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Adobe AIRは、デスクトップ向けRIA(Rich Internet Applications)を開発・配布するための、まったく新しいアプリ開発技術である。2007年12月にベータ3が公開され、本セッション時は、リリース時期が未定だったが、14日後の2月28日に正式版となるAIR1.0(英語版)が発表された。英語版というだけに、現在は日本語入力にフルに対応はしていない。気になる日本語版のリリース時期について「今年の第二四半期には登場してくる予定です」とアドビシステムズ テクニカルエバンジェリストの太田禎一氏は語る。
AIRの特徴の第1は「まったく新しいアプリ開発技術」であるにも関わらず、JavaScriptやAction ScriptなどのWebアプリケーション技術だけで開発可能な点だ。第2にWindowsとMac OSにも対応、クラスプラットフォームへの配布も可能な点だ。しかも2008年度中にはLinuxにも対応する予定だという。第3にワンクリックでインストールできること。「これ以上簡単なものはない」と太田氏。さらに続けて「Ajaxアプリケーションをそのまま稼動したり、組み込みWebブラウザエンジンを有していたりすることなど、他のデスクトップRIAと比較しても、高機能かつ高リーチさをWebの流儀で実現できる技術なのです」と太田氏は強調する。もちろん弱点もある。それが外部DLLのサポートだ。「将来的には対応していくのではないか」と太田氏は示唆する。
続けて太田氏はAIRを使うメリットについて、「ダブルクリックだけでアプリケーションにアクセスできることや、ローカルファイルの読み書き、生成が可能なこと。クロスドメインアクセス、オフラインでの稼動が可能なこと。デスクトップや他のアプリケーションとの間をドラッグ&ドロップで実行できること。ローカルSQLデータベースを持っていること。さらにはショートカットキーなどが使えること」などを挙げる。
これまでのWeb技術を使って用意に開発できるAIR。その手法は「3つある」と太田氏。第1にアドビシステムズが有償で提供している「Flex Builder 3」を用いた開発。第2の方法がFlashまたはDreamweaverを用いた開発。第3が無償で提供されているAIR SDKによる開発である。「Flex Builder 3を用いるとすごく簡単に開発できるので、お勧めです」と太田氏。
さらに太田氏はこれからのWebアプリケーションの展望として、3つのデータ接続ニーズを紹介。「第1にリアルタイムな情報提供とコミュニケーションが可能なこと。第2に複雑・大容量化するデータを効率的に転送できること。第3にRIA特有の問題ですが、クライアントとサーバ間データの同期問題を解決できることです。これらのニーズを満たす策を持っているのが、当社なのです」と太田氏。それが、アドビが提供するミドルウェア「LiveCycle Data Services ES」である。「有償版のため、すぐに購入というわけにはいかない人も多いでしょう。そこで当社ではオープンソース版BlazeDSを無償で提供しています」と太田氏は続ける。BlazeDSではHTTPデータプッシュとAMF3バイナリ通信が可能だ。「まずはこれで試して欲しい」と太田氏はいう。
セッションの最後にAIRの開発の容易さをデモで紹介。そしてAIRに関するお勧めの書籍やWebサイトを紹介して太田氏のセッションは終了した。