポイントになります。

  • セキュリティレベルは問題ないか?
  • アカウント管理や認証は基幹と連携できるか?
  • データ連携に汎用性はあるか?
  • 必要なポートは?

 これらの要素が解決されると、FileMaker Serverが検討に値するシステムとしてスタートラインに立てることになります。

FileMaker Serverのセキュリティ

 FileMaker Proのデータベースへのログイン認証時のパスワードは、ハッシュ化(逆関数の計算が難しい関数で値を算出)されたものがFileMaker Proのファイル内に格納されます。ログイン時には同種のハッシュ化を行ってから比較され、ネットワーク上を認証情報がそのままの形で流れることはありません。FileMaker ProとFileMaker Server間のログイン時以外のデータストリームの保護においても、SSLによる暗号化を設定することができます。しかしながら、SSLを設定することにより、わずかではありますが暗号化分のオーバーヘッドが発生するため、信頼できるネットワーク内であれば、あえて設定する必要はないでしょう。

SSLによる接続の保護
SSLによる接続の保護

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著者プロフィール

  • 蜷川 晋(ニナガワ シン)

    株式会社スプラッシュ 代表取締役社長。大手コンピュータ会社にてシステムエンジニアとしてリレーショナルデータベースの設計に携わり、Java、ORB、Webアプリケーション等様々な環境での開発・実務経験を持つ。1999年に、UnixベースのMac OS Xがリリースされたことを機に、株式会社スプラッシュ...

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