はじめに
夜おそくまで開発で忙しい日々を送っているので、休みの日は家でゆっくり音楽鑑賞してリラックスしたいなと思いませんか? どうせだったら、AirPlayにも対応したオーディオが欲しいとか、高音質な音源を良い音で楽しみたい、とか、音楽のコレクションが増えすぎたのですっきりまとめて整理したい……など思い、いざ家電量販店のオーディオコーナーに立ち寄るも、最新で自分好みのオーディオシステムを揃えようとすると、ついつい出費がかさんでしまいます。
そこで、本記事では、約4000円で購入できるシングルボードコンピュータである「Raspberry Pi」と、家に余っているmicroSDカードメモリや無線LANアダプタ/ケーブルなどのパーツを使って、格安で自分だけのミュージックサーバを手作りする手順を紹介します。
対象読者
本記事は、次の方を対象にしています。
- おもしろいものが作りたい好奇心旺盛なエンジニアの方
- 簡単なネットワーク/Linuxコマンド(Debian系)を理解されている方
- 家庭内LANを敷設されている方
- 家に使っていないハードディスクや無線LANアダプタなどがある方
- お小遣いが4000円ほどある方
Raspberry Piとは?
Raspberry Pi(ラズベリーパイ)は、教育用に開発されたシングルボードコンピュータです。ARMプロセッサを搭載し、microUSBで電源を供給し、SDカードにOSをインストールして動作させます。一言でいってしまえば、約4000円で買うことができる、タバコの箱サイズの小さなパソコンです。
公式サイトは、以下になります。
Raspberry Piは、執筆時点で次の3つのタイプが販売されています。秋葉原などの電子機器を扱う店頭だけでなく、AmazonやRSコンポーネンツなどのネットショップでも簡単に購入できます。
モデル | Model A | Model B | Model B+ |
---|---|---|---|
価格 | 約3400円 | 約4000円 | 約4000円 |
CPU | 700MHz/ARM1176JZF-Sコア | ||
メモリ(SDRAM) | 256MB | 512MB(一部256MBものもあり) | 512MB |
USB 2.0ポート | 1 | 2 | 4 |
映像出力 | コンポジットRCA/HDMI | ||
音声出力 | ステレオ3.5mmミニプラグ/HDMI | ||
ストレージ | SD | MicroSD | |
ネットワーク | なし | 10/100Mbpsイーサネット | |
GPIO | 26ピン | 40ピン | |
電源 | 5V/microUSBまたはGPIO |
一番新しいモデルは、Model B+で、Model Bを改良したモデルです。本記事では、Model B+を使ってミュージックサーバをつくります。
GPIO(General Purpose Input/Output)とは、プログラムの指示によって任意の入出力に利用できる入出力端子のことです。Raspberry Piでは、基盤にGPIOのピンが用意されていて、これを利用して温度センサーやスイッチ/LEDランプなど他の電子パーツをつなげることができます。
Raspberry Piで出来ること
Raspberry Piでできることは、通常のコンピュータと変わりないので、Webサーバを立ち上げたりパソコンとして利用したりすることもできます。さらに、小型である/省エネである/センサーなどの電子部品を自由に組み込めるというメリットを生かして、世界中の好奇心旺盛なエンジニアたちがさまざまなものを作っています。カメラと組み合わせてペットの監視カメラを作ったり、ディスプレイやSIMカードと組み合わせてスマートフォンを作ったりしている人もいます。また、コミュニティも盛んでいろいろな情報がやりとりされています。
また、「Kano」というRaspberry Piをベースにした、組み立てパソコンも発売されています。子供がレゴブロックを作る要領で本体やケーブルを組み立てるとあっというまにパソコンが出来上がります。また、プログラミングツールがあらかじめ用意されていて、遊びながらプログラミングを学習できます。価格は$149.99 USDです。