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「FileMakerは米国で23年前に誕生したデスクトップDBの定番。日本でもすでに19年の実績があります」。こう語るのはFileMaker専業のソフトウェア開発会社ジェネコム代表取締役の高岡幸生氏である。「FileMakerはDBエンジンとDBソリューションの開発環境を提供するソフト。Accessとの最大の違いは、C/Sシステムの構築が楽なこと。またMySQLやOracle、SQL Serverなどのデータベース連携もODBCやJDBCなどを使えば容易にできます。さらにはXMLを使ったデータのインポート/エクスポート、Web公開もできるなど、いろいろなことができるDBなのです」と語る。
簡易なデスクトップ向けDBとはいうものの、基本スペックを見ると、その印象は変わる。1つのファイルに100万テーブル、1つのレコード内に2億5600万までのフィールドが作成できる。1オブジェクトフィールドのデータ容量は4GB、テキストであれば10億文字、1つのファイルで8TBまでデータを格納できる。「FileMaker Pro 9であれば9クライアント、FileMaker Server 9なら250クライアントまで利用可能です」と高岡氏は語る。
個人やワークグループでの利用が多いFile Makerだが、「今、FileMakerの用途として増えているのがERPパッケージとの連携や置き換えです」と高岡氏は強調する。ERPパッケージで必要となる独自の機能をカスタマイズするのではなく、FileMakerで対応しようというのだ。「ERPを導入はしたいが、カスタマイズのコストがかけられない。かといって業務も合わせることができないという企業は、導入を断念するしかありませんでした。しかしこれからはカスタマイズ部分をFileMakerで開発するという方法がお勧めです」と高岡氏。
FileMakerの特徴は使いやすく、開発効率が高いこと。「導入後のカスタマイズも簡単。少し勉強すれば誰でもすぐ、使えるようになる。そこがいいところです」と高岡氏。続けて「FileMakerはユーザーとともに、画面を見ながら作っていけるところがいい。だからより使われるシステムができ上がる。しかも開発時に将来の業務フローを検討しながら、開発できる。本当にFileMakerはいろいろなことができるソフトなんです」という。もちろん先にも述べたとおり、どんなシステムにもFile Makerが使えるわけではない。「システム規模をしっかり見極めて使うこと。またスピードや堅牢性が求められるシステムには不向きです」と高岡氏は注意を促す。ここで高岡氏はFileMakerの実力を実感してもらうために、デモを実践。短時間で簡単に様々なことができることを証明した。
最後に高岡氏はFileMakerを導入するメリットについて次のように語った。「フルスクラッチによる開発時間を1とすれば、ERPはその約3分の2、FileMakerであれば約3分の1になる。開発期間の短縮はコストの削減にもつながります」(図1)。
メリットは開発者側にもある。開発期間の短縮による開発効率の向上は、売上効率の良さにもなる。「FileMakerは企業の情報システム部門での認知度も上がっており、『FileMakerを使ってシステム開発をして欲しい』というニーズも高まっています。しかし認定デベロッパーが少なく、顧客のニーズになかなか応え切れていないのが現状です」と高岡氏。「興味があるならぜひ、FileMaker Business Allianceに入って欲しい。オンラインフォーラムへの参加やセールスサポートがあるなど、様々な特典があります。また技術者がスキルアップをするための制度であるTechNetも利用して欲しい。今度、ワークショップも開かれるので、ぜひ参加してくれると嬉しいですね」。そう高岡氏は言葉を結び、セッションを終了した。