コードジンのヘッダーが入ります Developers Summit 2008:セミナーレポート
【14-B-6】Visual Studio 2008 で広がるチーム開発
Visual Studio 2008で広がるチーム開発
岩出 智行氏
マイクロソフト株式会社 デベロッパー&プラットフォーム統括本部
デベロッパービジネス本部 デベロッパー製品部
2年ぶりのバージョンアップとなる最新の開発環境Visual Studio 2008では、これまでの開発支援機能に加え、チーム開発の支援機能についても大幅な機能強化がされている。チームメンバーそれぞれの高度な作業をサポートし、またチーム全体のコラボレーションを効率化するチーム開発の支援機能について紹介する。

さまざまなチーム開発支援機能を活用
定期的なテスト実施で開発のリズム作り

 Windows環境におけるソフトウェア開発を支援するツール、Visual Studioの最初のバージョン97の登場から11年を経て、最新版の2008が2008年2月にリリースされた。マイクロソフトの岩出智行氏はVisual Studio 2008における機能の中で注目すべきなのは「最新プラットフォームへの対応」、「開発生産性のさらなる向上」、「アプリケーションライフサイクル管理の強化」の3点だと語る(図1)。

ライフサイクルの観点から包括的に管理するためには、分析や設計、開発(構築)、テスト、運用・保守などの各フェーズでの部分最適化だけでなく、全体最適の観点で管理しなくてはならない。

Visual Studio 2008にはチーム開発を包括的に支援するTeam Systemという製品ラインがあり、アプリケーションのライフサイクル管理を前提にしたツールも各種用意されており、様々な開発プラクティス、スタイルを支援する。

モデルを起点とする「モデル駆動開発」では、残すモデルが重要になる。そこで役立つソリューションが、特定のドメインに特化するDomain Specific Language(DSL)だ。DSLを活用すると、取り扱う課題や話題を限定することができるので、その結果モデルとコードの意味的なギャップを少なくし、残す価値のあるモデルを作りやすくなる。Visual Studio 2008ではこのような思想に基づき、分散システムを設計するためのモデリング機能を提供しており、コードとモデルの同期をリアルタイムに取りながら開発を進めることが可能だ。

次に紹介したのは「テスト駆動開発(TDD)」と呼ばれるプラクティスだ。TDDではコードの実装に先立ち、テストの実装を行う。コードよりも先にテストを実装することで、コードの設計を第3者的な立場で確認することが可能となり、設計の品質が向上するプラクティスとして知られている。Visual Studio 2008では、このTDDをサポートする機能として、単体テストの生成や、テストの実行支援、デバッグ支援といった機能を提供しており、効率的にTDDを実践した開発を行うことが可能になっている。またTDDでは、テストが成功した後には「リファクタリング」と呼ばれるコードの品質向上の取り組みが推奨されているが、この際に使用できる機能として、コードのフォーマット(整形)機能や、コードの分析、あるいはリファクタリングの支援機能を提供しており、コードの品質を高める作業もこれまで以上に実施しやすくなっている。

岩出氏は「テスト駆動開発では、テストを定期的に入れることにより、開発のリズムを作っていくことができる。同時にテスト成功が開発者のモチベーションを上げる効果がある」と効果を強調する。

また、Webアプリケーションの品質向上を支援するために、テストの自動化を支援する「Webテスト」と呼ばれる機能を提供している。Webテストでは、サーバーに飛んでいるHTTPリクエストをキャプチャし再生することで、Webアプリケーションの画面の遷移などをテストできる。さらに検証規則の導入により、ユーザの誤入力などにサーバーが正しく反応したかなど、より詳細なチェックも可能だ。さらにWebテストや単体テストを使用したロードテストにより、アプリケーションに対する負荷テストも自動化できる。

このようにVisual Studio 2008ではアプリケーションライフサイクル管理を強化するために、チーム開発で必要となる様々な機能を提供している。まさに、最新の開発ニーズに対応した開発環境といえるだろう。

とはいえ、プロジェクトを成功させるためのポイントは3つあり、ツールはその1つにすぎない。もう1つは今までの経験から生み出されてきたベストプラクティスやプロセスの適切な利用。最後の1つは人だ。各開発者が価値観を共有し、良質なソフトウェアを作る情熱を保たなければならない。岩出氏は「この3つの要素が揃って、はじめてプロジェクトが成功する」と語り、セッションを締めくくった。

図1:Visual Studio 2008における3つの特長
問い合わせ先
マイクロソフト株式会社
〒151-8583東京都新宿区西新宿3-20-2
オペラシティタワー
TEL 0120-41-6755
URL http://www.microsoft.com/japan/msdn/vstudio

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