ケース6:ナレッジの属人化
6つ目のケースは「ナレッジの属人化」について。ケース5とも関連しますが、ナレッジの共有が行われていないがために、運用方法等が属人化を招くことも往々にしてあります。例えば、とある担当者が環境構築をChefで行っていたとしましょう。その担当者がChefの機能を存分に使いこなし、非常に効率良く管理を行っていましたが、その間ナレッジの共有は行われていませんでした。結果として担当者が居なくなってしまうとChefレシピを理解し、使いこなすメンバーも現れずに、Chef自体が廃止となってしまったそうです。
パクえ氏は「こういう場合は、トレーニングを行うべきである」と対応策についてコメントしました。幸いこの手のツールは環境の複製も容易です。任意のテンプレートを用意し、複製したものを活用して色々試す機会を設けてナレッジの共有を図っていくことで、整備したナレッジを無駄にしなくて済むようになるでしょう。
ケース7:評価基準の設定
最後の7つ目のケースは「能力を評価できない」というもの。これはシンプルに「評価を行う基準がない」というのがその理由となります。組織としても、移り変わりの激しい、また変化のスピードも加速度を増しているクラウドに対してはなかなかそれらに対する評価基準を明確に定めていくというのも難しい部分があるのでは無いでしょうか。
これらの課題について、パクえ氏は「将来求められるスキルを基準にすることがポイント。各種資格を活用し、スキルの見える化を行っていくことが大事」とコメントしました。「クラウドに関する知識を知っている」ということは、(1)ベンダーに依存しない基礎的な知識、(2)サービス・プロバイダのメニュー固有に関する知識、これら2つの知識について知っていることという意味となります。その中でもまずは前者については、クラウドの世界に足を踏み入れる場合に身に付けておく必要があります。
「ベンダーに依存しない基礎的な知識」に関して、体系だったニュートラルな知識を得る方法の1つとして、パクえ氏は「Cloud Essentials」を参加者に対し勧めました。実務ベースの情報について取り纏めており、営業職でも取ることができるという手軽さもあるというのがその理由だそうです。サービス固有の情報については変化も激しく、常にキャッチアップしていくのは大変ですが、基礎の部分については大きく変わったり、陳腐化するということはありません。クラウドへの足掛かりの一歩としてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
最後にパクえ氏は全体を振り返り、「ガバナンスの基本は権限の譲渡とレポーティング。構成を小さくた上で管理していくことが大事。また、組織経営についてもワークフローのレベルで見直しを掛けて行くことが必要です。時間感覚が違うものは阻害要因と成り得るので、改善を施せるように対応していきましょう」とセッションを結びました。