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日本オラクル株式会社

【18-B-6】オラクルのエバンジェリスト2人が考えるクラウド・プラットフォームとは
日本オラクル株式会社 Fusion Middleware事業統括本部 Fusion Middlewareビジネス推進本部 テクノロジーエバンジェリスト 佐藤 直生 氏
日本オラクル株式会社 システム事業統括本部 基盤技術本部 テクノロジーエバンジェリスト 中嶋 一樹 氏

オラクルが提唱してきたグリッド・コンピューティングは、現在のクラウド・コンピューティングの先駆けともいえる考え方だ。インフラだけでなく、アプリケーション、ストレージなどすべての層でクラウドに求められている柔軟性や効率性を提供するオラクルの戦略について、2人のエバンジェリストが語った。

グリッド・コンピューティングが実現するクラウド

クラウドには複数のテナントが使用するパブリック・クラウドと、その定義をある意味拡大解釈した、1社かグループ内のクローズドな環境で使用されるプライベート・クラウドの2種類がある。オラクルの佐藤 直生氏は「両方のクラウドを完全に企業向けとしてサポートし、選択肢を提供するのがオラクルのクラウド・コンピューティング戦略」と説明する。

パブリック・クラウドでは、たとえばOracle CRM On DemandとしてSaaSを提供している。パートナーについてもAmazon EC2とOracleは強いパートナーシップで連携しており、Oracleデータベース製品やミドルウェア製品をAmazon EC2上で構築し、動かすことがサポートされている。

オラクルは7年ほど前からグリッド・コンピューティングを提唱してきた。それはミドルウェア、データベース、ストレージ、インフラストラクチャ、管理のすべての層でグリッドに対応するというものだ。たとえばEnterprise Managerが提供するアプリケーション・グリッドとデータベース・グリッドにより、自動的なキャパシティ調整が可能になる。佐藤氏は「プライベート・クラウドは、グリッド・コンピューティングの進化形であり、それを構築する環境を整えている」と解説する。

続いて紹介された今後リリース予定のJRockit Virtual Editionは、OSのレイヤーを除く製品だ。今日のOSは、万人向けを意識するあまり、急激に複雑化しており、しかもOSの機能の99%は使われていない。さらにJavaではOSの上にJVMが載るため、複雑性が増す。そこでJRockitの中に極めて軽量なOS的実装をして、その上でJVMを使うというのが製品のコンセプトだ。

自動拡張とデータのリバランスでストレージを有効活用

セッション後半のテーマはストレージだ。スピーカーは中嶋 一樹氏に交代した。もしストレージが1台という構成でサービスを提供していた場合、クラッシュするとシステム全体がダウンしてしまう。そこで2台にしたとしても、リスクの軽減は50%に過ぎない。サーバーに関してはクラスターまたはレプリケーション構成によって並べてパフォーマンスを出し、可用性を確保することが浸透している。そこでオラクルが提案しているのが、ストレージも並べた、ストレージ・グリッドだ。

サーバーは通常、LUと呼ばれている論理ボリュームを認識し、そこにI/Oを発行する。オラクルにはASM(Automatic Storage Management)というストレージ管理ソフトウェアがある。サーバーにインストールしたASMがボリュームを認識するとLUとの間にDISKGROUPという抽象化のレイヤーが入る。サーバーが認識するのは、この複数のストレージが統合されたDISKGROUPであり、ストレージを追加すると自動的に拡張される。

実はボリュームの容量拡張には、それほど複雑な技術を必要としない。しかし既存のストレージにデータが集中したままでは、I/O性能が上がらない。中嶋氏は「ASMが優れているのは、新旧のストレージ間でデータのリバランスを自動的に行うことができる点だ」と強調する。さらにASMによりデータを二重、三重に分散登録する冗長化も可能だ。しかも作業はすべてオンラインで、オフラインにする必要は一切無い。

またデータをメモリ上で圧縮してからストレージに書き出すOracle Advanced Compressionを用いればI/O量を削減することができ、結果的に既存のH/W構成のままでI/O性能の限界値を上げることができる。ストレージ増加が高速道路の車幅拡張工事だとすれば、圧縮は車の積載量を増やすということになる。

最後に中嶋氏は「オラクルはクラウドを実現するのはグリッドだと考えている。それを誰もがすぐに使える技術にしたい」と語り、セッションを閉じた。

図1:ストレージ・グリッドの概念。ストレージが追加されるとASMが自動的に拡張されたDISKGROUPとして認識し、データのリバランスも動的に実施される。
問い合わせ先
日本オラクル株式会社
〒107-0061
東京都港区北青山2-5-8
オラクル青山センター
URL: http://www.oracle.com/lang/jp/index.html
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