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インフラジスティックス・ジャパン デベロッパーサポートエンジニアの池原大然氏は、まずLOB(Line of Business)が企業にとって不可欠のアプリケーションであり、それが今後ますます多様な形態へと進化していくと述べる。
「LOBは財務、会計、流通管理、そしてさまざまなリソース管理のような、企業の業務を円滑に遂行していく上で必要不可欠かつ重要なアプリケーションの総称です。これらのほとんどはデータベースを利用した多機能アプリケーションとなっています。こうした多機能化に加えてこれからは『連動』、すなわちWebを通じたネットワーク経由での機能提供や個人アプリケーションとの連携がキーワードとなってくるでしょう。さらに既存の技術やサービスと組み合わせて新しいサービスを実現する『マッシュアップ』もポイントです」と池原氏は指摘する。
では、そうしたLOBの進化に対してWPFはどのような可能性をもたらすのだろうか。池原氏はWPFの最大の利点を、「多様なメディア対応」だと指摘する。WPFではドキュメントはもちろん、ビデオ、3Dコンテンツ、アニメーションといった多様なメディアに容易に対応できる。これまでの技術では複雑な手法やコーディングが要求されたのを、WPFはフレームワーク上でサポートしていることが理由だ。
また、「WPFのコントロールは、Expression Blendというデザインツールを使って、ボタンやチェックボックスの形状など、形を自由にデザインすることが可能です。また、開発者は状況・条件に応じてUIスキン変更を容易に行えるため、“ルックレス”なコントロールが作成できます」と池原氏。もちろん、これはデザインの訴求力だけではない。「デザインと開発双方に共通のXAML構文を使用することで、ソリューション対応が1つで済み、さらにデザインと開発を切り分けて実装を同時並行で進められるようになります。開発工程の効率化という点でも効果は大きいです」と池原氏は述べる。
インフラジスティックス・ジャパンでは、こうしたWPFの利点に着目し、新しい試みを多数行っているという。「LOBに必要な条件には、いくつかのポイントがありますが、その中でたとえば『リッチコントロール』。WPF標準コントロールでサポートされている機能には、スタイリング、解像度に依存しない描画、データバインディングなどがあり、これだけでも充分開発が可能です。しかし当社では、さらに独自開発の『XamDataGrid』、『XamDataCarousel』、『XamRibbon』、『XamChart』といった、LOB対応コントロールを新たに提供している」と池原氏。
池原氏は、これらのコントロールを使用した自社開発のダッシュボードをデモで実際に紹介しながら、使い勝手のよさ、デザインの訴求力の強さなどを強調。同社がWPFによるLOB開発で、独自のアドバンテージを築いている事実を示した。
最後に、池原氏はまとめとして「WPFは今後10年間のスマートクライアント作成プラットフォームとして、次世代のフレームワークの地位を占めることになるだろう。WPFはユーザーエクスペリエンス=使い勝手の良さを向上させる上で非常に有効な手法であり、インフラジスティックスは、この手法を用いて開発を行おうと考えているデベロッパーを、これからも強力にサポートしていきたい」と述べ、セッションを締めくくった。