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マイクロソフト株式会社

【18-D-2】アジリティを向上させる開発ツールの進化 ~ Visual Studio 2010の場合
マイクロソフト株式会社 エバンジェリスト 長沢 智治 氏

「アジリティを向上させる開発ツールの進化~ Visual Studio 2010 の場合」と題した本セッションは、正式リリースを目前に控えたVisual Studio 2010の最新情報を求める参加者で満席となった。マイクロソフト独自のアジャイル開発ポリシーと、今回のVisual Studio 2010開発そのものがアジャイルによって進められ、その成果を機能に採り入れたことが明らかにされた。

Visual Studio 2010自体をアジャイル+TFSで開発し、大きな成果

登壇したマイクロソフト株式会社 エバンジェリスト 長沢智治氏は、まず、マイクロソフトがこれまでも積極的にアジャイル開発支援の活動を進めてきた点を強調する。

「複雑なシステムを複雑なチームで開発するスタイルが主流となり、利害関係者も増加する一方、市場からはいっそう適正な納期や品質が求められるようになっている。もともとマイクロソフトには独自の“アジャイルな”開発文化が受け継がれており、Visual Studio 2008、 そして今回のVisual Studio 2010の開発でもそうした開発体制を追求してきた」と長沢氏は言う(図1)。

「Visual Studio 2010の開発から、自分たちのアジャイル開発の考え方そのものを徹底的に見直した。『品質』という価値を向上させる(バリューアップ)ことを最終目標に定め、2008開発のときにも行った開発手法の見直しからさらに進めて、『必要最小限のルールの徹底と、統制可能な規模での自由を保障する』という意識そのものの確立へとステップアップを行った」(長沢氏)。

具体的には、開発の利害関係者全員にEnd to Endで作業プロセスの透明性を提供する階層構造を定義し、各プロセスを可視化した。またこれらの管理には、Visual Studio Team Systemに統合されたコラボレーションサーバーであるTeam Foundation Server(TFS)が使用されたという。

「TFSは、マイクロソフト社内の多くの製品開発で利用されており、右肩上がりで導入プロジェクトが増加していっている。最大のユーザーは、Visual Studio開発部門で約3,600名のユーザーがおり、複数のチームによる分散開発をFeature Crewと呼ばれる10人前後の小規模なチーム構成で、アジャイルを実践しやすくするための開発基盤として用いられている。他にもライフサイクルの効率化や見積もりの適正化といった成果をもたらして、開発の品質向上を実現している」(長沢氏)。こうした試みを重ねた結果、スケジュール延期の最小化や、納期およびマイルストーンなどの正確な予測といった成果が得られ、最終目標である顧客満足度の大幅な向上が実現できたと長沢氏は強調した。

アジャイル開発の過程で得た成果をふんだんに採り入れた新機能を紹介

セッションの後半では、リリースが待たれるVisual Studio 2010について、アジャイル開発の視点から、Visual Studio 2010 ベータ2を使用したデモをふんだんに採り入れながら、新バージョンの特長などについて紹介した。

「Visual Studio 2010には、開発部門みずからがアジャイル開発を実践してきた成果を採り入れた。例えば、アジャイル計画ツールやテスト駆動開発、継続的インテグレーションの更なる強化など、様々なアジャイル開発に関する新機能を搭載している。またエディションも豊富で、設計から導入までのアプリケーション・ライフサイクルすべてに対応可能なUltimateから、テストに特化したツールや、TFSなどチーム開発基盤までがラインナップされているのも大きな特長だ」と長沢氏は強調する。

この他にも、Visual Studio 2010が多くの機能を組み合わせることで、様々なプラクティスの実践、効率化をサポートできる点に言及。コード変更によるテストへの影響を分析・通知する「テスト影響分析」や、迅速にデバッグ情報を記録・再生でき、さらに巻き戻しも可能な「IntelliTrace」などの興味深い機能が紹介された。

最後に長沢氏は、「マイクロソフトは、今後も継続してアジリティの高いプラットフォームの開発に取り組んでいく。そこから生まれた英知を開発プラットフォームという形で皆さんにお届けしたのが、今回の進化したVisual Studio 2010だ。すでにベータ2日本語版がマイクロソフトWebサイトから提供されているので、ぜひ今すぐその実力を試してみてほしい」「マイクロソフトは、開発ツールを提供するだけではなく、開発現場の改善に取り組む団体やコミュニティの活動の支援も行っている」と訴え、セッションを締めくくった。

図1:Visual Studio 2010そのものがアジャイル手法で開発された
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