SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

AWSの深いところ見せちゃいます! by AWSクラウドサポートエンジニア

AWSネットワークの論理的な側面 ~ AWSのバックボーンネットワークに関するDeepな話(2)

AWSの深いところ見せちゃいます! by AWSクラウドサポートエンジニア 第2回

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 こんにちは。アマゾンウェブサービス(AWS)サポートの有賀と申します。好きなサービスはAmazon Virtual Private Cloud(VPC)です。これからAWSサポートの各メンバーがそれぞれ「今一番AWSユーザーに伝えたいこと」を連載の形でお届けしていきます。筆者の担当する本稿では、AWSの「ネットワーク」について見ていきたいと思います。今回は、ネットワークの「論理設計」について解説します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 本稿でお伝えするのは下記の第2回の内容です。全3回に渡って解説していきます。

  • AWSのネットワークの物理的な側面 ⇒ 第1回
  • AWSのネットワークの論理的な側面 ⇒ 第2回
  • AWSのネットワークにおけるベストプラクティス ⇒ 第3回
  • AWSのネットワークにおいて過去に発生した問題の事例 ⇒ 第3回

 必ずしもAWSの使い方といった内容ではないので、今日すぐに使える知識にはならないかもしれませんが、AWSのネットワークがどのようにできているかをご理解いただくことで、AWSをより効果的・効率的に使っていただく際の参考にしていただけると思います。

AWSのネットワークの論理的な側面

 まずは、AWSのネットワークの論理的な側面についてお話しします。具体的には「Amazon Virtual Private Cloud(VPC)」と呼ばれる仮想ネットワークについてのお話になります。VPCではお客さまが仮想ネットワークを定義することができ、その中にEC2インスタンスなどのAWSのリソースを起動できます。

 VPC内でAmazon EC2インスタンスがどのように通信をおこなっているかを理解することが、すなわちAWSのネットワークの論理的な側面の理解へとつながっていきます。

Mapping Service

 まず、唐突ですが、VPCを理解する上で重要な概念となる「Mapping Service」をご紹介します。VPCを使うだけであれば知る必要はありませんが、その仕組みを理解するためには必須の概念となります。

Mapping Service
Mapping Service

 Mapping Sericeは分散参照システムであり、VPC IDとEC2インスタンスのIPアドレスの組を「Server」と対応付ける機能を提供します。具体例としては上図のVPC ID「青」+IPアドレス「10.0.0.2」という組をServer「192.168.0.3」と対応付けるということになります。

 「Server」とは「仮想サーバホスト」や「ホストコンピュータ」と呼ばれており、要するにEC2インスタンスが動作している場所です。

 では、以下で実際にEC2インスタンスが通信する際、Mapping Serviceがどのように使われているかを見ていきましょう。なお、これ以降EC2インスタンス内で動いているOSを「ゲストOS」と呼んでいます。

VPCにおける同一サブネット内の通信(1)

 初めに同一サブネット内の通信、つまりレイヤ2での通信を見ていきます。同一サブネット内の通信のためルーターはまだ出てきません。

ARP(Address Resolution Protocol)

 まず通常のサブネット内の通信と同じく、ゲストOSが送信先のIPアドレスからMACアドレスを得るためにARPリクエストを送信します。するとServerがすかさずリクエストを横取りし、Mapping Serviceに「VPC ID xxxx 内でIPアドレスが x.x.x.x のEC2インスタンスはどこのServerにいるのか?」と聞きに行きます。

 送信先は同じVPC内なのでVPC IDは送信元と同じとなります。先の図にて具体的には、10.0.0.2のゲストOSが10.0.0.3に対するARPリクエストを出すと、送信元ServerはMapping Serviceに「VPC ID 青でIPアドレスが10.0.0.3のインスタンスのServerはどこ?」というリクエストを送り、リプライは「Serverは192.168.1.4。MACアドレスはx:x:x:x:x:x。」となります。

 Mapping ServiceよりMACアドレスを取得した送信元Serverは、送信元ゲストOSへとMACアドレスを返します。送信先ServerのIPアドレスはゲストOSには意味が無いため当然返されません。また、ここで送信元ゲストOSが出したARPリクエストは送信先ゲストOSへは到達していないことにご注意ください。

 以上のように、各ServerはMapping Serviceで「VPC IDとEC2インスタンスのIPアドレス」をキーに「送信先インスタンスが存在するServerのIPアドレスと、送信先インスタンスのIPアドレスに対応するMACアドレス」を検索している、ということになります。逆に言うと、インスタンスが開始される際には各インスタンスのVPC ID、IPアドレス、MACアドレス、ServerのIPアドレスなどをMapping Serverに登録しておく必要があるということになります。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
VPCにおける同一サブネット内の通信(2)

この記事は参考になりましたか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
AWSの深いところ見せちゃいます! by AWSクラウドサポートエンジニア連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

有賀 征爾(アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社)(アリガ セイジ)

 AWSクラウドサポートエンジニア。大学院にてインターネット分野の研究をした後、大手通信キャリアにて国際インターネットバックボーンの設計・構築・運用に携わる。その後、国内インターネットバックボーンの設計にも携わり、IPv6、セキュリティサービス等の開発などを担当する。2015年春にクラウドサポートエ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/9790 2016/11/29 14:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング