はじめに
本稿では「PHP」と、FileMaker Server 9以降で搭載されている「FileMaker API for PHP」を組み合わせ、単なるデータベースに留まることのないFileMaker Proの魅力をお伝えしたいと思います。
対象読者
- PHPのプログラミング経験がある方
- FileMaker API for PHPをこれから学習したい方
- Webアプリケーションの管理画面作成を効率化したい方
FileMaker Proって何?
FileMaker Proは、直感的な操作性が特長のリレーショナルデータベース(RDBMS)です。MySQLなどと比べると、このユーザーフレンドリーなインターフェイスが最初から用意されているという点において優れています。
私も過去さまざまなWebシステムを開発しましたが、いずれもクライアントから「充実した管理システムの提供」をリクエストされ、バックエンドの開発で苦労してきました。
データベースにFileMaker Proを選択すれば、ユーザー自身が使いやすいように管理システムをカスタマイズできるようになり、開発期間の短縮やコスト削減が可能となります。
PHP+FileMaker Proで何ができる?
実は、FileMaker Proのソリューションはブラウザからも利用することができ、既存のWeb開発技術と組み合わせることも可能です。FileMaker Pro自身がWebサーバーの役割も行う「インスタントWeb公開」をはじめ、「XSLT公開」「XML公開」「PHP公開」などの選択肢があります。
その中で今回は、Webアプリケーションの開発に広く使われているPHPをフロントエンドに、FileMaker Proをバックエンドに利用するソリューションを紹介します。
たとえばどんなことができる?
オンラインショッピングシステムを例に挙げるならば、公開側はショッピングカートシステム、裏では受注管理システムという2種類のシステムを構築することになりますが、データベースがFileMaker Proであれば、標準搭載のデータ管理機能やユーザーインターフェースを利用して管理システムをすばやく構築し、ビジネスに直結するフロント側の開発に注力することが可能になるでしょう。
Webアプリケーションの運用に役立つ機能
その他にもFIleMaker Proには、FileMaker Serverの「アカウントとアクセス権による細かなユーザー管理」「SSL対応」といったセキュリティ系の機能や、エラー通知のメール送信、バックアップスケジュールの簡易設定といった、Webアプリケーションの運用に適した機能が搭載されています。
FileMaker API for PHPのデメリット
これだけメリットをリストアップしましたが、同時に以下のようなデメリットもあります。利点ばかりでなく課題も理解することはクライアントへの提案や開発の鍵になると思います。
- SQLベースのRDBMSと異なる、FileMakerの仕様を理解する必要がある
- FileMakerサーバーのホスティング会社が少ない
- 大規模なWebアプリケーションには向かない