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良いプロダクトを発見・具現化するために、チームはどう動くべきか?

~「情熱プロダクトオーナー」認定スクラムプロダクトオーナー 研修レポート

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 去年の10月20日、21日に、認定スクラムプロダクトオーナー研修が開催されました。筆者も、システム開発プロジェクトを進めるなかで、顧客やメンバーとの合意形成をするための助けとなるかもしれないと思い、研修を受講しました。本稿では、2日間の研修で行われた講義の内容について、レポートしたいと思います。

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受講のきっかけ

 筆者の仕事は、案件の成功にむけてプロジェクトをリーディングすることです。開発するシステムの要件をまとめたり、顧客と社内のメンバーとのつなぎ役となったりするのも大事な仕事の一つです。2011年はそういった日常の仕事をしつつスクラムに注目し、7月に開催された「Scrum Boot Camp 東京」やその他の勉強会に参加したりしていました。

 そんな中、スクラムギャザリング東京2011の開催に併せて、認定スクラムマスター・スクラムプロダクトオーナー研修が開催されることを知りました。システム開発プロジェクトを進めるなかで、顧客との合意形成をするための助けとなるかもしれないという思いから、認定スクラムプロダクトオーナー研修を受講することにしました。

ジェフ・パットン氏について

 ここで、講師のジェフ・パットン氏について、少しご紹介しておきます。

 ジェフはアジャイルUXの第一人者として米国で活躍されている方で、2007年にはGordon Pask Awardを受賞しています。今回の研修内容にも、アジャイルUXの知識やプラクティスがふんだんに取り入れられられていました。

ジェフ・パットン氏
ジェフ・パットン氏

スクラムの概要とプロダクトオーナー

 スクラムとは、アジャイル開発手法の1つです。開発チーム、プロダクトオーナー、スクラムマスターという3つの役割を担う担当者達が協調しつつ、スプリントと呼ばれる短い開発期間を何度か繰り返しながら開発を重ね、価値の高いプロダクトを作り上げていきます。

 では、今回の研修題材であるプロダクトオーナーとはどういった役割なのでしょうか。

 プロダクトオーナーの役割とは、プロダクトの成功に責任を持つことです。プロダクトの成功とは何かといえば、そのプロダクトによってユーザー・顧客とステークホルダーの両方を満足させることです。ユーザーに使ってもらえるというだけではなく、収益が上がる(だけとは限りませんが)などのビジネス価値も考慮する必要があります。そのためにはユーザー価値とビジネス価値を明確にしておくことが必須です。

 また、その成功に向けてどういったプロダクトを開発するべきか、プロダクトオーナーが見つけ出さなければなりません(=プロダクトの発見)。

 「よくある誤解としてプロダクトオーナーは1人でなくてはならないということがあるが、それでは必ず苦労する」とジェフは言っていました。よりよいプロダクトを発見するためには広範囲のスキルが必要となるため、1人でまかなうのは非常に困難です。そのため、専門知識を持った担当者が集まってプロダクトオーナーシップチームを組み、チームで協調しながらプロダクト発見の作業をしていくのが良いそうです。

 チームを構成する担当者の素質としては、以下の3つが挙げられていました。

  • プロダクトが持つべき価値を知っている人(ビジネスリーダー)
  • プロダクトが実際に使い物になるかを判断できる人(UXデザイナー、ビジネスアナリスト)
  • プロダクトが実現可能かを判断できる人(エンジニア、アーキテクト、テスター)

 確かにこれらすべてに精通したスーパーマンなんてそうそういませんし、作業量も膨大なため、1人でやるのはとても大変です。プロダクトバックログの内容に責任と権限を持つ人は、その中の誰か1人が担当すればよいということでした。

 作成するプロダクトが発見できたら、それを元にプロダクトバックログを整備します。プロダクトバックログはスプリントのインプットとなるためのものです。スプリントをスムーズに進めるためにも、バックログ項目の優先順位付けやリリースの計画を立てるといったこともプロダクトオーナーの重要な仕事です。

 以上のように、どんなプロダクトを誰に向けて作っていつ世に出すのか、プロダクトマネジメントをしっかり行うことがプロダクトオーナーの役割と言えます。

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この記事の著者

田子 昌行(クラスメソッド株式会社)(タゴ マサユキ(クラスメソッドカブシキガイシャ))

2008年にクラスメソッド株式会社に入社。 以降プロジェクトリーダーとしてシステム開発に従事。 認定スクラムプロダクトオーナー(Certified Scrum Product Owner)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/6404 2012/03/30 14:00

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