Androidの画面遷移(1)
それでは、今回のメインテーマである画面遷移について扱っていきましょう。
上で作成したメニューリストをタップすると、画面が遷移し、以下の注文完了画面が表示されるようにしていきます。
ファイルの追加
第3回「Androidアプリ開発の基本~ビューとアクティビティ」で解説したとおり、AndroidではActivityクラスとレイアウトxmlファイルのペアでひとつの画面が成り立っています。したがって、画面を追加するには、app/Javaフォルダの所定のパッケージ内にActivityクラスを、res/layoutフォルダにレイアウトxmlファイルを追加し、さらに、AndroidManifest.xmlに追加されたActivityを登録するという、3種の作業をしなければなりません。
Android Studioではこの3種の作業をまとめて行ってくれる機能があります。Fileメニューから
[New]>[Activity]>[Empty Activity]
を選択してください。以下のようなウィザード画面が表示されます。
以下の情報を入力し、「Finish」をクリックしてください。
- Activity Name: MenuThanksActivity
- Layout Name: activity_menu_thanks
- Package name: com.websarva.wings.android.intentsample
- TargetSource Set: main
すると、所定の位置にMenuThanksActivityクラスとactivity_menu_thanks.xmlファイルが追加され、さらに、AndroidManifest.xmlに
<activity android:name=".MenuThanksActivity"> </activity>
が追記されていることが確認できます。
ソースコードの記述
それではソースコードを記述していきます。activity_menu_thanks.xmlに関しては、特に解説する内容はありませんので、ダウンロードサンプルのソースコードを参照してください。
まず、MenuListActivityにソースコードを追記していきます。リストをタップした時に完了画面に遷移しますので、リストタップのリスナクラスの作成と、その登録を記述していきます。
public class MenuListActivity extends AppCompatActivity { @Override protected void onCreate(Bundle savedInstanceState) { ~省略~ lvMenu.setOnItemClickListener(new ListItemClickListener()); // (7) } private class ListItemClickListener implements AdapterView.OnItemClickListener { @Override public void onItemClick(AdapterView<?> parent, View view, int position, long id) { Map<String, String> item = (Map<String, String>) parent.getItemAtPosition(position); // (8) String menuName = item.get("name"); // (9) String menuPrice = item.get("price"); // (9) Intent intent = new Intent(MenuListActivity.this, MenuThanksActivity.class); // (10) intent.putExtra("menuName", menuName); // (11) intent.putExtra("menuPrice", menuPrice); // (11) startActivity(intent); // (12) } } }
MenuListActivity内に、メンバクラスとしてリスナクラスを作成し、(7)でそれを登録しています。
今回のListViewは、各データとしてMap<String, String>を使用しています。従って、positionを使ったタップデータの取得について、getItemAtPosition()の戻り値の型はMap<String, String>となります。これが(8)です。そのMap内からメニュー名、価格を取得しているのが(9)です。
(10)~(12)の記述に関しては後述します。
次に、MenuThanksActivityに以下のソースコードを追加してください。
public class MenuThanksActivity extends AppCompatActivity { @Override protected void onCreate(Bundle savedInstanceState) { ~省略~ Intent intent = getIntent(); // (1) String menuName = intent.getStringExtra("menuName"); // (2) String menuPrice = intent.getStringExtra("menuPrice"); // (2) TextView tvMenuName = (TextView) findViewById(R.id.tvMenuName); TextView tvMenuPrice = (TextView) findViewById(R.id.tvMenuPrice); tvMenuName.setText(menuName); tvMenuPrice.setText(menuPrice); } public void onBackButtonClick(View view) { // (3) finish(); // (4) } }
一通りのコーディングが終了したら、アプリを再起動し、動作確認を行ってください。リストをタップすると、注文完了画面が表示されることが確認できます。さらに、単なる注文完了画面ではなく、リストでタップした定食名と金額がちゃんと表示されています。
どのように処理を記述すれば、こういうことが可能なのか、以下に解説してきます。
Androidの画面遷移の特徴
その前に、先にここで、Androidの画面遷移の特徴を解説します。実はAndroidの画面遷移というのは、「遷移」と呼ぶにはふさわしくない挙動なのです。
例えば、リストを一番下までスクロールした状態で「焼き魚定食」をタップして、注文完了画面を表示させます。その上で、「リストに戻る」ボタンをタップして表示されたリストというのは、注文完了画面を表示させる前の状態そのままで表示されます。
これを図にすると以下のようになります。
Androidでは画面は「遷移」するのではなく、元ある画面の上に画面が乗る形で表示されます。リスト画面をタップし、注文完了画面に「遷移」するのではなく、注文完了画面が新たに起動し、リスト画面の上に表示されます。戻るボタンタップ時には、起動している注文完了画面を終了させ、画面そのものを消滅させます。そのことで裏に隠れていたリスト画面が表に出てくるという挙動なのです。