OGIS International, Inc. S2Mule 開発プロジェクトリーダー
セッションの冒頭、OGIS International, Inc. S2Mule開発プロジェクトリーダーの藤倉成太氏は、ESBに関する基本的な知識や主な機能にふれ、次のように「Mule」についても概略を紹介した。
「Muleとは、全世界で100社以上の導入実績を持つ、成熟度No.1のオープンソースESB(Enterprise Service Bus)です。Muleを導入することによって、さまざまなプラットフォーム、プロトコルで稼動中の既存システムを最大限に活用しながら、ビジネスとITの整合性を確保し、企業システムの適応性と迅速性を実現するサービス指向アーキテクチャ(SOA)の基盤を構築することができます。2003年にイギリスのRoss Mason氏によってプロジェクトが開始され、現在のバージョンはMule 1.4.3ですが、今年度中にMule 2.0がリリースされる予定になっています。また、米国MuleSource社がエンタープライズエディションとして、Mule EE 1.5.1を販売しています」と藤倉氏。
Muleの主な機能としては、大きく次の4つが挙げられる。「プロバイダ (Provider)」、「ルータ (Router)」、「トランスフォーマ (Transformer)」、「実装オブジェクト (UMO)」だ。簡単に言って、Muleはこれら4つの要素をどう組み合わせるかで、さまざまなシステム連携を実現する。その点で、非常に柔軟性の高いアーキテクチャを採用したESBだといえる。
OGIS International, Inc.ではこのMuleとSeasar2を組み合わせ、Seasar2のサブプロダクトとした「S2Mule」を提唱しているという。
「S2Mule は、Seasar2 を使ってシステムを構築する開発者が簡単に Mule の機能を利用できるようにするためのモジュールです。S2Mule を使用するには、Seasar2 アプリケーションに Mule ライブラリおよび S2Mule ライブラリを配備します。S2Mule の設定は dicon ファイルのみで行うことができ、新たに Mule の設定ファイルを記述する方法を習得する必要がないのが大きな特長です。主な機能としては、まずS2 アプリケーションからメッセージを送信する『S2Mule Sender機能』があります。これは、インターセプタを使ってS2Remotingのように、オブジェクト呼び出しを暗黙的にメッセージ送信に利用するものです。もう１つは、外部から受信したメッセージを S2 アプリケーションで受け取る『S2Mule Receiver 機能』で、Seasar2 の上で Mule サーバを管理する、メッセージを受信したら設定に基づいて POJO を呼び出すといった機能を提供します。この他にも『トランスフォーマー』や『ルーター』が利用可能になっています」と藤倉氏。
藤倉氏はこの後、S2Muleの実際の使用例として「FileとJMSを使ったバッチ連携例」を紹介。また「S2Muleのメリット」として『オープンソース ESB の活用』、『ビジネス・ロジックと統合ロジックの分離』、『新たなXML設定ファイルの習得が不要』の3項目を示した。
最後に藤倉氏は、「S2Muleについては『MuleForge』というプロジェクトサイトが公開されています。ツールのダウンロードやさまざまなドキュメントが用意されているので、関心を持った方は、ぜひ一度アクセスしてみてほしい」とアピールしてセッションを結んだ。
