コードジンのヘッダーが入ります Developers Summit 2008:セミナーレポート
【14-A-4】SaaSプラットフォーム上でのアプリケーション開発
SaaSプラットフォーム上でのアプリケーション開発
土田 達郎 氏
株式会社 セールスフォース・ドットコム アライアンス事業本部 AppExchange/VAR プログラム シニアマネージャー
実行環境全体をオンデマンドで提供するForce.comプラットフォームを利用すれば、開発者はライブラリやサーバの用意が不要になる。SaaSアプリケーションへの需要の高まりとオンデマンドプラットフォームの出現によって、いまや開発スキルを発揮する場は、インフラやセキュリティの維持といった「守り」の場から、業務プロセスの実現や新しいUIの開発といった「イノベーション」の場に移ってきている。

サーバやインフラを一切用意することなく 容易にリッチなサービスの構築が可能

2007年末時点で、セールスフォース・ドットコムのサービスを利用している企業数は38,100社、ユーザ数は100万人に達している。昨年1月末と比較すると約1.5倍で、急速に伸びていることが分かる。 セールスフォース・ドットコムが提供しているSaaSサービスであるSalesforceには、マルチテナントとサブスクリプションの2つの特徴がある。サブスクリプションは、利用するユーザ数、利用する期間に応じた課金モデルだ。マルチテナントは、1つのシステムのインフラ部分を複数のユーザが共有して使うもので、スケールメリットの享受や、拡張性の高さというメリットがある。もちろん、各ユーザ企業が利用するデータ領域(カスタマイズ情報を保存するメタデータも含む)は完全に分けられているため、ユーザ企業が他のユーザ企業のデータに直接アクセスすることはできない。

セールスフォース・ドットコムではこれらのモデル上で、CRMのアプリケーションを中心に提供してきた。そして、そのアプリケーションを支えてきたプラットフォームを、サービスとして提供しているのが、Force.comというブランドだ。

マーク・アンドリーセンは、インターネット上のプラットフォームを、ユーザや開発者が自由に開発し、カスタマイズが可能な環境と定義し、さらに3つのレベルに分類している。レベル1は、WebサービスAPIだけを定義しているもので、2はアプリケーションにプラグインできるもの。そしてレベル3は、クラウド(インターネット)上ですべての開発ができるものであり、Force.comがそれにあたる。  まず、Web上で提供されている「データベースサービス」では、自分の好きなスキーマのデータベースを構築することができる。変更管理、エラー値設定、多言語対応、などプログラミングにおいて「面倒」な部分がすでに組み込まれており、ブラウザ上で設定することが可能だ。また、標準の編集画面や参照画面も用意されている。

データを外から扱うために提供されているのがSOAP/WSDLベースのWebサービスAPIだ。Javaや.Net であればWSDLから簡単にクラスを作成することができる。さらにPHP、Perl、Ruby on Railsでも利用可能なツールキットが用意されている。 データの編集や作成画面は自動的に提供されるが、その標準画面を自由にカスタマイズすることも、まったく新しい画面を作成することも可能だ。セールスフォース・ドットコムではSコントロールというHTML+JavaScriptを記述して保存できる機能を提供している。ActiveXやFlex等も保存可能なので、それらと連携してリッチな画面を生成することもできる。  AJAX ToolkitはJavaScriptからWebサービスAPIにアクセスするためのライブラリで、その使用によりSコントロール上からSalesforceのデータ処理が可能になる。標準的な画面から、カスタムボタンの生成や、マッシュアップの組込、Ajaxを使用した複雑な画面作りを可能にしている。

Sコントロールの中ではJavaScriptでプログラミングできるが、サーバサイドで動作するアプリケーションを書くことができるのがApexコードだ。構文はJavaに似ているので、Javaプログラマなら簡単に使うことができる。トリガ、またはWebサービスとして実装可能で、受信メールをトリガにした実行も可能だ。 Visualforceはサーバサイドで動作する画面生成を可能にする機能だ。サーバサイドでプログラミングしてHTMLで生成し、クライアントに返す。厳密にはタグ形式で記述するので、Java Server Facesと同様の形式になっている。

作成したアプリケーションはセールスフォース・ドットコムのApplication Directory、AppExchangeサイトにおいて公開し、ビジネスを行うことも可能だ。ここではさまざまなアプリケーションが公開されているので、ユーザはその中から必要なものを選んで、自分の環境にインストールして使うことができる。

セールスフォース・ドットコムでは、開発者向けコミュニティで無償の開発用アカウントDeveloper Editionを提供している。ユーザ数とディスク容量に制限がある他は、有償で契約するのと同じ環境でアプリケーションとプラットフォームを使用することも可能だ。土田氏は「ぜひサインアップして、さわってみて欲しい」と語り、セッションを閉じた。

図1:セールスフォース・ドットコムの提供するプラットフォーム
問い合わせ先
株式会社セールスフォース・ドットコム
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-19-19 恵比寿ビジネスタワー18F
URL http://www.salesforce.com/jp/
E-mail info@jp.salesforce.com

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