はじめに
前回はFileMaker API for PHPの魅力を中心に、FileMaker ServerのインストールとWeb公開設定の準備について説明しました。今回は、APIの使い方と簡単なCMSを構築し動作させるまでの過程を解説し、具体的にPHPとFileMakerがどのようにデータ連係を行うかについてお伝えしたいと思います。
FileMaker API for PHPの準備と主な使い方
PHPからFileMaker Serverの機能を扱うには、FX.php(CGIリクエストによる利用)とFileMaker API(APIによる利用)の2つの方法があります。本稿では後者(FileMaker.php)を利用について説明します。
データベースのアップロードと動作のための準備
サンプルデータベース(display.fp7)とサンプルスクリプト(display.php)を使いながら、PHPによるWeb公開の手順を説明します。display.fp7は「display」レイアウトと「Color」と「Size」の2つのフィールドからなる非常にシンプルなデータベースです。
記事に添付されているサンプルファイル「display.zip」をダウンロードして解凍し、実際に内容を確認しながら以下の説明を読み進めてください。
サンプルデータは「Red」「Blue」「White」「Black」の4つのColorと、「Small」「Middle」「Large」の3つのSizeの組み合わせで構成されています。
1. アップロードするデータベースファイルのWeb公開設定を行う
データベースファイルをFileMaker Proで開き、アカウント名とパスワードを設定します。
アカウント名とパスワードの設定はメニューの[ファイル]-[管理]-[アカウントとアクセス権]で行います。また、PHPからのアクセスを有効にするには、[アクセス権セットの編集]タブで目的のアクセス権セットを選択して[編集]をクリックし、「PHP Web公開でのアクセス - FMSのみ(fmphp)」にチェックを付けておく必要があります。
次いで、メニューの[ファイル]-[共有設定]-[FileMakerネットワーク]を選択して「FileMakerネットワークの設定」にある「ネットワーク共有」を「オン」とします。
2. サーバーの起動
次にFileMaker Server Admin Consoleを起動(前稿を参照)して、データベースサーバーとWeb公開を開始します。
3. データベースのアップロード
下図の上部左から5番目のアイコン(データベースのアップロード)をクリックしてアップロードアシスタントを開始します。

[データベースの追加]ボタンをクリックして、アップロード対象となるデータベースを選択し、[進む]ボタンをクリックします。
次に[アップロード後にデータベースを自動的に開く]をオンにし、[進む]ボタンをクリックします。
正常にアップロードが完了すると「データベースのアップロードの概要」で「状態」欄に緑色の丸いアイコンが表示されます。
データベース管理の画面で下図のようにデータベースの「状態」欄が「正常」、「PHP」欄にチェックが入っていれば正常に動作しています。もし「状態」欄が「閉じる」になっていたり「PHP」欄にチェックが入っていない場合は、データベースファイルをFileMaker Proで開いて、先の「アクセス権セットの編集」や「FileMakerネットワークの設定」を見直してください。
ApacheやIISを自分でインストールする場合は、FileMaker.phpをはじめとするAPIのファイルを手動で配置する必要があります。ファイル一式は、以下の場所にZIPファイルとしてインストールされています。本稿では動作させるPHPスクリプトと同一階層にZIPファイルを解凍し、フォルダ名を「API」に変更した状態で設置したものとして話を進めます。
├ ※ PHPスクリプト └ API/ ├ FileMaker.php └ FileMaker/ └ ※ 以下API用ファイル一式
APIファイルは次の場所にあります。
MacHD/ライブラリ/FileMaker Server/Web Publishing/FM_API_for_PHP_Standalone.zip
C:\Program Files\FileMaker\FileMaker Server\Web Publishing\FM_API_for_PHP_Standalone.zip