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「地理情報システム(GIS)と自然言語対話エンジンを組み合わせることで、よりユーザビリティの高いWebアプリケーション構築が可能になる例を紹介します」。こう語るのは、アイエニウェア・ソリューションズの舟木将彦氏である。舟木氏は、これまでずっと自然言語処理の技術を用いたユーザインタフェース向上に携わってきた人物だ。
「エンタープライズ分野における自然言語検索は、国内外のベンダが注目している分野である」と舟木氏はいう。一方、今回の主題であるGISも、GoogleマップやYahoo!地図情報など、無料で使えるツールが続々と登場するなど、関心とニーズが高まっている。
だが、これら無料のツールでは、背景となる地図情報がデータ種別ごとに階層化されていないだけでなく、大量のデータをデータベースを参照しながら地図上に重ね合わせて表示することはそもそも想定されていない。「エンタープライズで求められるGISシステムは、背景図に道路や学校、鉄道など必要な情報のみが表示された地図を作成した上で、住所検索や経路探索、レストラン情報の検索結果や関連する文字情報、グラフ化された数値情報などを地図上に表現し、地理的条件での分布や傾向の分析などができるというもの。それを容易に実現するミドルウェアが、当社のMapletです」と舟木氏は説明する。
Mapletの特徴はサーバ側で地図、および地図に重ね合わせて表示する情報の画像を生成し、クライアントに配信するため、Ajaxに対応したウェブブラウザがあれば、クライアントアプリケーションのインストールが不要なこと 。第2に、各地図ベンダの地図を階層化して取り込めること。つまり「階層ごとに表示時のオン・オフが可能になっているため、地図全体が1枚の画像ではなく、必要に応じて情報の表示が可能になる」と舟木氏。第3がPOI情報(施設情報)などの大量の属性情報を処理できることである 。このMapletと、アダプティブ(適応型)・エージェント技術を用いた自然言語対話エンジン「Answers Anywhere」を組み合わせることで、「ユーザの検索意図を認識し、ユーザの求めている答えを導き出すGISシステムの構築が可能になる」と舟木氏はいう。
舟木氏はレストラン検索の例を取り上げて説明する。ユーザは、「こんな感じの」「テレビで取り上げられた」「雰囲気がおしゃれな」というようなあいまい情報による検索、好き嫌いや禁煙・喫煙、駐車場の有無などによるパーソナライゼーション、○○の近くにあるレストランというような位置情報と組み合わせた検索がしたいと思っている。「Answers Anywhereでは、このようなあらかじめ決まったゴールがないタイプの検索が容易に実装できるんです」と舟木氏は力説する。
ゴールのないタイプの検索であってもいかに容易に実装できるか、舟木氏はレストランテーブルを使った位置情報データを検索するエージェント・ネットワークの構築画面例を見せながら、解説を続けた。「Answers Anywhereでは、コマンドエージェントにオブジェクト(テーブル)エージェント、さらにそのオブジェクト(テーブル)エージェントにカラム(フィールド)エージェントを貼り付けていくだけ。プログラミングなしでここまでできるんです」と舟木氏はいう。続けて舟木氏は関連付けのエージェントを使ってテレビ番組情報などを連携する様子も実演、実装したWEB画面例も紹介した。
今回のデモの情報を格納していたDBは、同社の「SQL Anywhere」。同DBの特徴は「省リソースかつ管理者不要なこと」と舟木氏はいう。「ORACLEやSQL Serverなどの既存データベースとの連携が可能。既存データを生かせる、GISや自然言語検索システムの組み込みDBとしても使えます」。最後に舟木氏はそう提案し、セッションを締めくくった。