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「現在のような不況下でシステム開発をする場合、なるべくお金と時間をかけずに作ることが求められる。そのニーズをオープンソースとFileMaker Proで満たした事例を紹介する。FileMakerは、企業情報システムで活用をしたことのない人は結構いるが、使いどころを間違わなければかなり使えるツールだ」と、FileMaker Pro東京ユーザーズミーティングの代表を務めるフリーランス開発者の竹内康二氏は語る。これを証明するため、竹内氏が紹介したのが編集スタジオのスケジュール管理システムの開発事例である。
「従来は、各営業が受注した案件の部屋割り、時間割を管理者が紙ベースで行うという非効率な作業を行っていた。これをお金と時間をかけずにいかにシステム化したかという話です」と竹内氏。同編集スタジオでは、システム化にあたり、スケジュール管理業務を効率化するだけではなく、そこから生まれるデータを活用できるようなシステム作りに取り組むことも目標とした。しかし先述したように「予算と時間をかけない」という制約条件があった。
まずは予算をかけられないという制約条件をクリアするために、竹内氏が考えたのはオープンソース。「今回は社内システム。多少、見た目が悪いなどの甘さがあっても、業務効率化ができるのであれば許される。したがってオープンソースで十分だと判断した」という。そこで竹内氏が選んだのが、MRBS(Meeting Room Booking System)という会議室予約システム。開発言語はPHP、データベース環境はMySQLやPostgreSQLを使用する。「採用の基準は、要件をだいたい満たしているか否か。“だいたい”で妥協することが重要だ」と竹内氏は強調する。
ここで竹内氏は、リアルに構築を開始。数分の作業で見た目上、ほぼ予約システムが完成。出来上がった画面を見ると日付、開始時間と所要時間、部屋の割り当てなど一通りの機能が用意されていることがわかる。またスケジュールに追加や変更などのイベントが加わったときに、担当者にメール送信する機能も容易に付け加えることができた。
しかし、このシステムだけではもう一つの目標である「データを活用する」までには至らない。というのもMRBSは、レポート機能が弱く、それを開発するには時間がかかる。時間をかけずに開発するには、プロプライエタリソフトが有効だ。「そこでお勧めするのがFileMaker Proです。バージョン9から外部SQLデータベースとの接続がサポートされ、表現能力も強化された。かなり使えます」と竹内氏は語る。
FileMaker Proは、通常のデータベースとは異なりたくさんの特徴を持っている。専用クライアントを使い、開発も基本的にそのクライアントで行う。しかもデータベースファイルには、データもスキーマもロジックもインタフェースも全部入っているのだ。「良くも悪くも超プロプライエタリ。確かにつくる際の流儀は独特だが、こういう流儀のフレームワークだと捉えてしまえばいい」と竹内氏は強調する。
竹内氏は、さきほどのMySQLのデータにFileMakerからアクセスするデモを見せ、シームレスな使い勝手をアピールした。最後に竹内氏は、「景気後退期のシステム開発では、お金も時間もかけられない。だからこそ、開発するならできるだけ楽につくることを考えて欲しい。材料探しは広い視点をもつことが必要。FileMakerもその候補に入れてどんどん使ってみてください」と語り、セッションを終えた。