コードジンのヘッダーが入ります Developers Summit 2008:セミナーレポート
【13-E-2】今、開発者は何をすべきか?変化に対応し続けるシステム開発のヒント~大規模企業システム開発の現場から
大規模企業システム開発のノウハウを結集
生産性向上に対するNRIの取り組みとは
坂田 浩慈氏
株式会社 野村総合研究所 情報技術本部 開発技術本部 主任
現在、システム開発の現場では、納期遅延や要求水準未到達、コスト超過など、さまざまな問題が生じている。その原因は、企業のIT活用の多様化や技術の進化といった「変化」に対応できない開発現場にあるようだ。NRIは、現場のこうしたニーズを受け「変化に強い開発フレームワークの提供」とそれに付随する「サポートの広範化」に尽力。システム開発の生産性を高め、品質向上に貢献する取り組みについて紹介する。

 「不成功4割以上、納期遅延5割以上*」これは、過去1年間のシステム案件に関する開発側および発注側の意識調査の結果である。坂田氏は、この惨憺たる結果の背景として、適用範囲の拡大や構築期間の短縮などの「システム構築の高度化」と「急速な技術の進化」の2点をあげ、「激化する競争を勝ち抜くために、システムに求められる要件はより厳しいものになる」と指摘する。特に仕様変更への迅速な対応や、保守エンハンスへの効率化など、柔軟性と低コスト化についてはさらにシビアになることが明白であり、開発側には可及的かつ的確な対応が求められているという。

そこで開発側では「開発手法の標準化」や「進捗状況・問題点の可視化」、そして「AP開発基盤の導入」などへの意欲がうかがえるというが、坂田氏は「部分最適な対応では将来的に凶となる」と、安易な導入に警鐘を鳴らす。つまり、業務システムを個別に最適化するのではなく、企業システム全体の将来像を見据えて「全体最適化」の観点から考えるべきというわけだ。そして、頻繁なアプリケーションの追加変更およびOSやハードウェアの取り替えに柔軟に対応するための「つなぎ役」として「ミドルウェア」の重要性を力説する。

NRIでは、このような全体最適の発想に基づき、以前から「開発フレームワークと標準化」を重視してきた。結果、現在の潤沢な人材と、業界屈指の高品質・高生産性に結びついたという。その優位性を活かし、今後は特に以下の2点について取り組みを強化していくという。

まず1つめは、新技術・仕様への追随を意図した「変化に強い開発フレームワーク」の提供である。これは、近年のオープンソース基盤やJavaの標準仕様の広がり、PLやBLの非効率性の問題、アプリケーションアーキテクチャの変化などを受けたものであり、「独自性を排除した標準基盤」「開発容易性を目的としたツール提供」「DI/AOP技術による部品化の促進」をポイントとしている。

そして2つめは、現場からの強いニーズに応えたという、より上流下流へ向けた「サポート範囲の拡大」である。具体的な取り組みとしては、既存のIT資産を可視化して有効活用したいというニーズに対する『アプリケーションポートフォリオマネジメント(APM)』、自由度が高まるとともに強化が不可欠な『開発標準化』のためのツール群、さらには開発の迅速化やオフショアに対応するための『開発管理を軽減する』ツールの開発などである。その中から「開発管理支援機能」についての説明があり、高品質なシステムを正確かつ簡便に管理するための考え方や工夫が紹介された(図1)。

このような開発フレームワーク、および各種ツールは、コンサルティングやサポートが付加され、IT基盤ソリューション「GranArch」や、そこから切り出されたミドルウェア製品「オブジェクトワークス」として提供される。坂田氏は「たとえばAPMをメンテナンス時のみならず開発フェーズで使うなど、ツールを提供するだけでなく、企業ポリシーやプロジェクトの状況に応じて様々な活用を提案できるところが強み」と述べ、NRIの現場ノウハウがしっかりと反映された実用的なソリューションであることを強調した。そして「これらのソリューションを通じて、開発現場のアプリケーション開発の生産性向上や、品質の飛躍的な向上へと貢献していきたい」と語り、セッションを締めくくった。

*@ITとNRIによる共同調査「ITプロジェクト管理についてのアンケート」より

図1:管理負荷軽減と品質向上を目的とした「開発管理支援機能」を強化
問い合わせ先
株式会社 野村総合研究所
基盤ソリューション事業本部
〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル
TEL 03-6267-9100
E-mail o3w@nri.co.jp

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