コードジンのヘッダーが入ります
前述の2つのアジャイル系セッションのほか、IBMが協力したワークショップが2月18日に開催された。「ソースコード・リーディング・ワークショップin デブサミ2010」と題されたセッションだ。
エンジニアやプログラマにとって重要度を増してきたソースコードを「読む」スキル、および読む時間を見積るスキルがどれくらいあるのか、実際にJavaのソースコードを読むことで実体験してみるというワークショップである。
特徴としては、ソースを読むだけでなく、参加者全員で同一のJavaソースコードを実際に1時間程度かけて読んだあと、4~5人のチームに分かれてソースコードの読み進め方を課題に沿って語り合い、人によってソースコードの読み方や、読む部分のスキルに違いがあることについて理解しあうことができる。
このワークショップを指導しているのは、奈良先端科学技術大学院大学の森崎修司助教(情報科学研究科)である。森崎助教は、IBMの協力でソフトウェア開発の実務者を対象に同様のワークショップを実施し、所要時間や読み進め方の特徴、対象ソースコードとの関連などを調査してきた。調査結果とRational Software Analyzerをはじめとするソースコード静的解析ツールを用いることにより、ソースコードを読む前に読解時間の見積りができるようになり、派生開発、保守開発の見積りに役立てることができる。この結果を開発の現場にフィードバックすることで、ソースコード読解や見積りのスキル向上に役立てるだけでなく、開発者と研究者の健全なエコシステムを構築する狙いもあった。実務者を対象とした調査は世界的にも前例のない規模のものでソースコード解析の専門家が集まる国際会議での発表にむけて準備中である。
実際のハンズオンでは、参加者はみな熱心にソースコードの読解に取り組み、チームごとの話し合いでは、ソースコードやその修正の意味について熱心に意見を交わす姿が見られた。開発者のサミットならではのセッションだったと言えるだろう。