SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Zend Framework入門

AJAX機能とのスムーズな連携 - Zend_Controllerの新しいアクションヘルパー -

Zend Frameworkによる実践的なPHPアプリケーション開発 31


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 本連載では、PHP上で動作するアプリケーションフレームワークであるZend Frameworkについて紹介していきます。今回は引き続きZend_Controllerの最新機能を紹介したいと思います。前回はルーティングの新機能を見てみましたが、今回はアクションコントローラーまわりの変更を紹介したいと思います。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

はじめに

 本連載では、PHP上で動作するアプリケーションフレームワークであるZend Frameworkについて紹介していきます。今回は引き続きZend_Controllerの最新機能を紹介したいと思います。前回はルーティングの新機能を見てみましたが、今回はアクションコントローラーまわりの変更を紹介したいと思います。

対象読者

 PHPの基本構文やについては一通り理解している方を対象としています。また、過去の記事からの差分を中心に扱っているため、必要に応じて過去の記事を参照してください。

必要な環境

 Zend FrameworkはPHP 5.2.4以降とWebサーバがインストールされている環境で利用可能です。本稿ではWebサーバとしてApache 2.2を、OSにWindows XPを採用し、アプリケーションを作成していきます。

 以下に、今回アプリケーション作成/動作確認に用いた環境を示します(インストールにあたっては最新安定版の使用を推奨します)。各項目の詳細なインストール手順は、「サーバサイド技術の学び舎 - WINGS」より「サーバサイド環境構築設定手順」を参照ください。

  • Windows XP SP3
  • PHP 5.3.3
  • Apache 2.2.16

 LinuxやFreeBSDなどUNIX系OSをお使いの方もコマンドはほぼ一緒なので、パスなどは適宜読み替えてください。

アクションヘルパー

 アクションヘルパーは以前紹介したとおり、アクションコントローラーの機能を補助します。このアクションヘルパーは以前紹介したときから4つ、種類が増えています。

アクションヘルパーの一覧
分類 ヘルパー名 説明
従来からあったもの FlashMessenger リクエストをまたがったメッセージの保存
ViewRenderer Zend_Viewコンポーネントとの連携
Redirector リダイレクト関係
追加されたもの AutoComplete 補完機能つきテキスト入力の補助(オートコンプリート)
ContextSwitch 要求フォーマットに対応して出力を変更
AjaxContext ContextSwitchのAJAX用版
Json JSON形式での出力

 増えたアクションヘルパーは4種類で、大部分がAJAX機能を補助するためのものです。こちらについて、順番に見ていきましょう。

補完機能つきテキスト入力の補助(AutoComplete)

 多くのJavaScriptツールキットでは、ユーザが入力しているテキストを補完する機能(オートコンプリート)を持つテキスト入力を提供しています。例えばDojoツールキットならComboBoxウィジェットにそのような機能があります。

図1 テキスト補完機能のあるComboBoxウィジェット
図1 テキスト補完機能のあるComboBoxウィジェット

 AutoCompleteアクションヘルパーは、このようなオートコンプリート機能のあるウィジェットに対して、補完の候補を送る機能を提供します。現在、AutoCompleteアクションヘルパーが対応しているのはDojoツールキットとScriptaculousツールキットです。

 ここで、DojoのComboBoxウィジェットを対象として、AutoCompleteアクションヘルパーを利用する方法について説明します。なお、そのためにZend_Dojoコンポーネントも利用します。Zend_Dojoの詳細については以前の記事も参照してください。

 それでは、まずZend_Dojoコンポーネントの設定とComboBoxの作成から見ていきましょう。

リスト1 Dojo関係の下準備(IndexController.php)
public function comboboxAction()
{
    $view = $this->view;
    /* (1)Zend_Dojoを有効にする */
    Zend_Dojo::enableView($view);
    Zend_Dojo_View_Helper_Dojo::setUseDeclarative();

    $dojo = $view->dojo();

    /* (2)Dojoの場所を指定する */
    $dojo->setCdnVersion('1.5.0');
    $dojo->setCdnBase(Zend_Dojo::CDN_BASE_AOL);

    /* (3)Dojo側で利用するファイルの指定 */
    $dojo->addStyleSheetModule('dijit.themes.tundra');
    $dojo->requireModule('dijit.form.ComboBox');
    $dojo->requireModule('dijit.form.Form');
    $dojo->requireModule('dojo.data.ItemFileReadStore');

    /* (4)ComboBoxを含むフォームの作成 */
    $url = $view->url(array('action'=>'autocomplete')); //(4-1)
    $form = new Zend_Dojo_Form;
    $form->addElement('ComboBox','cbox',
                      array('label'=>'Combo Box',
                            'value'=>'beta',
                            'autocomplete'=>true,
                            'storeId' => 'cboxStore',
                            'storeType' => 'dojo.data.ItemFileReadStore',
                            'storeParams' => array('url' => $url),//(4-2)
                            )
                      );
    $view->assign('form', $form);
}

 (1)では、まずZend_Dojoコンポーネントを利用するための下準備をしています。(2)でDojoツールキットの場所を指定しています。ここではAOLが提供しているCDNにあるものを利用するように設定しています。(3)ではDojo側で、どのようなファイルを利用するかの設定をしています。

 そして(4)で実際にComboBoxを作成しています。この中の(4-2)で渡している「storeParams」パラメータで補完の候補を生成するURLを指定しています。このURLは(4-1)で作成しており、「autocomplete」アクションを示すURLになっています。

 この、候補を作成する「autocomplete」アクションでautoCompleteアクションヘルパーを使います。

リスト2 候補の作成(IndexController.php)
public function autocompleteAction()
{
    /* 候補の一覧 */
    $data = array('alpha','beta','gamma','delta','epsilon','zeta',
                  'eta','theta','iota','kappa','lambda','mu',
                  'nu','xi','omicron','pi','rho','sigma','tau',
                  'upsilon','phi','chi','psi','omega');
    
    /* 候補をJSON形式で送信 */
    $this->_helper->autoCompleteDojo($data);
}

 このように、候補を配列に格納しておきます。そして、今回はDojoツールキットを利用するので、autoCompleteDojoアクションヘルパーに渡すだけで、JSON形式で補完の候補が送信されます。

 以前の例ではZend_Dojo_Dataクラスのオブジェクトを自分で作成したりと多少手間がかかりましたが、このようにautoCompleteアクションヘルパーを利用すれば簡単にオートコンプリートのあるテキスト入力が作成できます。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
出力形式の自動選択(ContextSwitch)

この記事は参考になりましたか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Zend Framework入門連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 風田 伸之(カゼタ ノブユキ)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/5631 2011/01/07 16:20

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング