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低コスト・高価値のシステムを提供可能にするFileMaker Pro 11の新機能(後編)

ITエンジニアのためのFileMaker講座 第12回(後編)

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2010/07/06 14:00

 前編では、FileMaker Pro 11で強化された開発者関連の機能のうち、表形式のデータビュー、データの可視化機能などについて紹介しました。後編では、強化されたレイアウト編集の機能、セキュリティ機能などについて説明します。

はじめに

 前編では、FileMaker Pro 11で強化された開発者関連の機能のうち、表形式のデータビュー、データの可視化機能などについて紹介しました。後編では、強化されたレイアウト編集の機能、セキュリティ機能などについて説明します。

対象読者

  • FileMaker Proでの開発に興味がある、検討しているIT技術者の方。

レイアウトの作成

 FileMaker Proの特長の一つとして、自由度の高いユーザーインターフェイスのレイアウト機能が挙げられます。レイアウトの調整は、「レイアウトモード」と呼ばれる専用モードに切り替え、一般的なドロー系ソフトと似た操作で行えます。

 レイアウトはシステムが稼働していても変更できるため、システムを止めることなく改修することが可能です。また、ユーザーにレイアウトの編集権限と与え、改修要望の多い帳票レイアウトなどのメンテナンスをユーザーに任せてしまうことで、開発者の保守作業を軽減することもできます。

 FileMaker Pro 11では、この作業がより効率的に行えるようになり、ユーザー満足度の高いシステムをすばやく簡単に構築できるようになりました。

インスペクタ

 FileMaker Pro 11のレイアウトモードでは、「インスペクタ」と呼ばれる編集機能を集約したパネルを利用して、オブジェクトの一括設定が行えるようになりました。

 図1は、前編の図8で紹介したグラフのインスペクタ情報です。名前に「Gra」と付いていることが分かります。テキストフィールドであれば入力の可否やインプットメソッド(IME)のひらがな/英数字の切り替え設定、文字の色や大きさなどをインスペクタで指定することができます。

前編の図8(再掲)
前編の図8(再掲)
図1 インスペクタ
図1 インスペクタ

オブジェクトバッジ

 FileMaker Pro 11のレイアウトモードでは、インスペクタの他にも「オブジェクトバッジ」という機能が追加され、さらに使いやすくなっています。

 オブジェクトバッジはオブジェクトに設定されている情報を表示する機能です。図2では発売日フィールドに黄色い「T」というマークが表示されています。これはポップアップヘルプが設定されていることを示しています。青と赤のひし形が表示されている数量フィールドには条件付き書式が設定されています。

 複数のオブジェクトに表示されている緑の虫眼鏡のマークはクイック検索の対象フィールドです。索引(インデックス)が付いていないフィールドがクイック検索の対象フィールドとなっていると検索速度が遅くなりますので、不要なフィールドをクイック検索対象から外してパフォーマンスを向上させるといった使い方ができます。

図2 オブジェクトバッジ
図2 オブジェクトバッジ

レイアウトをフォルダで分類

 レイアウトの切り替えは画面左上の「レイアウト:」と書かれているプルダウンメニューから行いますが、FileMaker Pro 11からフォルダで分類できるようになったため、レイアウトが増えてきた場合に管理しやすくなりました。

図3 レイアウトの管理
図3 レイアウトの管理

柔軟性を増したセキュリティ

 FileMaker Proのセキュリティはテーブルやレコード、フィールド、レイアウト、スクリプト単位で細かく設定できるため、機能的には十分です。ただし、セキュリティ設定はファイル単位で行うので、複数のファイルから構成されるシステムでは、権限を増やすたびに複数のファイルに対して同じ設定を行う必要があり、事前設計を慎重に行う必要がありました。

 FileMaker Pro 11ではセキュリティ機能が改善され、外部ファイルに対しての参照権限を設定できるようになりました。外部ファイルから参照される際に認証を要求できるようになり、バージョン10以前のFileMaker Proではデータベースを開けなくすることも可能です。

ネットワーク・権限管理機能が強化されたFileMaker Server 11

 FileMaker ServerはFileMaker Proで作成したファイルを共有するソフトウェアです。FileMaker Serverを導入することによって、安全にファイルを共有したり、自動バックアップを取ったりすることができます。サーバ側でスクリプト実行をスケジューリングすれば、夜間に他のシステムとデータの同期を取ることも容易ですし、smtpサーバの設定をしておけば、夜間バッチの失敗など、サーバの異常をメールでシステム管理者に通知することもできます。

 FileMaker Server 11では同時接続可能なクライアント数が最大250クライアント、FileMaker Server 11 Advancedで無制限となりました(バージョン10ではそれぞれ250クライアント、999クライアント)。また、FileMaker Server 11 Advancedを管理する「FileMaker Server Admin Console」では管理できる権限を分けられるようになりました。これにより、データのログだけを閲覧する権限やバックアップだけを実行できる権限を作成できます。

 図4ではバックアップとスクリプトの実行ができる権限「user」を作成しています。

図4 FileMaker Server Admin Console
図4 FileMaker Server Admin Console

 FileMaker ServerとFileMaker Server Advancedの違いは同時クライアント接続数と、ODBC経由の外部からのアクセスの可/不可、インスタントWeb公開機能の有無です。

 Microsoft SQL Server、Oracle Database、MySQLにライブ接続できる「外部データベース接続(ESS)」機能はどちらの製品でも使うことができます。この機能を使うことで外部のデータベーステーブルをFileMaker Proのテーブルと同等に扱うことができ、自由度の高いレイアウト機能の恩恵を受けることができます。

まとめ

 今回はFileMaker Pro 11の新機能を紹介すると共に、FileMaker Proでの開発に興味を持つIT技術者の方が疑問を持ちやすい箇所を説明しました。紙面の関係上、語り尽くせぬ部分はありましたが過去の連載分も併せてお読みいただければ理解が進むのではと思います。割愛した新機能についてはファイルメーカー社のWebページで確認いただければと思います。

 FileMaker Proはバージョン10以降、開発環境としてかなり成熟してきた感があります。特にスクリプトトリガが使えるようになったため、オフコンベースのシステムのリプレイスにおいても同じ操作感を実現できるようになりました。FileMakerの特性さえ掴めば他の開発環境と遜色なく、選択肢として十分にありえる存在になっています。

 ファイルメーカー社のサイトから体験版をダウンロードできますので検討しているシステムがあれば、一度検証してみてはいかがでしょうか。

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著者プロフィール

  • 佐合 紀和(サゴウ ノリカズ)

    大学在学中にある電器店のシステムをFileMaker Proで開発するアルバイトをする。卒業後は一般的な開発会社でCOBOLとJavaのプログラマを経て、現在は株式会社バルーンヘルプで様々な業界のシステム開発に携わっている。 FileMaker 9 Certified Developer。 File...

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