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株式会社 日立システムアンドサービス

【18-E-2】ソーシャルウェアが開発現場にイノベーションを引き起こす ~次世代情報共有・活用のあり方とは~
株式会社 日立システムアンドサービス 第1アプリケーション基盤ソリューション部 主任技師 松本 匡孝 氏

ほとんどの企業では、毎日のように電子メールを活用して頻繁にコミュニケーションが行われている。当然、そこでやりとりする情報は電子化されており、共有しやすいようにも思える。しかし、日立システムアンドサービス 第1アプリケーション基盤ソリューション部 主任技師の松本匡孝氏は、その電子メールへの依存にこそ問題があると指摘。企業が目指すべきこれからの情報共有・活用のあり方について解説した。

電子メールの情報に過度に異存する弊害

開発の現場において、知識・ノウハウの共有や社内コミュニケーションが不十分なために問題が発生するケースは少なくない。たとえば、あるSIerではパッケージ製品の次期バージョン開発にあたり、既存製品と開発環境を統合しやすいという理由から.NETを採用したが、製品リリース後に、Javaベースで開発された他事業部の製品と連携する案件が増加。WebサーバがIISとApacheで競合するため、サーバ構築のたびにミドルウェア環境を二重に構築する必要が生じてしまったという。

このような問題が多発する要因の1つに、日立システムアンドサービスの松本氏は「電子メールへの過度な依存」を挙げる。例えば製品開発を行う際は、開発チームのメンバーが知識や技術情報・ドキュメントなどを共有しながらプロジェクトを進めるが、共有手段に電子メールを活用した場合、コミュニケーションを通じて表出化したノウハウを、送信先に含まれない別のチームが開発に活かすことは難しく、それが他部門であればより困難となる。

電子メールは本来、特定の相手に情報を伝達するためのツールであり、蓄積した情報を後で活用する用途には適さない。たとえば、1年以上前のメールに含まれている情報を探す手間を考えてみると、よく分かるだろう。また、電子メールの情報は個人のメールフォルダのみに蓄積され、人事異動があれば情報ごと一緒に移動してしまう。知識やノウハウはあくまでも個人に帰属し、なかなかチームや組織で共有することが難しい。

知識・ノウハウを組織全体で共有し、どのような方法で情報の共有や活用を行えばよいのだろうか? 参考にすべき方向性として、松本氏は「インターネットの世界に目を向けてほしい」と語る。たとえば、ブログでは個人の知識が公開され、ソーシャルブックマークで有益な情報を共有することも当たり前のように行われている。何か調べたいときはウィキペディアで検索できるし、より細かいパーソナルな疑問もQ&Aサイトで質問すれば知識・ノウハウを持つ「誰か」が答えてくれる。

こうしたWeb 2.0のソーシャル技術を企業内でも活用することによって、理想的な情報の蓄積・共有・活用が実現できると松本氏は強調する。そのための具体的なソリューションとして日立システムアンドサービスが提供しているのが、企業向けソーシャルウェア「InWeave」である。

従来、何らかの問題の解決に向けて議論を行う際にも電子メールが使われてきたが、同じような問題が発生したときに情報の再利用が難しかった。InWeaveのビジネスログ機能を活用すれば、コンテンツはテーマごとに一元管理され、タグやキーワード検索も可能なので、前回得た情報を流用したり、解決までのプロセスを参照することも容易に行える。添付されたドキュメントについても作成意図や修正理由などドキュメントに付随する情報をセットで管理することができる。また、ビジネスログであれば人事異動の際も異動者のアクセス権を外すだけなので、コンテンツ自体はすべて組織の情報として残すことができる。

チーム内では解決できないような問題があるときは、コミュニティ機能を活用してフォーラムを立ち上げ、質問を投げかけることで、全社横断的に知識やノウハウを集めることも可能だ。何か特定の分野について社内の情報を調べる際も、ドキュメントだけでなく、コンテンツ検索結果からそのコンテンツ発信者のプロフィール情報を参照し、社内のエキスパートを探し出して容易にアプローチできるようになる。

これらに加えて「もう一歩進んだ環境」を実現する機能として、松本氏はエンタープライズサーチ機能と共有型フィードリーダ機能を提供する「InWeave Search」についても紹介。同ツールにより、インターネットやファイルサーバ、データベースなどの社内外の更新情報を自動収集し、PUSH配信したり、収集した有益なコンテンツをチームで共有してメンバーの知識・情報を付加することなども可能になるという。

開発技術や開発ツールがどれだけ進化しても、情報共有がうまくいかなければ、開発の生産性や品質を向上することは難しい。今後はこのようなソーシャルウェアを有効に活用することが、より重要となるのではないだろうか。

図1:ソーシャルウェアを利用することにより、知識・ノウハウの蓄積と共有が可能に
問い合わせ先
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〒108-8250
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E-mail:inweave@hitachi-system.co.jp
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