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株式会社オージス総研

【19-E-4】クラウド開発に役立つOSSあれこれ
株式会社オージス総研 水野 正隆氏/奥垣内 喬氏

クラウド化への急速な移行を反映して、社内のシステムをクラウドサービスとして再構築する事例も日増しに増えてきている。しかしクラウド開発には、既存システムとの連携や、テスト、デプロイなど、これまで経験したことのないケースに出会うことがしばしばだ。本セッションでは、そうした問題を解決してくれるOSSツールがいくつか紹介された。

クラウドとオンプレミスの連携にまつわる課題を、数多くのOSSで解決できる

「クラウド開発に役立つOSSあれこれ」と題したセッションでは、前半、株式会社オージス総研 水野正隆氏が壇上に立ち、企業内システムをクラウドで再構築する場合の問題点や留意点について紹介した。

「一口にクラウドと言っても、世の中すべてがクラウド化するわけではない。大きな会社ではすでに社内システムがあり、データのほとんどはそこに存在している。そこで、クラウドとこれらを連携させる必要、すなわちクラウドとオンプレミスの連携というテーマが出てくる」と水野氏は語る。

この場合いくつかの問題が発生する。「連携にあたっては、サービスに依存する"おまじない"や手順を実装せずに、簡単に連携させたい。また社内とクラウドのプロトコルが異なっているような、あまり仲良くない場合でも連携させなくてはならない。さらにクラウドサービスそのものに、向き・不向きがあるので、用途に応じた使い分けを考える必要がある」(水野氏)。

したがって、実際には、いくつかのクラウドサービスを統合したシステムを構築することになるが、ここでまた開発者は、クラウドインテグレーションをどうするかという、やっかいな問題に突き当たる。

「クラウドとオンプレミスの連携では、プロトコルのギャップや接続数の多さといった問題に加え、クラウドならではの課題にいくつも遭遇する。すなわち共同開発をどう進めるのか、テストに今までのプラクティスは使えるのかといった疑問は枚挙にいとまがない」。

今まではテストには自分用のテスト環境を持つのが当然だったが、クラウドでわざわざ社内に環境を設けるとコストがかかる。また、テストの自動化の仕掛けをクラウド環境で作れるのかも疑問だ。クラウドではそうした実行環境が雲の向こうにあるので、なかなか一筋縄で問題は解決しないという。デプロイにおいても問題は同様だ。

「こうしたクラウドとオンプレミスの連携、それも複数のサービスをできるだけ手軽に実現し、なおかつテストやデプロイの問題をクリアするには、OSSが有効だ」と水野氏は示唆する。

これを受けてオージス総研 奥垣内喬氏は、「課題を解決するためのOSSの部品は数多くそろっている」と語り、「固有のメッセージ交換手順や固有の型を扱えて"とりあえずつながる"レベルから、連携するサービス双方の都合に合わせて、しかも労力をかけずに"エレガントにつなげる"ことが可能なものまで、実にさまざまなツールが選択できる」と語る。今回のセッションではまず"とりあえずつながる"中から、クラウド用のAPIとして手軽な連携を可能にする「rforce」、Amazon EC2を代表者のAWSアカウント1つで多人数により利用できる「fabulatr」、システム管理を自動化する「Puppet」、Amazon EC2のインスタンス数を自動的に増減させられる「Wakame」などが紹介された。一方、"エレガントにつなげる"ためのツールとしては、Servlet 3.0仕様による非同期IOの標準化を待たずに実装されたさまざまなComet(Ajaxサーバプッシュ)関連APIを抽象化するライブラリ「Atmosphere」が紹介され、最後に「オンプレミスとクラウドの連携にあたっては、テストやデプロイまでも視野に入れた上で、いくつものOSSツールの中から最適なものを見つけていくことが、SIを進める上で有効だ」と結んだ。

図1:クラウドとオンプレミスの連携に課題は多い
図2:OSSならクラウドインテグレーションに使えるツールは豊富に
問い合わせ先
株式会社オージス総研
〒550-0023
大阪市西区千代崎3丁目南2番37号
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