コードジンのヘッダーが入ります Developers Summit 2010

日本アイ・ビー・エム株式会社

【18-C-3】「アジャイルテスト ―高品質を追求するアジャイルチームにおけるテストの視点―」
日本アイ・ビー・エム株式会社 GBS テストマネジメント 増田 聡 氏

IBMは、2月18日~19日の両日に目黒雅叙園(東京・目黒)にて開催されたDevelopers Summit 2010(デブサミ2010)で、開発プロセスに関する2つのセッションを開催し、1つのワークショップの場を提供した。セッションではともに「アジャイル」についてのものだったが、それぞれにいま必要とされる局面に絞り込んだテーマを設定しており、この開発手法が限定されたものではなく、SIや大規模開発の分野でも幅広く活用されていることを感じさせた。また、ともに聴講席はほぼ満席で、開発者の関心の高さもうかがわせた。

アジャイルチームにおけるテストの視点

1つ目のセッションは「アジャイルテスト― 高品質を追求するアジャイルチームにおけるテストの視点―」と題し、アジャイル手法による開発チームのなかで「テスト」という工程がどのような役割を果たしているのかについて増田聡氏(日本アイ・ビー・エム株式会社 GBS テストマネジメント)が解説した。

まず、従来のテストとの違いにおいて、高品質なソフトウェア開発に重要な役割を担うアジャイルテスト(アジャイルチームにおけるテスト)は、4象限の分類で説明されることが述べられた。この4象限とは、「ビジネス面」であるか「技術面」であるかを1つの軸とし、もう1つに軸にその目的は「チームを支援する」ためか「製品を批評する」ものかを取り、この2軸によって構成されている(図1)。

第1象限は「チームを支援する技術面のテスト」で、テスト駆動開発などアジャイル開発の中心である。第2象限は「チームを支援するビジネス面のテスト」で、顧客の視点からのハイレベルの機能テストなどを行う。第3象限は「製品を批評するビジネス面のテスト」で、ユーザー受入テストや探索的テストなど。第4象限は「技術面のテストを使った製品の批評」で、パフォーマンステストやセキュリティテストなどを指す。

次に、高品質を目指すチームのプラクティスとして、「アジャイルテストの考えを採用する」ことを含む7つのプラクティスが解説された。そのほかのプラクティスとしては、問題に対して「チーム全体のアプローチ」を取ることや、テストの自動化をチームとしてシンプルに始めて効率化を図ることなど、アジャイルテストの実践的なポイントが挙げられた。

さらに、従来型の機能別チームからアジャイルチームに移行するための3つのチャレンジが紹介された。この3つとは、組織の文化、チーム運営、軽量プロセスへの移行となる。そしてアジャイルテストへの移行をサポートするツールとして、IBM Rational Team Concert(RTC)の紹介が行われた。RTCは、ワークアイテム管理を軸に、計画管理、構成管理、ビルド管理を統合したオールインワン製品で、分散開発におけるチーム・コラボレーションをサポートする。

なお、このセッションは、増田氏も翻訳に携わった『実践アジャイルテスト テスターとアジャイルチームのための実践ガイド』(Lisa Crispin 著、翔泳社、2009年)の内容もベースにしており、さらに議論を深めるにはよい教材になることだろう。

(続きのページ)

図1:アジャイルテストの4象限
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