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常に人間とドキュメントとの関係を本質的に追求してきたジャストシステム。そのひとつの到達点が、同社がXMLソリューションの集大成として開発を進めた「xfyテクノロジー」だ。今回のセミナーでの、同社代表取締役専務・浮川初子氏の講演は、冒頭でXML技術を概観しながら、その可能性について示し、後半では開発環境としてのxfyによる優位性を語るものであった。
冒頭に浮川氏は、XMLの特性を「構造的で管理しやすいデータと自由度の高いドキュメントの両方の掛け橋」と整理した上で、各業種分野で、標準化しているXMLの現状について語った。
そのうちの代表例として、金融分野でのXBRLを紹介。現在、XBRLは日本では金融庁をはじめ、東証、日銀、国税局がすでに正式採用している。このXBRLの標準化団体(XBRLinterna
tionalなど)には、同社のカナダ法人XBRLバイスプレジデントであるダイアン・ミューラー氏ほかのメンバーが深く関わっていることからも同社のXMLへの歴史と蓄積がうかがい知れる。
浮川氏によると、発端は1996年、同社が「一太郎」「ATOK」の開発実績を応用したドキュメント利用技術として、「Dynamic Document Work」テクノロジーを提唱したところまで遡る。この時の「ダイナミックドキュメンテーション」という構想が、XML1.0が提唱された1999年、XMLベースの「一太郎Ark」という製品へと結びつく。
ここから同社の課題は、XMLのアプリプラットフォームに移行したといえる。「これからはドキュメントの目的に応じたボキャブラリやデータフォーマットが多数生まれてくるようになるはず。従って、それをユーザーが対話的にハンドリングしてドキュメントの作成と運用に活かせる環境が必要。という声が、弊社のエンジニアから上がってきた」。同社は「xfyテクノロジー」のコンセプトはここから構想された。
では、2004年に発表されたその「xfyテクノロジー」とはなにか。浮川氏によれば「XMLドキュメントのアジャイルな(機敏な、身のこなしの軽い)開発環境」であるという。どのような業務分野の人でもXMLドキュメントを素早く作成し、情報の連携力を高め、業務の推進力を向上させることが目的である。それを実現するために、「xfyテクノロジー」では透過的/統一的な情報アクセスを可能にする「コンパウンドXML」、既存コンポーネントと新たな必要から生まれたボキャブラリを融合する「ボキャブラリハンドリング」、目的に応じた組み換えや拡張が容易な「コンポーネント」の3つのアーキテクチャを柱としている(図1)。
同社の開発陣による「xfyテクノロジー」のデモでは、異なるXMLボキャブラリをDOM(Document Object Model)で管理することにより、各ボキャブラリ間を透過的に検索できるといった点や、WYSIWYG環境での編集とXMLコードでの編集が相互でリアルタイムに反映し合うという点、ボキャブラリコンポーネントにより異なるボキャブラリを自由自在に組み合わせることができる点などを紹介。さらにERPやWebサービス、DBなど様々なシステムから形成されるタグ付きデータを統合し、マルチビュー機能により、あらゆるユーザーにも対応した文書になる仕組みを解説した。セミナーの結びに浮川氏は改めて「XMLはこれから重要な企業システムの基盤技術」と強調した。XMLを企業のシステムに組み込むためのソリューションとして、「xfyテクノロジー」は、注目に値するものといえるだろう。