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【デブサミ2014】セッションレポート (AD)

【デブサミ2014】13-B-4 レポート
ビジネスの成功と快適な開発を同時に実現する「DevOps」の事例を紹介

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 開発(Development)と運用(Operations)が協力し、ビジネス要求を反映したシステムを迅速に実現する手法として注目される「DevOps」。様々な自動化ツールが登場しているが、プロセスとカルチャーが定着していなければ実現は難しい。果たして実現するプラクティスと適用ロードマップとは何か。日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 Rational ITテクニカル・セールスの黒川敦氏が2つの事例を示しながら考察を行った。

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日本IBM ソフトウェア事業 Rational ITテクニカル・セールス 黒川 敦氏
日本IBM ソフトウェア事業 Rational ITテクニカル・セールス 黒川 敦氏

ビジネス環境の変化がもたらす「新しいDevOps」の在り方

 DevOpsのプラクティスといえば、CI(Continuous Integration)や CD(Continuous Delivery)、またクラウドを使った「Infrastracture as code」などがキーワードとして挙げられるが、日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)でRational製品のテクニカルセールスに携わる黒川氏は「最近、DevOpsの考え方が少し変わってきた」と語る。

 黒川氏は、そのキーワードとして「ワクワク感」と「ユーザー価値」の2つを挙げる。開発者が「何のためにこのアプリを作るのか」を実感しつつ、「ユーザーのために何をするのか」を考えながら開発に取り組むことで、プロジェクトを盛り上げ、成果を出していく。これにより、企業と開発者の価値を高めるというわけだ。それは、このセッションで黒川氏が紹介する2つの事例に共通する事柄だという。

 事例を紹介する前に、黒川氏はDevOpsの現在の定義の確認と今後の変化について、資料から分析を行った。IBMが企業のCEOを対象に実施したインタビューによると、企業に最も影響を与える外部要因として、「テクノロジー」を挙げるCEOが急激に増えているという。2004年では「テクノロジー」が6位であったことを鑑みると、当時のITはコストセンターとみなされていることが明らかだ。そして2013年には、迅速にビジネスを進め、競争力を高める存在として認識されていることがわかる。黒川氏は「技術者にとって、今は新しいことに取り組みやすい時期にある」と語る。

 一方、アジャイル開発の普及度をIBMが調査したところ、2009年には取り組み中を含めて30%台だったが、2013年には80%近くまで上昇している。こうした急速な普及について、黒川氏は「様々な成功事例が紹介されると同時に、失敗事例が出てきたことで、アンチテーゼとなっているのが大きい」と推測し、「DevOpsにも同じ流れが来るのではないか」と語る。

 黒川氏は、DevOpsで最も知られた「ハートの絵」を示し、価値観や方向性の異なるメンバーが「ビジネスの目的」のもと、一丸となってプロジェクトを進める大切さを改めて紹介。CIやCDはプラクティスとして知られ、実際に様々なプロジェクトで活用されてきた。

 しかし、2009年と2013年では、DevOpsを取り巻く環境が大きく変わった。DevOpsは、ビジネス変化に俊敏に対応するITテクノロジーとして、大いに期待されているという。また、ビジネス変化は「SMACS(Social/Mobile/Analytics/Cloud/Security)」にあるとした。

 この変化は、事業部門がソーシャルやモバイルを「儲かるもの」と認知し始めたことに起因する。つまり、自分たちがユーザーとして触っているから実感を得ているというわけだ。となれば、もはやDevOpsは開発と運用の連携にとどまらない。ユーザーも含めて仮説の構築と検証を繰り返し、開発速度を高めることが必要となる。

 そしてもう1つ、迅速で的確なシステム開発を実践する上で重要なカギとして、エリック・リース氏の著書で示された「リーンスタートアップ」という考え方がある。リーンスタートアップでは、最低限の製品やサービス、試作品を作って顧客の反応をみる。そしてフィードバックがあれば反映し、その繰り返しでサービスを優れたものにしていく。

 こうした2つの観点から、黒川氏は「事業部門と開発部門が連携するアジャイル開発の範囲に加え、DevOpsは顧客から運用部門までを全て網羅する。そこで持続的なイノベーション、フィードバック、改善などを実現し、リーンスタートアップを支える」とDevOpsを位置づけた。

顧客・事業部門を含めたDevOps
顧客・事業部門を含めたDevOps

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「ユーザーを含めたDevOps」と「コラボレーティブな開発環境」の2つの事例

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